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一気に増えた、超高馬の早期デビュー(須田鷹雄)

  • 2018年08月14日(火) 18時00分


◆将来性を含めてメリット・デメリットを考えるべき

 先週、たまたま行っていた新潟で、お目当ての馬が走る新馬戦にノーブルスコアも出走していた。セレクトセール当歳セッション1億6740万円という高馬である(結果は2着)。

 この馬を見ていて思ったのだが、最近は高馬のデビューが本当に早い。今年の2歳世代を見ると、登録済みの税込み1億円以上馬19頭のうち、これで8頭がデビューしたことになる。未登録馬を含めると1億円以上馬は27頭。一方で未出走で在厩の馬が3頭いて、うちサトノソロモンあたりは月内に使ってきそうだから、月末時点で9頭/27頭と、全体の3分の1がデビュー済みということになりそうだ。

 かつては、超高馬が夏競馬のうちにデビューしてくることはそう多くなかった。現3〜20歳世代(セレクトセールができて以降)に税込み1億円以上馬は172頭いて、うちデビューできなかった馬を除くと169頭。そのうち2歳8月までにデビューしていた馬は23頭。全体の13.6%だから、現2歳世代の動き出しの早さが分かる。

 しかも、この23頭のうち、過半数の13頭は3〜7歳世代、つまり近いほうの5世代。「高馬を早くから使う」という傾向がここ数年で急速に進んできたことが分かる。

 それを可能にしたのが育成技術の進歩だ。セレクトセールができて以降の税込み1億円以上馬のうち、01〜10年の6〜8月にデビューしていた9頭は、すべてデビュー戦で負けていた。2012年にトーセンパワフルがはじめてデビュー勝ちし、以降は現3歳世代までが[3-6-2-3]、現2歳がいまのところ[3-4-0-2]だから、高馬を早くに臨戦態勢にもっていくことができているのは間違いない。

 ただ、将来性も含めて考えた場合、早くから下ろすことのメリット・デメリットを両方とも考えていかなければならないだろう。高馬の早期デビューが本格化した現3〜7歳世代の2歳6〜8月デビュー馬は13頭いて、うち重賞馬は3頭、かつサトノアラジンがGIを勝っている。

 これだけを見れば早期デビューのデメリットは小さいのだが、新馬戦そのものの勝率は6〜8月19.0%(今年の2歳馬を含む)に対し。9〜12月39.5%(こちらは当然含まない)。負ければ結局未勝利戦で出直しとなるわけで、その手間が将来へ向けて響く可能性というのも考慮しておかなければならないだろう。

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