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新星狙いは大胆にいきたい。不可能などない/菊花賞

  • 2018年10月20日(土) 18時00分

必殺のイン強襲を狙うにこれ以上の枠順はない


 アーモンドアイのように抜けた候補がいない菊花賞では、さまざまな角度からのデータ(記録の積み重ね)も考えたい。消去法をとるのではない。主軸を決定するための要素のひとつにしたい。ジンクスなどいつかは消える。ただ、理由がはっきりしている記録は軽視できない。

 目下、関西馬が16連勝中。16年間に「西=西」が15回もある。つまり関東馬の2着は1回だけ。「東=東」の決着など32年間もない。理由は簡単。関東馬は弱いから。でも今年は、20年前の8頭にちかづく近年最多の「7頭」が挑戦し、巻き返しを図る。人気のブラストワンピースを筆頭にみんながんばりたい。

 過去20年に限ると、「皐月賞にもダービーにも不出走馬」が9勝もしている。遠い時代の菊花賞とは出走馬の色合いが異なる。もともと菊花賞は3冠の最終戦というより、未来に向けた出発点である。新星狙いは大胆にいきたい。不可能などない。

 逆に11勝は、春の2冠両方に出走していた馬。かつ、10頭までが春の2冠を「1秒0差」以内だった。例外はダービーで大きく崩れたキタサンブラックだけ。春の実績とは、皐月賞でも日本ダービーでも1秒差以内にがんばったくらいの総合力のことであり、そういう馬は菊花賞馬になって不思議ない。今年はエポカドーロと、伏兵グレイルが該当する。

 距離短縮の牝馬の秋華賞(23年間に4頭も4カ月以上の休養馬が勝利)と、3000mの菊花賞はだいぶ異なる。現在の日程になった2000年以降、馬券に関係した全54頭が「中8週(2ヶ月)以内」に出走している。ただ、11月当時に皐月賞以来約7カ月ぶりの87年サクラスターオーが勝っている。現在なら調教技術の進歩で補えるだろう。

 2歳戦が創設された1946年以降、最小キャリア優勝はそのサクラスターオーの5戦3勝(皐月賞馬)ただ1頭だけ。戦歴4戦以下の勝ち馬はまだいない。するとグロンディオーズと、フィエールマンは2つ(キャリア、日程)も苦しい死角を抱えることになるが、大丈夫だろうか。ここだけはちょっと心配もある。

 また、その1946年以降、1勝馬が菊花賞を勝ったことはない。これは春の日本ダービーも同様なので、1勝馬エタリオウにとっては大きな課題だが、2戦2勝のフサイチコンコルドが日本ダービーを制し、数々のデータ(ジンクス)を覆したときと同じで、エタリオウが歴史を塗り変えて不思議はない。

 日本ダービー14着は軽度とはいえ剥離骨折の影響もあったはずのグレイル(父ハーツクライ)は、対応の難しい流れになった皐月賞も、骨折明けで叩き台だったセントライト記念も、上がり最速タイの34秒台。とくに前回はゴール寸前、猛然と伸びていた。遅咲きタイプが多いハーツクライ産駒にしては、陣営が「考えていたより良化してくれるのが早い」とするくらいで、この中間、急激に良くなっている。

 岩田騎手は、今年ちょっと元気がなくJRA重賞はたった2勝だが、阪神大賞典3000mと、天皇賞(春)3200mである。必殺のイン強襲を狙うにこれ以上の枠順はない。パフォーマプロミス(感冒で京都大賞典回避)、スカーレットカラー(秋華賞取り消し)、ここ2週はさんざんだが、弱気にならず、菊花賞は攻めに出て欲しい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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