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今年もまたもや3着が紛れるか!?/スプリンターズS

  • 2018年09月26日(水) 18時00分

■スプリンターズS(G1・中山芝1200m)フルゲート16頭/登録22頭


【特注データ】〜レースデータより〜



 スプリンターズSを予想する上で何よりも重視すべきが、「鞍上が継続騎乗かどうか」である。いかに極端な成績差が出ているかはご覧の通りで、騎手が乗り替わった馬はトータル[0-0-4-48]と、3着にくるのが精一杯だ。上位人気に推された馬であっても総コケであり、外国人ジョッキーへのスイッチであっても、高くは評価しづらい。

 またスプリント戦の頂上決戦らしく、好走した継続騎乗馬のほとんどが「前走4コーナー9番手以内」であるのも注目したいポイント。前走で後方からの競馬となっていた馬は、信頼度がきわめて低い。昨年1着のレッドファルクスや、2015年の2着馬サクラゴスペルといった「例外」もいるが、過信は絶対に禁物のパターンといえる。

【コース総論】中山芝1200m Cコース使用

・コースの要所!

★1番人気など上位人気の勝率が高いコース。穴で妙味があるのは7〜9番人気。
★枠番の内外による有利・不利が意外に小さい。内容がいいのは馬番9〜12番。
★短距離戦でもあり、基本的にはやはり先行勢優勢。予想の軸足は先行勢に!





 外回りコースのバックストレッチに入った地点からスタートする、中山の芝1200m。高低差のあるコースを、スタート直後から一気に駆け下りるという形態で、当然ながら序盤のラップは速くなりがちだ。最後の直線には急坂が待ち構えるが、ここに出走するのはトップクラスの持久力を有する一線級のスプリンター。そうそう簡単には止まらない。

 人気別データで目立つのは、1番人気など人気サイドの勝率が高いことだ。1番人気はトータル[32-13-10-46]としっかり勝ちきっており、単勝適正回収値も86.8と優秀。こと「1着」に関しては、人気馬を素直に信頼したほうがよさそうである。2〜3着で狙ってオイシイのは、7〜9番人気や10〜12番人気あたり。傾向的には、ヒモ荒れも十分に期待できるコースといえる。

 中山芝といえば「内有利」のイメージが強いが、当コースは意外なほど枠番の内外による有利・不利が小さいようだ。信頼度がもっとも高いのは、やや外である馬番9〜12番。また、外枠である馬番13〜16番も人気通りに走っており、その内容はけっして悪くはない。組み合わせや展開にもよるが、枠番はそれほど気にする必要がないコースなのである。

 短距離戦でもあり、脚質はやはり先行勢優勢。しかし「先行勢絶対」ではないという点には注意が必要だ。さすがに後方に置かれると厳しいが、中団待機組の内容はなかなかのもので、単勝適正回収値も優秀。道中のラップが厳しくなるオープンにおいては、このデータ以上に差しが決まりやすいと思われる。「やや前有利」程度の認識がいいだろう。

【レース総論】スプリンターズS(G1) 中山過去9回

・レースの要所!

★3着が紛れまくるレース。人気薄の3着固定といった特殊な買い方もアリか。
★内枠と外枠が好内容という面白い結果。センター枠番の成績不振が目立つ。
★中団から差した馬の成績がイメージ以上に良好。内容は先行勢と互角以上。
★4〜5歳馬が中心で高齢馬は割引。激走率の高い「前走着差なし」馬も注意。









 レースの平均配当は、単勝880円、馬連4286円、3連複2万8円。単勝平均や馬連平均が控え目であるのに対して、3連複平均だけが突出して高くなった。その要因となっているのが、異様なまでの「3着紛れ」率の高さ。1〜2着馬の平均人気は「3.8」とおおむね順当なのだが、3着馬の平均人気はなんと「8.1」という高さとなっている。さすがにこれは偏りすぎだと思うが、ヒモ荒れ傾向が強いレースであるのは間違いない。

 次に枠番だが、コースデータとは違って大きな偏りが出ている。信頼度が図抜けて高いのが外枠である馬番13〜16番で、複勝率は28.6%をマーク。単勝適正回収値142.1、枠番値プラス0.1と、回収率ベースの数値も優秀だ。あとは、枠番値がプラス0.5と非常に高く、複勝回収値も106と大台を突破している馬番1〜4番もプラスに評価したい。

 つまり、内と外が好内容で、それに挟まれた「センター枠番」の内容がイマイチということ。平均人気の低さから馬番9〜12番の信頼度が低くなるのは致し方ないが、もっとも人気になっている馬番5〜8番は連対率ワースト。さらに枠番値マイナス0.7と、大不振といっても過言ではない低調な内容である。ここは、かなり割り引いて考えたい。

 外枠の好成績に大きく関わっているのが、差し馬の好調ぶりだ。コースデータの解説でも触れたが、中団待機組が「意外に差せる」のが中山芝1200m。レースデータでも勝率10.9%と、先行勢を上回っている。ただし、最速上がり馬が[0-0-1-8]と1頭も連対できていないように、末脚一辺倒のタイプでは厳しい。好位〜中団やや前のポジションから、ジリジリと脚を伸ばしてくるような馬を狙いたい。

