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血統ビーム タイプ別分類ガイド サンデー系編Vol.2

  • 2018年10月01日(月) 18時15分
ゴールドシップ

▲ netkeiba Books+ から血統ビーム タイプ別分類ガイド サンデー系編Vol.2の1章、2章をお届けいたします。


血統馬券予想理論「血統ビーム」の提唱者・亀谷敬正が書き下ろした最新刊。血統マニアから絶大な信頼を受けるカリスマが、「血統は堅苦しい」という概念を覆す“簡便さ”をテーマにアプローチした“すぐに使える血統マニュアル”。本作は、Vol.1で扱いきれなかったサンデーサイレンス系種牡馬を網羅。サンデー系種牡馬の攻略は、これでカンペキだ!

(文:亀谷敬正)
(写真提供=下野雄規、福田淳司、JRA、netkeiba)


サンデー系を“タイプ分け”してご紹介


 近代競馬がサンデーサイレンス抜きには語れないのは、前作のVol.1を見てもらってもご理解いただけたと思う。現代の日本のG1競走において、出走馬の大多数はサンデーサイレンスの血を有しており、だからこそ、同じサンデー系でも“細かなタイプ分け”が重要になってくる。とくに、芝マイル以上では「サンデーの血がどのように遺伝したか」を「タイプ分け」することが、血統面における馬券攻略の近道だ。

 ここではVol.1では取り上げることができなかった、サンデー系種牡馬の現役時代の戦歴、産駒の傾向、そして“血統構成”を分析。「スピードがより強いサンデー系」、「スタミナが強いサンデー系」、「パワーが強いサンデー系」などのタイプに分類することで、大まかな傾向が表れている。

 なお、血統のタイプ分け、およびタイプ別の競走データは「亀谷ホームページ」の「スマート出馬表」にて無料公開している。ぜひ参考にしていただきたい。「スマート出馬表」ではサンデー系種牡馬をスタミナ寄りの“Tサンデー系”、スピード寄りの“Pサンデー系”、ダート寄りの“Dサンデー系”、ローカル寄りの“Lサンデー系”に分類している。

 このVol.2では、主に“Pサンデー系”および“Dサンデー系”に分類されるサンデー系種牡馬を個別に分析した。例えば、同じフジキセキの産駒でもPサンデー系に分類されるキンシャサノキセキとDサンデー系のカネヒキリでは産駒の適性はまったく異なるし、血統構成がすべて同じディープインパクトとブラックタイドですら、産駒は“大雑把に見れば”似ている部分はあるものの、“細かく見れば”当然、異なる。

 本書では前作に引き続き、各サンデー系種牡馬の「大雑把」に似ている部分と「細かな違い」について、その差異を詳しく解説している。前作と合わせて読めば、主なサンデー系種牡馬の血統的な特徴を理解でき、そして馬券攻略の糸口がつかめてくるはずだ。

フジキセキ


血統マニュアル

◆米国、スプリント色も強いが、クラシック勝ち馬も出す万能型

 サンデーサイレンス産駒初年度産駒で、初期の後継種牡馬の代表がこのフジキセキだ。母父は、フランスダービー馬のルファビュリュー。母系には、芝1000mでの速力比べの名血インリアリティの血を持つ。

 サンデー系種牡馬のなかではダート適性の高い産駒が多く、クラシック勝ち馬も出したが、ディープインパクト、ハーツクライと比べると短距離、ダート指向が強い種牡馬。一瞬でスピードに乗る反応の速さは、サンデー系種牡馬でもトップレベル。スプリントG1勝ち馬も複数出した(キンシャサノキセキ、ストレイトガール)。ただし、加速の速さに勝る代わりに、対極にあたるトップスピードや末脚の伸びは、ディープやハーツクライには劣る。

 母父の産駒にダートG1勝ち馬サウンドトゥルー、芝1000m重賞勝ち馬で、スプリンターズS2着がある2012年のサマースプリントチャンピオン・パドトロワがおり、父としてだけでなく母父としてもパワーやスプリント指向のスピードをサポートしている。

