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英国牝馬出世レースのフィリーズマイルは三つ巴

  • 2018年10月10日(水) 12時00分

翌日には2歳牡馬の頂上決戦・デューハーストSも


 凱旋門賞ウィークの翌週は、英国ニューマーケットを舞台した2歳馬たちの戦いに、関係者やファンの注目が集まる。

 まず、12日(金曜日)に行われるのが、2歳牝馬による1マイルのG1フィリーズマイルだ。牝馬の出世レースとしてつとに有名な一戦で、例えば昨年の勝ち馬ローレンズは今季、G1サンタラリ賞(芝2000m)、G1仏オークス(芝2100m)、G1メイトロンS(芝8F)と3つのG1を制覇、16年の勝ち馬ロードデンドロンは、17年にG1オペラ賞(芝2000m)、18年にG1ロッキンジS(芝8F)を制覇。15年の勝ち馬マインディングは翌年、G1英1000ギニー(芝8F)、G1英オークス(芝12F6y)の2冠を含めて5つのG1を制し、欧州年度代表馬の座に昇りつめている。

 ここを勝てば出世が約束されているフィリーズマイル。今年はブックメーカーの上位人気が拮抗しており、8日(月曜日)の段階では、ラルフ・ベケット厩舎のアントニオドヴェガ(牝2、父ロペドヴェガ)、エイダン・オブライエン厩舎のハーモーサ(牝2、父ガリレオ)、同じくエイダン・オブライエン厩舎のザギトヴァ(牝2、父ガリレオ)の3頭が、オッズ4.5倍〜5.5倍の間にひしめく三つ巴となっている。

 愛国における準重賞入着馬ウィッチーズブリューの初仔で、叔父にG1ジャックルマロワ賞(芝1600m)勝ち馬アルワケールがいるという血統背景を持つのがアントニオドヴェガだ。7月14日にニューマーケットのメイドン(芝7F)で、ザギトヴァを2着に退けてデビュー勝ち。続いて出走したのが、8月25日にグッドウッドで行われたプレスティージS(芝7F)で、ここも白星で通過して無傷の重賞制覇を果している。

 G1ブリティッシュチャンピオン・フィリーズ&メアズS(芝11F211y)、G1メイトロンS(芝8F)と2つのG1を制している他、16年のこのレースで2着となっているハイドレンジアの全妹という良血馬がハーモーサだ。既に5戦のキャリアを消化し、9月16日にカラで行われたG1モイグレアスタッドS(芝7F)で3着に善戦した後、9月30日にナースで行われたG3パークS(芝7F)で重賞初制覇を果している。

 G1モーリスドゲスト賞(芝1300m)勝ち馬ガースウッドの半妹で、タタソールズ10月1歳市場にて160万ギニー(当時のレートで約2億5千万円)という高値で購買されたのがザギトヴァだ。8月11日にコークのメイドン(芝8F)を制しデビュー2戦目で初勝利を挙げると、続くカラのG2デビュータントS(芝7F)3着。前走9月16日にカラで行われたG1モイグレアスタッドS(芝7F)は4着だった。

 続いて、翌13日(土曜日)に同じくニューマーケットで開催されるのが、英国における2歳牡馬チャンピオン決定戦的位置付けにあるG1デューハーストS(芝7F)だ。2010年には、史上最強と謳われたフラ
ンケルもこのレースを制している。

 今年、ブックメーカー各社が2倍前後のオッズを掲げ、前売り1番人気に支持しているのが、ジョン・ゴスデン厩舎のトゥーダーンホット(牡2、父ドゥバウィ)だ。ブエナビスタを2着に退けたG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)を含めて3つのG1を制したダーレミの5番仔にあたり、牝馬ながら今年のG1セントレジャー(芝14F115y)で2着に健闘したラーティダー(牝3、父ドゥバウィ)の全弟にあたるのがトゥーダーンホットだ。

 同馬を生産したのは、作曲家バロン・ロイド・ウェバーが所有するウォーターシップダウン・スタッドで、牝馬は手元に残し、牡馬は1歳市場で売るのが同スタッドの基本方針なのだが、獣医検査で懸念材料が見つかりセール上場を断念。牡馬ではあるが、自ら所有することになったのがトゥーダーンホットである。8月9日にサンダウンのメイドン(芝8F)を7馬身差で制してデビュー勝ち。続いて出走した、9月1日にサンダウンで行われたG3ソラリオS(芝7F)を4馬身差で制して、重賞初制覇。そして、9月15日にドンカスターで行われたG2シャンパンS(芝7F6y)を1.3/4馬身差で制し、3連勝を果たしている。来季の英2000ギニーや英ダービーへむけた前売りでも、1番人気に推されているのがトゥーダーンホットである。

 各社が5〜6倍のオッズを掲げて2番人気に推すのが、サー・マイケル・スタウト厩舎のサンガリアス(牡2、父キングマン)だ。カリッド・アブドゥーラ殿下のジャドモントによる自家生産馬で、叔母にG1ジャンロマネ賞(芝2000m)勝ち馬ロマンティカがいるという血統背景を持つのがサンガリアスだ。8月24日にニューマーケットのメイドン(芝7F)でデビュー勝ち。続いて駒を進めた、9月14日にドンカスターで行われたLRフライングスコッツマンS(芝7F6y)も快勝し、2連勝を飾っている。

 今週末は、来季のクラシックを目指すスター候補たちの戦いぶりにご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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