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地方に良績のある馬の死角は大きい、が…/JBC3競走

  • 2018年11月03日(土) 18時00分

JBC3重賞に触発されて、東京のAR共和国杯も買いたい


 初めてJRAの競馬場で行われるJBCシリーズ3重賞には、いつもの年とかなり異なる点がある。だいたいは「JRA組」の実質数頭立てのレースになってきたが、今回はJRAのトップが10頭以上もいる組み合わせ。フェブラリーS、チャンピオンズCと同様の厳しいレースになること。

 もうひとつは、スピードよりパワーが求められることも多い公営の競馬場のレースではなく、スピード能力が必要とされる「京都のダート」であること。

 すると、アポロケンタッキー、クリソライト、ケイティブレイブなどは、どちらかといえば交流重賞の公営の競馬場に良績のある馬なので、京都のダートに勝ち星はあってもかかえる死角が大きい心配が出てくる。

 その死角は承知で、あえてケイティブレイブ(父アドマイヤマックス)に期待したい。京都ダート1勝は500万下。阪神ダートの1勝は未勝利戦。残りの8勝はすべて交流重賞(地方の競馬場)であり、なおかつ、うち5勝がゆったり流れることの多い距離2000m以上。たしかに時計の速い京都には心配がある。

 だが、成長途上の時期にゆったり行ける交流重賞で頭角を現しただけのことで、東京の1600mダートに1分35秒台の記録が2回ある。本当はスピード系に近いダート巧者であり、本物になった現在なら、京都のダート1900mは死角ではないと考えたい。脚質にも幅があり、4歳夏の帝王賞(大井ダート2000m)では出遅れて後方追走になったが、直線鋭く伸びて勝っている。

 早くから完成されるタイプではない。一族はスピード系だが、いとこの牝馬ケイティラブが直線1000mのアイビスサマーDを勝ったのは6歳夏のこと。また、母の半兄ビーマイナカヤマがダート1200mのガーネットSを連勝したのは6〜7歳時だった。父アドマイヤマックスのただ1つのGI勝ちは6歳時の高松宮記念1200m。母の父サクラローレルは天皇賞(春)、有馬記念の勝ち馬だが、もちろん本格化したのは遅く、1800mの中山記念、2000mの中山金杯を圧勝した鋭い中距離型が本質だった。

 5歳ケイティブレイブは、この夏以降、完全に本物になっている。1900mならそうハイペースの乱戦になる心配はない。正攻法で好位追走から抜け出してくることを期待したい。京都のダートは他場より高速になりがちだが、晴天続きの今週はかなり乾燥したダートでもある。

《JBCスプリント》は、大敗(太め、落鉄)後なので評価は分かれるが、マテラスカイは時計勝負のダート歓迎。2走前の快レコードの1200m通過はなんと1分07秒5だった。父スペイツタウン(その父ゴーンウエスト)は、04年の米BCスプリント(ダ6F)を1分08秒11で快勝して種牡馬となった。

《JBCレディスC》は人気でもラビットラン(父タピット)。昨秋のローズS芝1800mを1分45秒5(上がり33秒5)で猛然と差した爆発力が全開するのは、芝か、京都のような時計勝負の直線平坦のダート。タピットの代表産駒の牝馬アンタパブル(米)は、14年のBCディスタフ(ダ9F)を1分48秒68で勝っている。

 京都のJBC3重賞に触発されて、東京のAR共和国杯も買いたい。あと一歩で勝てないままの1600万条件馬ルックトゥワイス(父ステイゴールド)だが、東京の長丁場なら崩れない。東京の芝2000m以上【1-4-0-0】。54なら差はない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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