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新人騎手の活躍

  • 2018年11月13日(火) 18時00分

ヤングジョッキー最強世代


 先週7日(水)、ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド園田が行われた。その第1戦では、佐賀の出水拓人騎手が逃げ切り、2着にJRAの西村淳也騎手、3着に地元兵庫の石堂響騎手が入り、この日、地方・中央合わせて4名出場していた今年デビューの新人騎手のうちの3名で上位独占。そして第2戦でも地元の石堂騎手が2着に入る健闘を見せた。トライアルラウンドは21日(水)の浦和を残すのみで、西日本地区はこの園田が最終戦だった。

 今年のルールでは、出場全レースのうち上位着順を得た4レース分のポイント合計によって順位が決まる。そして地方・中央とも、東西を通じて最高ポイントの騎手がまずファイナル進出が確定し、その騎手を除き、東西それぞれ上位3名の計7名がファイナル出場となる。

 トライアルラウンド園田が終了した時点で、西日本地区の上位3名をファイナル出場確定と報じているところもあるようだが、出場騎手の確定はトライアルラウンド浦和が終わってからの発表となっている。というのも、アクシデントや騎乗停止などによって、西日本の騎手がトライアルラウンド浦和で騎乗する可能性がないとはいえず、そうなると西日本のポイントもまだ変動する可能性があるからだ。実際に昨年の川崎ラウンドでは、木幡育也騎手が負傷で騎乗できなくなったため、西日本の所属ではあるものの、たまたま当日川崎の条件交流で騎乗していた川又賢治騎手が代わって出場することとなり、その着順ポイントも計算されたということがあったからだ。

 冒頭、トライアルラウンド園田の第1戦で、新人騎手が上位3着までを独占と書いたが、今年、地方でデビューした新人騎手は、このシリーズに限らず活躍が目立っている。

 今年、4月1日付けで新規に騎手免許を受けた地方騎手は6名。11月12日現在の成績で、落合玄太騎手(北海道)が54勝で北海道リーディング7位、石堂響騎手(兵庫)が42勝、岩本怜騎手(岩手)が40勝と、半数の3名が40勝以上を挙げている。なお石堂騎手は、兵庫所属の新人(デビュー年)最多勝記録を更新中だ(従来の記録は2017年、永井孝典騎手の33勝)。

 また吉井章騎手(大井)は、10月31日の大井開催で1日3勝を挙げ、それを含む大井5日間開催で32戦7勝という活躍を見せた。11月12日現在では28勝。激戦区南関東の新人の成績としては立派な数字だ。

 出水拓人騎手(佐賀)はここまで23勝だが、途中怪我による戦線離脱があったことを考えればまずまずの成績。一方、北野壱哉騎手(大井)はトライアルラウンド初戦となった船橋第2戦で勝利を挙げたものの、体重調整の問題で現在期限を定めず騎乗停止中となっているのは残念なところ。

 この時期に40勝超という新人騎手が3名いるということでは、NARグランプリ・優秀新人騎手賞はかなりレベルの高い争いになりそう(対象は年間30勝以上、勝利回数だけでなく、勝率、収得賞金、重賞成績なども含めて総合的に判断される)。優秀新人騎手賞はデビュー2年目までが対象となるため、今年度受賞できずとも来年度という可能性もある。

 さて、ヤングジョッキーズシリーズということでは、石堂騎手はトライアルラウンド園田を終えて西日本の4位。このまま西日本のポイントに変動がなく、1位の渡邊竜也騎手(笠松)が東日本も通じて1位となれば、石堂騎手はファイナル出場となる。

 また地方の東日本では、ここまで、落合騎手が3位、吉井騎手が4位、岩本騎手が5位。いずれもトライアルラウンド浦和に出場予定で、その成績次第ではファイナル出場の可能性はおおいにある。

 またJRAの西日本では、西村騎手が3位、服部寿希騎手が4位となっている。こちらも東日本の成績次第で2人ともファイナルに出場できる可能性がある。

 12月27日に大井競馬場、28日に中山競馬場行われるヤングジョッキーズシリーズ・ファイナルラウンドでは、今年デビューした新人騎手の活躍に期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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