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【ジャパンカップ】世界を意識せずにはいられない、ルメール騎手のエスコート

  • 2018年11月29日(木) 18時01分
哲三の眼

▲“強さ”で見る者を魅了した天才少女とトップジョッキー(撮影:下野雄規)


今年のジャパンカップは3歳牝馬アーモンドアイが1.4倍の断然人気に応え勝利。2.20.6という衝撃のタイムを叩き出し世界レコードを樹立しました。今回のルメール騎手の騎乗は、哲三氏が現役時代、その乗り方に脱帽したというあの名手のようだった? 自身の経験を交え、世界のトップジョッキーの騎乗技術を解説します。(構成:赤見千尋)

「強い馬に乗っているから勝って当たり前」とは思わない


 ジャパンカップでのアーモンドアイの走りはやはりすごかったですね。ただ勝つだけではなく、世界でも戦えるのではないかと思わせてくれる勝ち方でした。

 今回古馬との初対戦でどういう競馬をするのかとても楽しみにしていて、これまでと同じように豪脚でねじ伏せる競馬もいいけれど、僕としては、ある程度のポジションを取って内目を捌いて勝って欲しいなと思っていたんです。

 というのも、日本の馬に凱旋門賞を勝って欲しいという気持ちが強くて、そこを考えると、後ろから一辺倒という脚質ではなかなか勝負ができないから。余程ポテンシャルが抜けているか、余程のラッキーがない限り、後ろからだけでは勝てないと現役の頃から思っていたので、アーモンドアイには世界で勝つためにも、より高度な内容で勝って欲しいと思っていました。

 結果だけ見ると、好位につけて直線難なく抜け出し、驚異的なレコードで勝利。強い馬が簡単に勝ったように見えたかもしれませんが、クリストフは難しいレースを選択したと思います。難しいことにトライして勝ってしまうところが本当にすごい。

 何が一番すごいのかというと、あの位置から競馬をして勝ってしまったことです。これまでのレースでも、クリストフがゲートを出していこうという気持ちが見ていて伝わっていました。実際にゲートを出る出ないは別にして、オークスの時も秋華賞の時もそうです。

■11月25日 ジャパンカップ(1番:アーモンドアイ)

 今回多少ジャンプスタートになったことに注目していただきたいのですが、実は先々週のステルヴィオも同じようなジャンプスタートからポジションを取っているんです。切れ味があって末脚勝負をして来た馬に対して、ジョッキーがゲートを出そうとすると、ジャンプ気味に出てしまうことがある。

 僕がいつもお話ししている、馬の動きを軸に例える回転の理論で考えると、

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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