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グレートタイムの全妹エターナルディーバ

  • 2018年11月28日(水) 12時00分
●ヴァリオブキングズ(牡 栗東・大久保龍志 父ハーツクライ、母アーキオロジー)

 朝日チャレンジC(GIII・芝1800m)を勝ったアルキメデス(父アドマイヤムーン)の半弟。母アーキオロジーはホープフルS(米G1・ダ7f)を勝ったSky Mesaの半妹にあたる良血。「ハーツクライ×Seeking the Gold」は秋華賞(GI)2着馬キョウワジャンヌをはじめ8頭中5頭が中央で勝ち上がり、連対率33.3%、1走あたりの賞金額322万円。これはハーツクライ産駒全体の18.2%、196万円を大きく上回る。

 また、「サンデーサイレンス、Storm Cat、Affirmed」を併せ持つ馬は走っており、半兄アルキメデスのほかにアユサン(13年桜花賞-GI)、ショウナンマイティ(12年大阪杯-GII)、ペルフィカ(15年フィリーズレビュー-GII・2着)、マウレア(18年チューリップ賞-GII・2着)、アドマイヤアルバ(18年京都新聞杯-GII・2着)など活躍馬が出ている。アベレージの低い種牡馬も混じるなか連対率22.4%はきわめて優秀だ。芝1600から2000mがベスト。

●エターナルディーバ(牝 栗東・清水久詞 父キングカメハメハ、母ミラクルレジェンド)

 グレートタイム(18年ジャパンダートダービー-Jpn1・3着、18年ユニコーンS-GIII・2着)の全妹、コンプリートベスト(父エンパイアメーカー/現1000万下)の半妹。母ミラクルレジェンド(父フジキセキ)はエンプレス杯(Jpn2)をはじめ多くの重賞を勝って牝馬ダート路線の女王として君臨した。母の半弟ローマンレジェンドは東京大賞典(GI)など4つの重賞を制覇。2代母パーソナルレジェンドはターンバックジアラームH(米G3・ダ9f)、ステージドアベティH(米G3・ダ8.5f)の勝ち馬。

 このように優れたダートホースが続出するファミリーで、母はフジキセキとDeputy Ministerのニックス(カネヒキリ、サウンドトゥルー、ホワイトフーガなどが出る)を持つ。繁殖牝馬として成功するのも頷ける。全兄グレートタイムと同じく重賞級の活躍を期待したい。

●メイショウウズマサ(牡 栗東・安田隆行 父ロードカナロア、母ホーマンフリップ)

 母ホーマンフリップはファンタジーS(GIII)2着馬。その兄弟にレインボーライン(18年天皇賞・春-GI、18年阪神大賞典-GII、16年アーリントンC-GIII)、アニメイトバイオ(10年ローズS-GII)がいる良血。2代母レーゲンボーゲンは現役時代1勝馬だったが、繁殖牝馬として大成功を収めた。子だけでなく孫の代でも期待できそうだ。

 11月17日にダートの2歳未勝利戦(京都ダ1400m)を大差勝ちしたレッドルゼルは「ロードカナロア×フレンチデピュティ×フジキセキ」という配合。本馬は「ロードカナロア×フジキセキ×フレンチデピュティ」と、母の配合だけをひっくり返した配合で、フジキセキとDeputy Minister(フレンチデピュティの父)は影響力の強いニックスだけに期待できる。芝・ダート兼用のスプリンターだろう。

●ヤークトボマー(牡 美浦・中川公成 父ヘニーヒューズ、母クレメンティア)

 名牝ダイナアクトレスにさかのぼるファミリーで、近親にスクリーンヒーロー(08年ジャパンC-GI)、アブソリュート(09年富士S-GIII、09東京新聞杯-GIII)、サンプレイス(01年新潟記念-GIII)など多くの重賞勝ち馬がいるものの、母クレメンティアはJRAで未勝利(2着1回)で、産駒成績も現時点では冴えない。

 しかし、「ヘニーヒューズ×フジキセキ」は少ない産駒からドンフォルティス(17年北海道2歳優駿-Jpn3)、プロミストリープ(18年浦和桜花賞-地方重賞)が出ており相性がいい。2代母の父がパワー型のブライアンズタイムであるのも好ましい。ダート向きのマイラー。

●ロードラウレア(牡 栗東・中竹和也 父ロードカナロア、母キャトルフィーユ)

 母キャトルフィーユはクイーンS(GIII)をレコード勝ちするなど重賞で再三上位争いをした活躍馬。ディープインパクト産駒でありながら2代母ワンフォーローズ(カナダ最優秀古牝馬3回)の影響を強く受け、瞬発力よりもスピードの持続力を武器とする馬だった。これにロードカナロアを交配して誕生した本馬は、2代父がキングカメハメハ、2代母がワンフォーローズなので、それぞれを父母に持つレディアルバローザ(11、12年中山牝馬S-GIII)[2回]、エンジェルフェイス(16年フラワーC-GIII)と血統構成の50%が同じ。なおかつ「ディープ×キンカメ」のオールフォーラヴ(18年忘れな草賞-OP)とは75%同じ。

 「ロードカナロア×ディープインパクト」は馬体が小さく出る傾向が見られるが、京王杯2歳S(GII)と小倉2歳S(GIII)を勝ったファンタジスト(京王杯2歳Sを勝利時は474kg)のように、十分な馬格があれば上級の活躍が期待できる。本馬は480kg前後の馬格に恵まれているのでおもしろい。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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