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【29日(日)札幌】なぜモレイラ騎手だと早めに動いても馬は持つのか

  • 2018年08月02日(木) 18時01分
哲三の眼

▲今年もJ.モレイラ騎手が札幌を席巻! (撮影:高橋正和)


今秋のJRA受験を表明しているジョアン・モレイラ騎手が短期免許で来日!初週から勝ち星を量産するその技術の根源は、日本の競馬学校では教わらない「基本の考え方」にあると哲三氏は指摘します。よりシビアに勝利が求められる海外で、独自の進化を遂げた世界のトップジョッキー、そのテクニックを人馬の目線から解き明かします。(構成:赤見千尋)

ジョッキー次第で馬の走るフォームが変わる


 今週、取り上げるのは日曜日の札幌最終レース。モレイラ騎手が2番人気テラノヴァに騎乗して、早めに動く競馬で快勝したレースです。レースの進め方プラス、馬の動かし方がさすがだなと。僕自身が追い求めていたもの、思い描いていた理想の形を見ることができて、すごいなと思いました。

 具体的にレースを振り返ると、スタートを出てからモレイラ騎手はけっこう追っているんです。スピードに乗せるために追って、好位3番手に付けた。向正面で他の馬が外からマクッて来ると、そこから動いて行って早め先頭へ。直線で伸びて来たフローレスマジックの追撃を振り切って勝利しました。

 見た目では「動くのが早いのでは?」と思った方もいたかもしれません。日本の競馬は、今でも“待ってなんぼ”のところがあるのですが、僕は以前から「待つよりも先に動かして行った方が少しでも早くゴール板にたどり着くのではないか」と考えていました。展開のアヤはあるけれど、待って脚を余して負けるより、動いて行って全力を出し切って負ける方が、勝ちに繋がっていくのではないかと。

■7月29日 札幌12R(3番:テラノヴァ)

 テラノヴァは能力はあるけれどなかなか勝ち切れず、歯がゆい競馬が続いていました。僕は乗ったことがないけれど、見た目の印象では少し甘いところがあるのかなと。甘いからこそ最後に脚を残してあげたいと考えがちですが、今回のモレイラ騎手は、小回りコースの特徴を最大限に活かし、尚且つテラノヴァの力を引き出す競馬だったと思います。

 このレースを見て、「そう来たか!」と思ったジョッキーは多かったんじゃないでしょうか。なぜモレイラ騎手だと早めに動いても馬は持つのか? そこには

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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