血統マニュアル

▲2012年キーンランドC / パドトロワ


キンシャサノキセキ


血統マニュアル

◆フジキセキのパワー、スプリント力をさらに強化

 フジキセキの加速力とパワーを、さらに強化したのがキンシャサノキセキだ。南半球産馬で、サンデー系のなかでは芝1200m適性、ダート適性は高い。日本の馬よりも半年近く生まれが遅いにもかかわらず、新馬戦から2連勝。NHKマイルCでも3着がある。半年遅れのハンデがありながら、3歳前半からG1級のパフォーマンスを発揮したのは体力の完成が早く、気性も前向きだったからに他ならない。その後は、芝1200mG1でも勝利し、スプリント適性の高さを示した。

 産駒も2歳戦、1400m以下のスピード勝負に強い馬が多い。パワーも兼備している馬が多く、2歳限定戦のダート1400m以下は人気信頼度がとくに高い。

(2章につづく)
ダノンシャンティ、カネヒキリ、アグネスタキオン

▲ netkeiba Books+ から血統ビーム タイプ別分類ガイド サンデー系編Vo2.1の1章、2章をお届けいたします。(ダノンシャンティ / 撮影:福田淳司)


ダノンシャンティ


◆ダーレーが誇る名牝系。直線スピードにも長けたフジキセキ産駒

 祖母は直線のスピードを伸ばす名牝グロリアスソング。母父はマークオブエスティーム。母父父はダルシャーン。欧州では切れ味のあるマイラータイプだ。

 生産はダーレー。ダーレーグループの良血が凝縮された母系で、母の兄はドバイワールドCとジャパンCを勝ったシングスピール。母系の血統から直線でのスピードを強化された配合で、父フジキセキよりも直線でのスピードの伸びを強化されている。これほどの良血がなぜか?セレクトセールに出され、抜け目なく買い取ったのがノーザンファーム。NHKマイルCをレコードタイムで優勝した。

 産駒も直線でのスピードに長け、非根幹距離の適性も高い。気性が穏やかであれば、直線の長い1800mがベスト条件なのだが、気性が前向きな産駒も多く、より短い距離にシフトする馬も多い。スピードがあり、気性が前向きになる馬も多いため、芝1400m以下の勝ち星期待値も高い。とくに平場の1400m以下で注目したい。距離短縮もこなし、ダートの活躍の場は軽いダートの1400m以下が多い。

カネヒキリ


血統マニュアル

◆母の適性を全面的に引き継いだダート特化型

 フジキセキのパワーというより、母のダート適性を全面的に受け継いだのがカネヒキリ。2018年9月現在、産駒の勝ち星はすべてダートで、母はシルヴァーデピュティと同配合の妹にあたる。

 現役時代はダートG1のJCダート(ダ2100m)をレコードタイムで優勝。現役時代は、芝よりもダートのほうが速いタイムで走れた馬。ダートコースでは広いコースの時計勝負をより得意としていたが、産駒もその特徴を引き継ぐ馬は多い。

 ダート戦で苦手とするコースはやはり小回りの函館、小倉で、最も得意とするのは東京。その他のコースでは、人気以上に好走率が高い。

アグネスタキオン


血統マニュアル

◆ボールドルーラーの特徴を引き継いだフィリーサイアー

 サンデーの後継種牡馬としては、ボールドルーラーのスピードの持続性が強く出たタイプ。無敗で皐月賞を制した後、故障発生で引退した。

 代表産駒はダイワスカーレット、ディープスカイ、キャプテントゥーレ。特徴としては牡馬は3歳戦に強く、牝馬の産駒で大成するのは硬質なタイプを出しやすい血統で、フィリーサイアー寄りの種牡馬といえる。すでに亡くなっており、直仔が出走することはないが、母父にアグネスタキオンを持つ産駒の出走は多い。

2007年:桜花賞

 アグネスタキオンがボールドルーラーの特徴を引き継いでいることもあり、母父タキオンの産駒もボールドルーラー系が走りやすい条件に強い。父が米国型、もしくはミスタープロスペクター系の場合はダート馬、父が欧州型の場合は芝馬になりやすい傾向が見られる。

(続きは 『netkeiba Books+』 で)
血統ビーム タイプ別分類ガイド サンデー系編Vol.2
  1. 第1章 フジキセキ、キンシャサノキセキ
  2. 第2章 ダノンシャンティ、カネヒキリ、アグネスタキオン
  3. 第3章 ディープスカイ、ゴールドアリュール、スマートファルコン、エスポワールシチー
  4. 第4章 ダイワメジャー、デュランダル、ジャスタウェイ
  5. 第5章 ネオユニヴァース、ヴィクトワールピサ、マツリダゴッホ、スズカマンボ
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