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「馬たちのセカンドライフ」イベントレポート 海外の引退馬事情からみる競走馬が秘める可能性(5)

  • 2018年11月27日(火) 18時00分
第二のストーリー

▲海外における引退競走馬の活動状況について話すダーレージャパン株式会社の澤井靖子さん


第二の馬生にもお国柄が


 引退競走馬の取材をするようになってから、日本だけではなく海外の動きがずっと気になっていた。インターネットで検索をかけると、アメリカのケンタッキー州にOld Friendsという主に引退した種牡馬が余生を過ごす牧場があることがわかった。日本で種牡馬として繋養されていたシルバーチャームやウォーエンブレムが繋養されている。(カリズマティックも繋養されていたが、昨年2月に21歳で亡くなった)。英語ができない私は、それ以外で引退した競走馬関係のサイトを見つけられなかったが、アメリカやヨーロッパなど競馬の盛んな国でも、引退した競走馬についての問題に取り組みを始めたのはここ最近のことだと、別の取材をした際に知った。

 さらに詳細に海外の状況を知りたいと思っていたところへ「馬たちのセカンドライフ」のシンポジウムの中でダーレージャパン株式会社の澤井靖子さんが「海外における引退競走馬の活動状況」と題して話をされて、海外の情報を得る絶好の機会を得た。

 意外だったのは、他の国々に比べると日本の引退競走馬の状況は、良い方ではないかということだった。

「例えばヨーロッパだと、乗馬のために生産された馬がたくさんいますので、サラブレッドを乗馬にしようという人が少ないのです」(澤井さん)

 乗馬が盛んなヨーロッパは馬術競技が人気で、競技馬に熱烈なファンがついているという話も聞く。日本に輸入されてくる馬術競技用の馬たちも、サラブレッドではなく、ヨーロッパの乗用馬として生産されている馬だ。そのようなお国柄では、残念ながらサラブレッドは乗馬になる確率はほとんどないのかもしれない。その点、日本の場合、乗馬用として生産されている馬が少なく、サラブレッドが乗馬として転用される例が以前から多く見られる。土地が狭かったり、牧草など飼料を輸入に頼る率が高いため、餌代が高いなどの問題点もあるが、日本は引退馬にとっては乗馬というセカンドキャリアに繋がる可能性が高い国とも言えるようだ。

 ゴドルフィンにはライフタイムケアという事業がある。ライフタイムケアでは、

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北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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