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新たに『地方競馬強化指定馬制度』

  • 2018年09月11日(火) 18時00分


◆この制度で活躍馬が増えれば、競馬が更に盛り上がること間違いない

 地方所属馬のレベルアップを図るべく、昨年度から始まった『地方競馬強化指定馬制度』。その初年度、指定馬となった4頭の中から、ハセノパイロが東京ダービー馬となり、サザンヴィグラスは北海道の一冠目・北斗盃を制した。

 昨年度、指定馬とされた馬には、「平成30年1月〜6月の間、育成施設等を利用して競走能力向上を図った場合に、馬主に対してその経費(の一部=最大200万円)を支援」というもの。そもそも指定馬はいずれもダートグレードで入着していた実績馬なので、3歳になってそれくらいの成績を残しても当然といえば当然なのだが、馬主にしてみればより高いレベルの調教ができるということであれば、そのメリットは大きい。

 そして今年度、昨年度に指定された4頭とは別に、あらたに3歳馬5頭、各競馬場ごとに地方競馬全国協会が選定した各1頭(最大12頭)の計17頭の指定馬選定が実施されている。

 本サイトに掲載された、『【地方競馬ネット会議室(1)】“地方競馬をより面白く!” 塚田理事長インタビュー・後編』(http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=40957)で、NAR塚田理事長が、「今年は、2歳馬に加えて3歳馬も5頭指定します。それから各主催者ごとの強化指定馬。主催者が12ありますから12頭ですね。こうして“強化指定馬制度”を拡大しようと思っています。」と話していたが、それが実施に移された形だ。

 昨年度、指定馬となった馬(馬主)は、前述のとおり育成施設を利用した経費について、申請すれば支援金が受けられたが、今年度の指定馬は、これに加えて新たに「所属場及び常時交流場以外(国内外問わず)で実施される重賞競走等に出走する場合に、その経費を補助する。」という項目が加えられた(金額は、3歳馬5頭が100万円以内、競馬場ごとの選定馬が70万円以内)。

 つまり、外部の育成施設を利用した場合だけでなく、指定馬が他地区や中央、さらには海外のレースに遠征した際の輸送費も、支援金支給の対象となるということ。ちなみに主催者から輸送費が支給されるレースの場合は対象とならない。

 実は昨年度に指定馬となった馬主の一部関係者からは、「レース出走前には規定の期日までに入厩している必要があり、外部の施設を使うといってもタイミング的に難しい」というような声も聞かれていた。たしかに北海道や岩手などのように長期の休催期間があったり、長期で外部に預託できる状況にあればいいが、レースを定期的に使いながら、認定厩舎(外厩)以外の外部施設を利用するというのは難しい状況もある。そういう意味でも、支援金の対象が交流競走の輸送費にも広げられたことは評価できる。

 ただ実は今回の新たな、3歳馬5頭+競馬場ごとの選定馬12頭の指定馬選定については、まだ公にされていない。公表されるより先に、指定馬となった馬主に直接通知された形だ。詳細が決まったのが実施の直前だったために発表のタイミングがなかった、ということのようだ。

 馬主への支援金ということでは、ファンには直接は関係のないことだが、これによって他地区や中央に遠征して活躍するような馬が増えれば競馬が盛り上がることは間違いない。昨年度指定馬となった4頭は公表されたが、新たな指定馬についても、どんな基準でどの馬が指定馬となったかは、馬主にしてみれば(もしかしたらファンにとっても)気になるところではないだろうか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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