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昨年の中央競馬ホープ賞を受賞!デビュー3年目・荻野極騎手の技術に迫る!

  • 2018年07月24日(火) 18時00分
職人

若手3年目の活躍に注目!荻野極騎手を取材しました



キタサンブラックのような馬と出会えるように、一つ一つ乗りこなしていきたい


 猛暑・酷暑・殺人的な暑さと毎日ニュースになっていますが、皆様はくれぐれも熱中症に気をつけてください。41.1度が記録されたそうですよ。我が家の犬も涼しい場所を探しウロウロしています。毛皮着てるようなものだから暑いだろうなー。

 馬も熱中症になるんですよ。だから厩舎関係者は馬の体調管理に十分気配りをしています。何年か前、安田隆行厩舎のロードカナロアの調教をした後、熱くなった馬体にじょうろで背中から水を撒くような要領で馬体を冷やしていました。何ともユニークでかわいい光景でした。担当していた安田翔伍さん(現・調教師)のアイデアだそうですよ。

 水分補給も大事ですが、馬体を冷やすのが効果があるそうです。人間も首や手首、わきのリンパや足を冷やすと効果的だそうです。食欲も落ちますが美味しいものを食べて体力をつけてくださいね。

 サマーシリーズも盛り上がってきましたね。今週から新潟、そして小倉競馬が始まります。

 深夜にビッグニュースが飛び込んできましたね。フランスで行われたメシドール賞(GIII、芝1600m)に参戦した松永幹夫厩舎のジェニアル号(牡4歳)が勝利。日本では2勝馬で、前走は1000万下で5着に敗れていた馬ですが、重賞初挑戦で重賞ウイナーになったのはでかい勲章ですね。

 フランスへ出かける前にプロキオンSをマテラスカイ号で、レコードタイムで優勝し、“二刀流”オジュウチョウサン号の平地勝利も果たした武豊騎手が「フランスに向けていい勝ち方ができたので気持ちよく行ってきます」と話されていた通りの公約達成となりました。すごいですね。『おめでとうございます!』。早くも秋競馬が楽しみになってきました。暑さも少し吹っ飛びましたね。

職人

▲▼調教に騎乗する武豊騎手

職人

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 豊騎手の後を追いかけるように、若手騎手も頑張っています。

 そんな若手3年目の活躍に注目し、少し前になるんですが、荻野極騎手を取材させていただきました。

常石 今日はよろしくお願いします。

荻野 こちらこそよろしくお願いします。

常石 1年目は20勝、昨年は47勝(JRAのみ)。「中央競馬ホープ賞」を受賞され、すごい勢いですね。おめでとうございます。藤田菜七子さんと同期なんでしょう。話題が一杯ですよね。

荻野 ありがとうございます。今年はまだあまり勝てていないので力不足です。もっと頑張ります。

常石 これからですよね。(所属していた)清水久詞厩舎には活躍馬が多いので楽しみですね。

荻野 力不足だから有力馬にはなかなか騎乗する機会がありません。乗せてもらえるように頑張ります。

常石 直接乗れなくても、キタサンブラックのような馬をそばで見て感触を確かめられることは、プラスになっていくと思います

荻野 すごい馬でしたからね、背中が柔らかく走るストライドも大きく理想的な馬です。こんな馬に出会えたら興奮して上手く乗れないかもしれませんね。出会えるように一つ一つ乗りこなしていきたいです。

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キタサンブラックのジャケットを身にまとう荻野騎手


常石 いい馬といいレースを見るのは、とってもプラスになると思いますよ。

荻野 清水先生のおかげです。

常石 エージェントはつけていないんですね(※取材当時)。まぁ僕たちの時代は、つけてる騎手のほうが少なかったけど。今はほとんどつけているからな。大変ではないですか?

荻野 不便なこともありますが慣れてきましたね。それに調教師の先生に直接お会いして話ができるので、馬のことについてアドバイスをいただいたり、いいことが一杯あります。

常石 顔を見て話すと親近感も持てるから話しやすくなりますね。

荻野 厩舎を訪問して厩舎スタッフとコミュニケーションを取ることも大切な経験です。すこし焦って乗ってしまうことがあったんですが、先生から「ひと呼吸ふた呼吸ほど追い出しを遅らせよう。直線に向いてからでも間に合う」と教えていただき、僕の騎乗スタイルが変わりました。

職人

荻野騎手とともに、清水厩舎の調教で大活躍の黒岩悠騎手


職人

荻野騎手(写真中央)と黒岩騎手、併せ馬での調教に向かいます


常石 そうか。いいポジションにいるとつい追い出してしまうよね。若いけどしっかり勉強されていますね。

荻野 いえ、まだまだ学ぶことが一杯ありますね。先輩もいろいろ教えてくれるのでもっと学んでいきたいと思います。

常石 川田騎手の騎乗スタイルにちょっと似ていますね。

荻野 川田先輩のレースはよく見ています。そばで見ていて完璧なレース運びをしている時の、馬をリラックスさせてから仕掛けるタイミングは絶妙だと思います。僕はまだまだできませんが体を大きく使って走らせたいと思います。先輩からは、日常のことも色々アドバイスや指導をしていただきました。

常石 実戦や経験は大事だから大いに先輩に教えてもらったらいいと思う。ユーイチ(福永騎手)なんか勉強家だからね。

荻野 そうなんですよ。新聞や競馬ブックにみっちりメモ書きしているので驚きました。その資料が欲しくてくださいとは言えずに機会を狙っていました。今は念願かなって参考にしています。

常石 毎日忙しそうだけど、休日はどんなことをされているんですか?

荻野 近くの牧場で調教を手伝わせていただいているので、馬に乗らない日はないですね。

常石 馬に乗るのが好きなんですね。

荻野 安心できますね。

職人

馬に乗らない日はないという荻野騎手。馬に乗ると安心できるとのこと


常石 デビューから一番印象に残っていることはなんですか?

荻野 初めて重賞レースの依頼が来た時です。フローラSで池添学厩舎のピスカデーラに初騎乗の時、前検量でゼッケンの色が違うのを見て、緊張が高まりましたね。それ以後もよく乗せていただき「このレース勝ったら1kg減になるから頑張れ」と励ましてもらったり、僕のことを見ていてくれる方がいると思うと嬉しくなります。感謝です。

常石 そこで一つ勝つとまた騎乗依頼が来てつながりが増えていくんだよね。よく考えてしっかり乗ってる証拠ですね。これから活躍楽しみにしています。

荻野 ありがとうございます。応援してください。

常石 こちらこそありがとうございました。

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 誠実で素直に人の意見を取り入れて自分のものにしていくのも一つの技術だと思います。確実に成長して技術力も高めている頼もしい青年でした。

つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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