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真の女王を目指すクイーンマンボの負けられない戦い/ブリーダーズゴールドC

  • 2018年08月15日(水) 18時00分


真夏のDG3連戦もいよいよ最終戦


 真夏のダートグレード競走3連戦を締めくくるのは8月16日(木)門別競馬場で行われる『第30回ブリーダーズゴールドカップ(ダート2000m)』。2014年に牝馬限定重賞に生まれ変わって今年で5年目の女王決定戦です。

新旧関東オークス馬の戦いとなった昨年


 今回はJRA5頭、大井2頭、ホッカイドウ競馬8頭の15頭立て。中でも注目を集める昨年2着だったクイーンマンボ。ここでまず昨年のブリーダーズゴールドCを振り返りましょう。

 クイーンマンボは初の古馬との対戦だったにもかかわらず前走・関東オークスで見せた圧倒的なパフォーマンスから単勝1.5倍の1番人気に推され、2番人気は5.1倍でタイニーダンサー。2016年、2017年の新旧関東オークス馬の戦いという様相を呈していました。

 レースはビービーバーレルが前に行き、マイティティーが2番手。2頭が前半早いペースで逃げ、大きく離れた3番手がタイニーダンサー、その後のインコースにクイーンマンボという体勢。3コーナーでビービーバーレルが後退するとマイティティーが先頭に立ち、クイーンマンボとタイニーダンサーが直後に付けます。

 直線で先に抜け出したマイティティーがさらに伸びると、外から追いすがるクイーンマンボを振り切り3/4馬身差で1着。3着は後方から追い上げたオージャイト、失速したタイニーダンサーは7着でした。6番人気だったマイティティーはここまでの牝馬限定重賞で良い成績を出していなかったため(2016年クイーン賞8着、2017年TCK女王盃11着)、伏兵の扱いでしたが、大きな変わり身を見せての勝利。牡馬相手に1600万下を勝ち上がった過去の戦いぶりを思えば、今年もこういうタイプの馬に注意が必要といえそう。

昨年は伏兵マイティティーが優勝(写真は17年ブリーダーズゴールドC優勝時、(c)netkeiba.com)


 クイーンマンボは2着とはいえ3着と6馬身差。当時3歳ながら古馬と同じ負担重量55kgだったことを思えば大健闘。その後は9月に芝のローズS(12着)を使ったあとダートに戻り、10月のレディスプレリュードでホワイトフーガに8馬身差をつける圧勝。向かうところ敵なしと思っていた矢先に「挫石のためJBCレディスクラシック回避」というニュースが入り、JpnIへの挑戦は残念ながら先送りとなってしまいます。

 その後、休み明け初戦のマリーンCで2着、前走・平安Sも2着。勝ち切れてはいませんが、特に前走は牡馬のトップクラスに混じって0.2秒差2着。本来の力が戻ってきていると見ていいでしょう。今回、負担重量57kgとはいえ牝馬同士ならば負けられない戦い。昨年2着の雪辱を果たし、頂点を目指す秋の戦いに向かいたいところです。

昨年2着の雪辱を果たし、頂点を目指す秋の戦いに向かいたいクイーンマンボ(写真は17年レディスプレリュード優勝時、撮影:高橋正和)


J.モレイラ騎手とのコンビとなるフォンターナリーリ


 フォンターナリーリは母の母スカーレットレディの良血馬。叔父にサカラート、ヴァーミリアン、キングスエンブレム、ソリタリーキングとダートグレード競走ウイナーが勢揃い。自身は初めての地方競馬参戦、初のダートグレード競走、初ナイターと初物づくしですが、その血が克服してくれることを期待。前走・東大路S(1600万下・京都ダート1800m)では牡馬相手に勝利。鞍上に名手J.モレイラ騎手を迎え、初タイトルを狙います。

フォンターナリーリは叔父にダートグレード競走ウイナーが勢揃い(写真は18年東大路S優勝時、(c)netkeiba.com)


 ハービンマオは今年の関東オークスを制した3歳馬。初めての古馬との対戦になりますが、川崎でナイター競馬を経験しているのは強み。牝馬限定重賞になってから3歳でここに挑戦した関東オークス馬の成績を見ると2015年3着ホワイトフーガ、2016年2着タイニーダンサー、2017年2着クイーンマンボと、勝ててはいないものの必ず馬券圏内に来ていることに注目。ハービンマオも3着以内に来るか? 見逃せません。

初めての古馬との対戦となるハービンマオ(写真は18年関東オークス優勝時、撮影:高橋正和)


 プリンシアコメータは昨年のJBCレディスクラシック2着馬。続く12月のクイーン賞を完勝。今年に入ってTCK女王盃6着、エンプレス杯2着、平安S11着と敗戦が続いていますが、先行して自分の競馬ができればいつ復活してもおかしくない存在。

先行して自分の競馬ができれば、いつ復活してもおかしくないプリンシアコメータ(写真は17年クイーン賞優勝時、撮影:武田明彦)


 ラビットランはローズSを制した芝の重賞ウイナー。前走・スパーキングレディーCは久しぶりのダート戦でしたが、いきなり3着となり牝馬のダートグレード戦線に名乗りを上げました。今回はM.デムーロ騎手とのコンビで前走以上を目指します。

芝の重賞ウイナーのラビットラン(写真は17年ローズS優勝時、(c)netkeiba.com)


 南関東・大井から参戦する2頭。ブランシェクールはJRA所属時代の今年1月、TCK女王盃で2着。その後大井に移籍し迎えた初戦では、のちに京成盃グランドマイラーズを制した牡馬・キングガンズラングの2着。前走・スパーキングレディーCでは5着。長距離輸送に心配はありますがどこまで上位に食い込めるか注目。

長距離輸送が鍵となりそうなブランシェクール(写真は18年成田特別優勝時、撮影:下野雄規)


 大井からのもう1頭はラインハート。JRAから転入初戦で挑んだJBCレディスクラシックで3着。続くクイーン賞でも3着、年明けのTCK女王盃でも3着に健闘。近走不振でも忘れてはいけない1頭。

近走不振でも侮れないラインハート(写真は17年JBCレディスクラシック出走時、撮影:高橋正和)


 地元ホッカイドウ競馬勢の筆頭はタイムビヨンド。2016年の道営記念を牡馬相手に制覇。これまで2016年クイーン賞3着、2017年クイーン賞5着という成績ですが、3回目のダートグレード競走挑戦は地元のアドバンテージを活かし、今まで以上の着順を狙いたいところ。

地元のアドバンテージを活かしたいタイムビヨンド(写真は16年道営記念優勝時、撮影:田中哲実)


 グランダム・ジャパン2018古馬シーズンの6戦目でもあるブリーダーズゴールドC。地方馬たちのポイント争いにも注目していただきたいところ。さらに最終レースには2歳牝馬限定・地方全国交流重賞の『第5回フルールC』も組まれています。真夏の夜を彩る牝馬たちの戦いを最後までお見逃しなくご覧ください。

※次回の更新は9月23日(日)18時。翌日に浦和競馬場で行われる「テレ玉杯オーバルスプリント」のコラムをお届けします。


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埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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