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【岩田康誠×藤岡佑介】第5回『息子の騎手デビューも間近 岩田騎手のセカンドキャリアを考えてみた!』

  • 2018年10月10日(水) 18時02分

▲佑介騎手からセカンドキャリアについて提案! 岩田騎手の反応は…!?


岩田康誠騎手の騎乗論から勝負師としての心理まで、幅広く語り合ってきた対談も今回が最終回。「テッペン獲ったる!」という思いでJRAに移籍してきたという岩田騎手。そこから多くの実績を積み上げてきたいま、気になるのが岩田騎手のセカンドキャリア。佑介騎手からの提案に岩田騎手の反応は…!? (構成:不破由妃子)

外国人騎手の活躍をどう受け止めているのか


──現在、全国リーディングでは、クリストフとミルコが3位以下を大きく引き離しています。さらに、短期免許で騎乗中のモレイラも大活躍。正直、岩田さんはこういった現状をどう受け止めていらっしゃいますか?

岩田 俺だけではなく、みんな悔しい思いをしていると思う。でも、やっぱり数字に出てしまっているからね。そこは冷静に受け止めなアカンと思ってる。実際、彼らはミスも少ないし、確実に勝たせてくるってのもあるし。強い馬に巧いジョッキーが乗ることも、結果的に彼らが選びたい放題になることも、勝負の世界やから当然といえば当然。ただ、それを「仕方がない」と言ってしまったらそこで終わってしまうからね。

佑介 そうですよね。

岩田 結局、俺たちひとりひとりがもっと技術を上げて、彼らの勝ち星を奪い取るしかないねんな。将雅がイギリスに行ったのも、佑介がフランスに行ったのも、結局はそこにつながるわけやろ? 何かが足りないと思ったからこそチャレンジしたんやろうし、その答えは帰ってきてから見つけていけばいいわけやし。みんな本当に頑張ってるよね。俺は陰ながらみんなを応援しているよ。

佑介 ちょっと、ちょっと(笑)。なんで岩田さんが応援する側に回ってるんですか。

with 佑

▲佑介「なんで岩田さんが応援する側に回ってるんですか」


──まるで保護者のような発言ですね(笑)。

岩田 この年になると、保護者みたいになるねんて(笑)。もちろんね、俺も頑張るけどさ。佑介くらいの年だったらもっとギラギラしていると思うし、実際そうだったからね、昔は。「絶対に誰にも負けへん!」と思っていたし、中央に移籍してきた頃は「テッペン獲ったる!」なんて威勢のいいことを言ってたけどさ。それができなかったっていう現実があるわけで。

──まだまだこれからテッペン狙ってくださいよ。それにしても、岩田さんがJRAに与えた影響は大きいと思いますよ。

岩田 ホント? もっとJRAの偉い人に言ってよ(笑)。俺のこの先の人生、保障してくれるかもしれないやん。

佑介 ないない(笑)。

岩田 うん、ないな(笑)。

佑介 岩田さんは大丈夫です。きっとどこででも生きていけますから(笑)。ちなみに、セカンドキャリアを考えることってありますか?

岩田 セカンドキャリアか……何すんのよ(笑)。もちろん考えたことはあるよ。でも、自分でも何すんのかなと思ってさ。

佑介 そうだなぁ、岩田さんは…庭師とか釣り小屋の店主とか(笑)。

岩田 それ、完全にイメージで言うてるやん!

佑介 そういえば、料理は嫌いじゃないって言ってませんでしたっけ?

岩田 うん、嫌いじゃないけど…。

佑介 じゃあ、たこ焼き屋とか、粉もん屋(笑)。なんか年を取った岩田さんをイメージすると、接客しているイメージしか湧いてこないんですよね。もうすべてを受け入れた感じで。

岩田 でも、儲けられるかどうか…。

佑介 儲けって、もうお金はいらないでしょ(笑)。

岩田 いるよ!

with 佑

▲佑介「儲けって、もうお金はいらないでしょ(笑)」岩田「いるよ!」


「佑介が勝った函館記念のようなレースをしたい」


──そういえば以前、「俺は中央の的場文男になる!」っておっしゃってませんでしたっけ?

岩田 言うてたけど…、とてもじゃないけどなれへんよ。あの人、やっぱりすごいわ。

佑介 ホントですよね。ただ続けるだけだったらできるかもしれないけど、的場さんの場合、今でも年間130勝くらいして現役バリバリですからね。返し馬も誰よりも長くしてるし。

岩田 そうそう。誰よりも長く馬場を回ってるもんな。あんなふうには俺はなれへん。60歳まで乗るなんて無理やわ。もう誰も抜けへんよ。

佑介 抜こうと思うことすらないですよね。

──最後にですね、数字でもレースでもいいので、今現在、岩田さんが目指しているテーマを教えてください。

岩田 せやなぁ、なんやろ…。そうだ、佑介がエアアンセムで勝った今年の函館記念のようなレースをして勝ちたい。自信を持って乗ってたよな?

佑介 はい。

岩田 まぁ自信を持って乗るのはみんなそうだと思うけど、それ以上にあのときの佑介はレースを作ってた。そんなふうに、より内容にこだわって乗っていきたいっていうのはあるかな。

with 佑

▲今年の函館記念をエアアンセムで勝利 岩田「佑介はレースを作ってた」 (撮影:武田明彦)


佑介 岩田さんはもともと、リズムなども含めて日本のジョッキーのなかでは独特じゃないですか。だから、外国人ジョッキーが乗りにきたときに、「日本にはこういうジョッキーがいる」ということをアピールし続けてほしい。彼らに“岩田康誠”という存在を意識させてほしいなと思います。

岩田 すでにめっちゃ意識されてるよ。「なんだアイツ!? おかしい乗り方をしているヤツがいるぞ」って(笑)。みんな「彼はああいうスタイルなんです」って言うてくれてるみたいやけど。

佑介 そうなんですね。たしかに岩田さんの騎乗スタイルは気になるでしょうね。「なんか思ってたのと違うヤツがいる!」みたいな(笑)。

岩田 そんな感じや(笑)。佑介はこの先、もっともっと大きくなるんやろうなぁ。うん、絶対になると思うわ。だって、明らかに変わってるもん。騎乗スタイル自体も変わっているし、何よりレース内容が前とは全然違う。次のGIも近づいてるんちゃうかな。

佑介 いつも言うんですけど、僕の次の目標は、ずっとコンビを組んできた馬とGIを勝つことです。

岩田 そりゃそうだよな。それは大事なテーマやわ。俺もそういう経験は少ないけど、やっぱり全然違うと思うから。でも、今はそういう馬にめぐり合うこと自体がなかなかね。

佑介 難しいですよね。でも、どんなにいい馬が集まっているジョッキーでも、最終的に乗れるのは1頭。選ばれなかった馬たちは、必ず誰かに回ってくるわけじゃないですか。そこで声が掛かる位置にいることが大事だと思うし、そういうところでチャンスを活かしていきたいなと思いますね。

岩田 うん、そうだね。どういうタイミングであっても、ひとつひとつの出会いを大切にしながら、楽しみを持って乗っていきたい。来年には(息子の)望来もデビューすることやし、俺ももっと頑張らんと!

(文中敬称略、了)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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