 外からの差しがよく決まっているのは、「馬番×脚質データ」からも見てとれる。突出して好成績なのが、4勝7連対と絶好調である「外×差し」の組み合わせ。また、先行策から好走した馬に関しては、枠の内外があまり関係ないのも判明する。中団から差すようなタイプを狙う場合には、外の場合を高く評価するようにすべきだろう。

 年齢別では4歳馬の強さが目立っており、それに次ぐのが5歳馬。昨年は6歳のレッドファルクスが凱歌をあげたが、7歳以上で勝ったのは外国馬のウルトラファンタジーだけであり、日本馬については「年齢が若いほうがベター」であるのは明白だ。この傾向は、レースキャリア別での成績にもハッキリと現れている。

 最後にオマケの小ネタを。なぜかスプリンターズSでは前走での勝ち負けを問わず、「前走着差なし」の馬がとんでもなく強いのだ。トータル[5-2-2-14]と、なんと5頭もの勝ち馬がここに含まれている。今年の登録馬でこのパターンに該当するのは、セイウンコウセイ1頭だけ。まったくアテにできないデータではあるが、いかにも「ありそう」な馬で、個人的にはかなりクサいと感じた。

【血統総論】


・現在の馬場
 引き続きCコースを使用。開催が進むにつれて前残り傾向が強まってきた印象。

・天候予測
 土日ともに傘マークで、良馬場にはならない可能性のほうが高い。

・注目血統
 ダイワメジャー産駒◎、アドマイヤムーン産駒○

 今週もCコースで開催される中山芝。土曜日のメインではモズスーパーフレアが1分7秒0の時計で逃げ切っている。また、日曜日のオールカマーではレイデオロが「イン差し」を決めているように、馬場の内が悪くはなっておらず、時計も速い──というのが現時点での見立て。開催が進むにつれて、馬場が踏み固められて前残り傾向が強まってきたような感触もある。

 血統面はダイワメジャー産駒とアドマイヤムーン産駒をプラスに評価。実際はそれほど目立った内容ではないのだが、連対率や複勝率の高さから、アタマひとつ抜けている印象がある。あとは、ディープインパクト産駒の連対率がたったの12.0%しかないのもポイント。やはり、スパッとキレる脚ではなく、粘り強くジリジリ伸びるようなタイプのほうがここでは買える。

★出走登録馬 総論×各論

 同一G1の三連覇がかかるレッドファルクスに、スプリント界の新王者となりつつあるファインニードル、安定感のある走りで充実ぶりが目立つナックビーナスなど、かなりの好メンバーとなりそうな今年のスプリンターズS。netkeiba.comでの人気は、現在のところファインニードルとナックビーナスが上位に推されている。

 当データ分析のトップ評価馬はファインニードル。久々で仕上がり途上に見えた前走のセントウルSだが、終わってみれば完勝だった。道悪であの競馬ができるというのは大きな強みで、好位〜中団やや前から差す競馬ができるのもプラス。昨年は大敗だったが、まったく競馬になっておらず、ノーカウントとして扱うべき内容である。乗り慣れた川田ジョッキーの継続騎乗で、ここも力の違いを見せつけそうだ。

 二番手評価にセイウンコウセイ。意外に人気薄となりそうだが、ここはけっこう買い材料の多い一戦だ。レースキャリアが23戦と比較的少ないことや、前走着差なしの小ネタ該当馬であること、アドマイヤムーン産駒の5歳馬で道悪で2勝をあげていることなど、侮れない要素が満載。高松宮記念を制している実績からも、期待大といえる。

 三番手評価にナックビーナス。北海道シリーズの2戦でもキッチリと結果を出して、高松宮記念での激走がけっしてフロックなどではないことを証明してみせた。「継続騎乗のモレイラ」という強力な武器を持ち合わせており、好位〜中団やや前からしぶとく伸びる競馬ができるのもプラス。上位争いに加わってきて当然の1頭である。

 以下はムーンクエイク、ラブカンプー、ダイメイプリンセス、キャンベルジュニア、レッツゴードンキ、レッドファルクス、ワンスインナムーンという評価の序列。あとは枠番がどうなるかと、当日の天候次第だ。レース最大の特徴である「3着馬が紛れる」という点を、最後の最後まで忘れないようにしたい。


■総論×各論・先週の馬券回顧



阪神11レース 神戸新聞杯(G2)
1着 03ワグネリアン
2着 02エタリオウ
3着 06メイショウテッコン

出遅れるんかーい!(#^ω^)ビキビキ

……と、エポカドーロの馬券を握りしめていたファン全員がツッコミを入れたであろう、神戸新聞杯のスタート直後。タメてもキレるタイプではないだろうから、先行できなかった時点で厳しいっすよね(吐息)。次走への注目は……エタリオウが菊花賞でまっすぐ走れるかどうか、ではないかと。

※コース&血統データは2014年〜2018年9月17日、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該条件における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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