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ジャパンカップにおける牝馬

  • 2018年11月20日(火) 12時00分

「牡馬の壁」を意識しすぎる必要はない


 グレード制導入の1984年からエアグルーヴが天皇賞秋を勝つ1997年あたりまで、牝馬が古馬の芝中長距離GIを勝つことはもうないのではと思っていた時期があった(外国馬ではホーリックスがJCを勝っている)。しかしエアグルーヴをきっかけに「強い牝馬」の時代が到来し、牡馬を相手にGIを勝つ牝馬、あるいは好走する牝馬が増えている。

 エアグルーヴが天皇賞秋を勝った翌年の1998年から現在の2018年まで、ちょうど20年。この間、古馬の芝中長距離GIにおいて牝馬が牡馬に挑戦した結果をレース別にまとめると以下のようになる(まだ2回しか行われていない大阪杯は除く、対象は日本調教馬のみ)。

データ

 宝塚記念におけるスイープトウショウや天皇賞秋におけるヘヴンリーロマンスのような穴こそ出ていないが、ジャパンカップにおける牝馬はよく走っており、勝率はこの5レースでトップ。ブエナビスタの降着があったことを考えると実質的にはこれよりさらに少し高い。

 こうして見ると、「牡馬の壁」を意識しすぎる必要はないのかというようにも思う。今週のアーモンドアイは圧倒的な人気になるのでそれ自体にはうまみがないが、かといって無理に切ってはいけない存在なのだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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