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秋を見据えた戦い

  • 2018年08月07日(火) 18時00分


◆今年のJBCには、これまで以上に出走する地方馬の質が問われる

 今年は梅雨明けが早く猛暑はまだまだ続きそうだが、地方競馬は秋へ向けての戦いが始まる。

 ひとつは、昨年から始まった『3歳秋のチャンピオンシップ』。11月18日に行われるダービーグランプリ(水沢)へ向け、8月15日の黒潮盃(大井)から、ボーナス賞金の権利を賭けたシリーズがスタートする。

 昨年からの変更点は、対象レースとして新設の園田オータムトロフィー(園田)が加わったことと、対象レースの“カテゴリーD”として、新たにJBCの3競走が加えられたこと。カテゴリーA、B、Cの対象レースが、そのレースを勝った上でダービーグランプリを制した場合にボーナス支給となるが、新たなカテゴリーDについては、JBC3競走のいずれかに出走した上で、ダービーグランプリを勝てば200万円のボーナス支給となる。

■3歳秋のチャンピオンシップ2018(カッコ内A,B,C,Dが、それぞれのカテゴリー)
黒潮盃(8/15大井・A)
サラブレッド大賞典(9/2金沢・C)
戸塚記念(9/12川崎・B)
園田オータムトロフィー(9/13園田・C)
秋の鞍(9/26・名古屋・B)
ロータスクラウン賞(9/30佐賀・C)
黒潮菊花賞(10/14高知・C)
岐阜金賞(10/18笠松・C)
不来方賞(10/21盛岡・B)
西日本ダービー(10/23金沢・B)
JBC3競走(11/4京都・D)
ダービーグランプリ(11/18水沢)

【ボーナス】
カテゴリーAとダービーグランプリを勝利:800万円
カテゴリーBとダービーグランプリを勝利:500万円
カテゴリーCとダービーグランプリを勝利:300万円
カテゴリーDに出走し、ダービーグランプリを勝利:200万円

※詳細は『3歳秋のチャンピオンシップ2018』特設サイトをご覧ください。

 なぜ「JBC出走」をボーナス対象レースとしたかといえば、今年はJRA京都競馬場で行われるJBCに、地方馬の出走を促すために違いない。ボーナスの上限は合計で1000万円だが、たとえば黒潮盃を勝った馬がJBCのいずれかに出走し、そしてダービーグランプリを勝てば1000万円のボーナスとなる。

 JBCということでは、JBCの前哨戦というべきレースも8月から始まる。

 優先出走権が与えられる日本テレビ盃(船橋)、マイルチャンピオンシップ南部杯(盛岡)、東京盃(大井)、レディスプレリュード(大井)は、今年はいずれも10月の実施だが、JBC指定競走(地方重賞)は、ビューチフルドリーマーC(8/26水沢)、アフター5スター賞(8/29大井)などが8月からスタート。またダートグレードでは、サマーチャンピオン(8/14佐賀)、クラスターC(8/15盛岡)、ブリーダーズゴールドC(8/16門別)などは、特に中央所属馬にとっては出走枠に入るための賞金加算には重要なレースとなる。

 そして地方馬所属馬にとって大きなメリットになるのが、昨年から始まった『地方所属馬プレミアム』。JBC各競走の地方最先着馬に、1着なら500万円、2着400万円、3着300万円、4・5着200万円、6着以下でも100万円が、さらにその対象馬にはNARからの褒賞金として100万円を加算して支給されるというもの。つまり地方最先着馬が掲示板外であったとしても、その最先着馬には200万円が支給される。

 本サイトの新企画『地方競馬ネット会議室』のNAR塚田修理事長のインタビュー(記事はこちら)にもあったとおり、今年限りのJBCのJRA(京都)開催は、中央競馬のファンに対してJBCの認知度を高めるのが目的。であれば、JRAの主催レースでありながら7頭分も用意されるという地方枠には、地方競馬を代表するような馬が出走しなければ、JBCを中央で開催した意味が薄れてしまう。地方のダートグレードではたまにあることだが、たとえば地方馬の単勝はすべて万馬券だった、というような状況は避けたい。

 今年のJBCには、これまで以上に出走する地方馬の質が問われることになる。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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