牡馬ほど春の勢力図から変化は少ない
断然人気のアーモンドアイ(父ロードカナロア)は、予定通りとはいえ5月のオークス以来5カ月ぶりの一戦。トライアル出走の予定が少し狂ったラッキーライラックも、好仕上がりながらオークス以来5カ月ぶり。大丈夫だろうか。
第1回秋華賞2000mが創設されたのは1996年。勝ったのは、5月のNHKマイルC以来「中160日」のファビラスラフインだった。2001年にはテイエムオーシャンがオークス以来約5カ月ぶりで勝ち、2006年にはカワカミプリンセスがやっぱり5月のオークス以来約5カ月ぶりの「中146日」で勝っている。
3歳牝馬の「秋華賞」は、しだいに距離が延びる牡馬3冠「2000m→2400m→3000m」と異なり、距離変更は「1600m→2400m→2000m」。3歳牝馬の秋には伝統のクラシックとされるレースが存在しないことも関係し、菊花賞のように未知の距離に挑むわけではない。勢力図が変化することが少ないのである。
クラシック競走とされる他の3歳GIは、はるかに歴史は古い。これを秋華賞と同じ22年間の歴史として振り返ると、次週に組まれている菊花賞を3カ月以上の休養明けで勝った馬は1頭もいない。連対馬もいない。春の日本ダービーも同じ。皐月賞もまったく同様で、牝馬のオークスでも3カ月以上もの休み明けで勝った馬も、連対馬もいない。
ヒントは、同じ牝馬の桜花賞にありそうだ。桜花賞ではこの22年間、2014年レッドリヴェールと、2000年マヤノメイビーが、12月初旬の阪神JF(阪神3歳牝馬S)以来約4カ月の休み明けで、2着した記録がある。
距離区分に注目すると、もともと基本距離とされる1600mの重要レースは、2歳12月の「阪神JF」を頂点に「クイーンC」「チューリップ賞」などいくらでもあり、マイル戦での力関係はそうそう簡単には逆転しないとされている。
だから、4カ月ぶりくらいは平気なのだろう。それと同じことが「オークス2400m→秋華賞2000m」でも起こり、未知の距離(距離延長)でなければ、4カ月ぶりでも、5カ月ぶりでもさして問題なくGIを快走できるのである。ましてレースへの対応力に優れているのは、ウインクス、エネイブルなど、直近の世界のニュースが伝えるように牝馬の方である。
この世代では、アーモンドアイの能力が抜けていることを信用したい。相手本線は、春までとは身体つきが変わったラッキーライラックと、3連勝中のミッキーチャーム。