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あの実績馬は仕上がり不足!?セントウルSほか重賞に臨む注目馬の追い切りチェック

  • 2018年09月05日(水) 18時00分


追い切りの動きに余裕も見せた、ロジクライ


 9月4日に関西圏を襲った台風21号。報道を見ていると大きな被害が出ていますが、テレビで関空の連絡橋にタンカーが衝突したり、滑走路が海になっている様子を見ていると、突然の「ブチッ」。そう、我が家も15時30分ごろに停電しました。

 停電は滋賀県全体とか栗東全体ではなく、私の住んでいる地域限定だったようです。災害用の備えはしていたのものの、いざ電気が使えないとなれば、インターネットはもちろんのこと、仕事をするどころか生活も限定されてきます。最初は2時間くらいで復旧するだろうと簡単に考えていましたが、18時前になっても復旧する様子はなく、あわてて暗くなる前にいろんなことを済ませておこうと行動することに。

 結局、22時30分ごろに周囲も含めて、一斉に明かりが灯り、ほっと安心しましたが、これが長期間続いたり、もし断水になっていたら、と考えるとこのくらいで済んでよかったというのが本音です。

 一夜明けた5日にはいろんな被害が判明しているかも知れません。ただ私自身は幸いにも通常通りの生活に戻ることができました。ですから、いつもと変わらず、追い切りをしっかりと見て、週末の予想で結果を出す。自分ができることに努めていきたいと思います。

【京成杯AH/ロジクライ】

 前走中京記念では当コラムでも取り上げていますが、その時に記した内容が『ここ3走は1週前に速い時計を出して、最終追い切りは終い重点ですが、今回もそのパターンに合致。1週前は4F49.8秒ですから、ここまでしっかり動けるようなら休み明けでも問題ないといったところ。

 最終追いは4F時計が56.2秒とかなり遅くなりましたが、この数字自体は六甲S1着時の最終追いとほとんど変わりません』というもの。なのに無印にしたのは、下手に夏場を気にしたことによる、私のセンスのなさです。

 今回はここ4走とパターンが変わりました。最終追い切りでも速い坂路4F時計を出していて、51.1秒は9月5日の二番時計タイ。動きには最後まで余裕がありましたし、見た目としては申し分ありません。当時の自己ベストを更新したシンザン記念が1着ですから、速い時計を出しての好走歴もあります。あとは前走とのパターン変化に対する評価だけです。

ロジクライ

追い切りでいい動きを見せたロジクライ(9月4日撮影)


【京成杯AH/ヒーズインラブ】

 中山芝1600mは大の得意。陣営もそれを意識したローテーションを組んでおり、ダービー卿CTの優勝はなるべくしてなった結果といってよいでしょう。ただ当時は使いながら、状態を上げて、ダービー卿は中3週のローテーションに対して、追い切り本数が5本という攻め強化での素晴らしい状態でした。

 もちろん当時の最終追い切りもCWで素晴らしい動き。それと比較すると、今回の最終追いは時計的に大差はなくても、当時のような軽快さが感じられません。このあたりは休み明けというローテーションが大きく影響していると思います。得意舞台だけに、それなりに動けるとは思いますが、当時よりも1.5キロのハンデを背負った状態でどこまでというのが正直なところ。

ヒーズインラブ

得意舞台も斤量が鍵となるヒーズインラブ


【セントウルS/ファインニードル】

 手前味噌になりますが、昨年のセントウルSと高松宮記念は本命を打って1着。とはいえ、無印にしたシルクロードSでも1着ですから、決して的確な評価ができている馬ではないかも知れません。そもそもシルクロードSで無印にした理由は最終追い切りがCWだったこと。これまでの坂路追い切りではなかったので、そこが休み明けたる所以のような評価をしましたが、結果的にはいい刺激になったのではないでしょうか。

 でも今回評価を下げたい理由は1週前追い切りの動き。4F51.7秒という時計は評価できますが、直線での二度のフラつきはまだ中身が出来ていない証拠かなという印象。また高松宮記念は1週前追い切りにCWを取り入れたことで、意外とCWが調教の要になってきた印象もありました。最終追い切りは台風の影響から6日に予定しており、ここでどんな動きを見せるか注目したいと思います。

ファインニードル

1週前追い切りは評価できないファインニードル(9月4日撮影)


【セントウルS/ラブカンプー】

 今年に入ってからコンスタントに使われ続けていて、2ヶ月以上休んだのは葵SとアイビスSDの間だけ。420キロ台と小柄な馬体だからこそ、常に全力で走って、常に結果を出せるのかも知れません。5日の追い切り直前にその馬体を確認しましたが、やっぱり細目な体を見てしまうと、どうしても評価を下げてしまいます。

 しかし、今回の最終追い切りは比較的動けた方だと思います。水分をたっぷりと含んで時計を要する状態だった栗東坂路なので、ラスト1Fは13秒台後半も想定していましたが、12.7秒で踏ん張っています。もちろん、その分は前半をゆったり入っていますが、この時計は評価ができます。ただ、気になるのが阪神競馬場。これまで坂路での動きが目立たなかったのは坂が不得意なのか、それとも阪神での二桁惨敗はいすれも距離が合っていなかったからなのか。今回でそこがハッキリするような気がします。

ラブカンプー

坂のある阪神競馬場での適性が不安なラブカンプー(9月4日撮影)


【セントウルS/アサクサゲンキ】

 前走について。音無秀孝調教師は「枠なりに回ってきてくれれば、詰まるシーンはなかった」と語りますが、個人的には外を回ったらその時点で終了の展開だったと思います。確かに狭いシーンが2か所ほどありましたが、そもそも外枠を引いた時点であの競馬しかなったような気がします。

 ただ不完全燃焼なのは確か。それもあって、巻き返しに意気込む同師。個人的にも最終追い切りには注目していましたが、サンライズノヴァとの併せ馬は時計の出にくい坂路馬場のせいもあって、かなり時計を要してしまいました。馬なりでこの時計ならさほど気にしないのですが、最後はしっかり追っての4F54.4秒。4F目最速という点は評価すべきですが、飛びついて印を打ちたくなるほどではなかったという印象です。

アサクサゲンキ

前走からの巻き返しを狙うアサクサゲンキ(9月4日撮影)



◆次走要注意

・9/2 2歳新馬【ガンケン】(5人6着)

 追い切りでのイメージとは全く違った走り。芝のスピードについていけない印象があったので、やはり血統から本質的にはダートかも知れません。今回と同じような調教ができれば、ダート替わりで一変するはず。

[メモ登録用コメント] [ダート]最終追い栗東坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・セントウルS【アクティブミノル】

 ついに最終追い切りCWという好走パターンを出してきました。昨年の北九州記念の最終追い以来ですが、当時が勝ち馬と0.3秒差の7着。そして、そもそも3年前にセントウルSを勝った時がCWでの最終追い。動き自体はしっかりしていますし、この場所変化は見逃せません。

アクティブミノル

最終追い切りをCWに変えたアクティブミノル



【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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