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浦和競馬の歴史とともに、黄色いカレー

  • 2018年09月25日(火) 18時00分


◆昭和の時代はカレーにソース、かけてませんでした?

 浦和競馬場が、来年のJBC開催に向けて大改装中だ。メインとなる建設中のスタンド(新2号スタンド)を、3号スタンド3階から見るとこんな感じ。2019年7月末に完成予定となっている。

喜怒哀楽

来年のJBC開催に向けて建設中の新2号スタンド


 そして浦和競馬場は、今年で70周年を迎えた。3号スタンドの1階では『浦和競馬70年の歩み』という写真展も行われている。その写真は、浦和競馬場70周年記念サイト(http://www.urawa-keiba.jp/70th/)でも見ることができる。埼玉新聞に掲載された記事をまとめたものだ。ぜひご覧いただきたい。

 行ったことがある方はご存知と思うが、浦和競馬場はふつうの住宅に囲まれている。それにしても、政令指定都市の住宅街のど真ん中に競馬場が残っているというのは、奇跡と言ってもいいのではないか。

 浦和競馬が公営競馬(県営浦和競馬)として行われるようになった当初、1948(昭和23)年の開催日には、当時の記事によると、このスペースに5万人も7万人もの入場があったというから驚く。本当だろうか。もちろん当時、まわりに家などほとんどなかったと思われるが。

 馬券の売上の大半がネットとなった今では、ぎゅうぎゅうなほどお客さんが入ることはほとんどなくなったが、まだ電話・ネット投票がなかった平成初期のころ、正月開催ともなれば1万数千人の入場があって、それでも相当な混雑だった。駐車場が少ないこともあり、近隣の交通も麻痺してしまうほどだった。

 昭和の終わりごろから平成の30年で相当に姿を変えた浦和競馬場だが、ごく一部とはいえ、今でも昭和の名残を見つけることができる。たとえばこれ。

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『単勝 複勝 発売所・払戻所』という案内表示、わかりますか?


 3号スタンド裏、かつては飲食店の長屋だったところだが、今ではシャッターが降りたままで、一部は資材置き場や、新スタンド建設の事務所としても使われている。その軒先に残る『単勝 複勝 発売所・払戻所』という案内表示、わかるだろうか。

 マークカードの自動発券機が当たり前になってから競馬を始めたという方にとっては、何のことやら?という感じだとは思うが、昭和から平成の初期まで、地方競馬では単勝・複勝は専用の窓口でしか発売されていないという競馬場もめずらしくなかった。しかも単・複専用窓口は、きわめて数が限られていて、浦和でも10以下だったのではないだろうか。それゆえの案内表示だ。窓口の数が少ないから、当然単勝・複勝の売上は少ない。

 それ以前、連勝式が買い目ごとに窓口が別々になっていて、いくつもの組み合わせを買う場合は、そのぶんの回数、窓口に並び直さなければならない、という時代はさすがに経験していないが、連勝式の窓口がいくつも必要だったぶん、単・複の窓口は隅に追いやられ、それで単・複はあまり売れず、売れないから窓口も少ない、という循環に陥ったと想像するのだが、どうだろう。

 そんな浦和競馬場の歴史とともに、昭和の時代からあって、今でも健在なのが、里見食堂の黄色いカレーだ。

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昭和の時代からあって今でも健在、里見食堂の黄色いカレー


 里見食堂は競馬場の改修とともに何度か場所を移していて、今は3号スタンド裏の第7投票所の中にある。それ以前、ぼくが浦和競馬場に通い始めた平成の初期には、パドックのすぐ横にあった。当時のカレーは、もっと鮮やかなレモン色に近い黄色だったような記憶があるのだが、当然スマホも携帯電話もない時代で、カメラも持ち歩いていないから写真もなく、比べようもないのは残念だが。

 変わらないのは、玉ねぎがやたらと多く入っていること。ほかには、豚肉、人参、マッシュルームで、じゃがいもは入っていないか、入っていたとしてもごく少量。だから今回、コロッケをトッピングしてみました。そして、ご飯の量に対してカレールーがたっぷりなのもうれしい。今どきのカレーって、ご飯に対してルーが少ないと思うことはないですか。昭和のカレーは、ルーも、入っている具も、たっぷりだったような気がするのだが。

 そしてここ10年以内くらいのことだと思うのだが、里見食堂の黄色いカレーは、さまざまな量で注文ができる。

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常連さんの注文に、最初は裏メニュー的に対応していたのが…


 聞くところによると、常連のお客さんがさまざまに注文をつけてきて、最初は裏メニュー的に対応していたのが、ついにはそれをちゃんと料金表として出すに至ったということのよう。写真のカレーは、並カレー550円也。後乗せコロッケは120円。見ておわかりのように、ソースをかけてみました。

 昭和の時代を経験しているみなさん、カレーにソース、かけてませんでした? さすがに今どきの複雑に完成されたカレーにソースをかけようとは思わないけど、昔のいわゆるカレー粉と小麦粉でつくったカレーって、味がシンプルなので酸味のあるソースがとっても合う、とぼくは思うのですよ。

 思わずソースをかけたくなる、昭和的な黄色いカレー、いかがでしょうか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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