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確度の高いニックスから誕生したシークレットアイズ

  • 2018年08月29日(水) 12時00分
●アディクション(牝 美浦・木村哲也 父ハーツクライ、母アディクティド)
 マイラーズC(GII)を勝ったクルーガー(父キングカメハメハ)の半妹。母アディクティドはシュヴァルツゴルトレネン(独G3・芝1600m)の勝ち馬。その半兄Acambaroはミュラーブロート大賞(独G2・芝2000m)、バヴァリアンクラシック(独G2・芝2000m)を勝ち、独ダービー(G1・芝2400m)で2着となっている。

 このところホウオウサーベル(1戦1勝)やヴェロックス(ジャスタウェイ産駒で1戦1勝)など、ドイツ血統の繁殖牝馬にハーツクライ系を掛けた勝ち馬が目につく。本馬はこのパターン。全姉アリストラインは未勝利戦を勝ち上がったあと足踏みしているが、母の父ディクタットはパワー型とはいえスピードタイプなので、スピード面に苦労することはないはず。芝向きの中距離タイプ。

●ウルクラフト(牝 栗東・吉村圭司 父ディープインパクト、母ウミラージ)
 全兄ウムブルフは京成杯(GIII)5着馬で、ディープインパクト産駒にしては切れる脚に乏しいものの、スタミナと道悪を苦にしないパワーが武器だった。母ウミラージはドイツの中長距離戦で良績を残し、母の父Monsunは独リーディングサイアーに3回輝いたスタミナ型の名種牡馬。

 ドイツ血統のなかでは重厚な部類に入るので、そうしたタイプにありがちな鈍重な部分も垣間見える。本馬は牝に出たので、素軽さや切れ味に関しては兄よりも上の可能性がある。距離もマイルあたりならこなせそうだ。ただ、早くに完成するタイプではないので、本領発揮は3歳夏を越してからかもしれない。

●オーバーザシード(牡 栗東・中竹和也 父ダイワメジャー、母アジアンミーティア)
 3/4兄に新潟大賞典(GIII)を勝ったダコール(父ディープインパクト)、半姉にファルコンS(GIII)3着馬ルシュクル(父サクラバクシンオー)がいる。母アジアンミーティアはUnbridled's Song(95年BCジュヴェナイル-米G1、96年フロリダダービー-米G1)の全妹にあたる良血で、仕上がり早のスピードを伝えている。

 ルシュクルの娘ブランボヌールは函館2歳S(GIII)とキーンランドC(GIII)を勝った。父が仕上がり早のダイワメジャーに変わり、2歳から3歳にかけてのパフォーマンスは高いはず。マイル前後で手堅く走ってくるはずだ。

●シークレットアイズ(牡 美浦・藤沢和雄 父ディープインパクト、母ジョリージョコンド)
 母ジョリージョコンドは現役時代、アイルランドのタイロスS(G3・芝7f)3着馬。Lightening Pearl(11年チェヴァリーパークS-英G1)とサトノクラウン(17年宝塚記念-GI、16年香港ヴァーズ-G1)の全姉にあたる良血で、繁殖牝馬としても札幌2歳S(GIII)2着馬ファストアプローチ(父Dawn Approach)を産んでいる。

 母方に入るTouch of Greatnessは「Northern Dancer+Sir Ivor」という構成で、これはディープインパクトの母の父Alzaoと同じ。つまり本馬はAlzao≒Touch of Greatness 3×4という相似な血のクロスを持つ。このパターンのディープインパクト産駒は6頭出走してすべて勝ち上がり、ショウナンアデラ(14年阪神JF-GI)とケイアイノーテック(18年NHKマイルC-GI)が出ている。ニックスといえるだろう。芝向きの中距離タイプ。

●ファイナライズ(牝 栗東・中内田充正 父ロードカナロア、母ワイルドココ)
 チューリップ賞(GII)6着馬シグナライズ(父Frankel)の半妹。母ワイルドココはパークヒルS(英G2・芝14f132yds)を勝ったほか、リリーラングトリーS(英G3・芝14f)を2連覇した長距離の名牝で、ヴェルメイユ賞(仏G1・芝2400m)では女傑Treve(凱旋門賞2連覇)の2着となっており、中距離でも相応の実力を示した。Konigsstuhl 3×4など濃厚なドイツ血統で構成されており、本馬の父ロードカナロアとは血統構成も距離適性も異なる。

 そのなかにあって、Storm Bird≒The Minstrel 4×4という、たったひとつの相似な血のクロスがまったく相反する2つの個性を結びつけている。母は日本向きとは言いがたい重厚な血で、これまでの父の成功産駒とは異なるパターンの配合だが、互いにきわめて質が高く、「スピード×スタミナ」という好ましいアウトラインで成り立っているので期待できる。芝向きのマイラー〜中距離馬だろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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