スマートフォン版へ

末脚のキレが必要不可欠!/阪神ジュベナイルF

  • 2018年12月02日(日) 18時00分

■阪神ジュベナイルF(GI・阪神芝1600m外)フルゲート18頭/登録23頭


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口



 現2歳世代は、牡馬よりも牝馬のほうがハイレベル。登録馬にも、将来性の高い好素材が揃っている。とはいえ、このレースを勝ち負けするために必要なものがガラッと変わるケースはないはずだ。とくに重要なのが三条件の筆頭にあげた「末脚のキレ」で、超ハイレベルな瞬発力があれば、それだけで勝てるレースといっても過言ではない。

 好走馬を絞り込むために重視したいのが、前走レース距離だ。今回と同じ芝1600mか、それ以上の距離を使われてきた組が優勢で、ファンタジーS組など芝1400m以下からの距離延長組の成績はイマイチ。昨年も、前走芝1600m組が1〜3着を独占している。同距離組、または距離短縮組を重視する姿勢をオススメする。

 コレと組み合わせてチェックしたいのが、前走での上がり3F順位。前走が最速上がり〜2位までの馬とそれ以外では、信頼度に非常に大きな差がある。前走が「芝1600m以上」だった馬に限定したデータでも、前走最速上がり馬はトータル[6-2-3-25]という好成績で、5番人気以内馬に限れば連対率36.7%、複勝率43.3%と信頼度はさらにアップする。

 その他の注目データも加味した上でいかにも面白そうなのが、アイビーSの勝ち馬であるクロノジェネシスと、2戦2勝でオープン入りを果たしたレッドアネモスの2頭。さすがに現時点では人気が読みづらいが、いずれも阪神ジュベナイルFの好走条件をいくつも満たしている「特注馬」である。

【コース総論】阪神芝1600m外 Aコース使用

・コースの要所!

★基本的には人気サイドが強いが大穴の激走率も高め。高配当も十分狙える。
★厳密にいえば内枠ベターだが大きな差はない。フラットと考えてオッケイ。
★ハッキリと差し優勢のコース。中団から速い上がりを使える馬を高く評価。





 バックストレッチの2コーナー寄り地点からスタートする、阪神芝1600m外。3コーナーまで上り坂で、そこから直線のなかばまで下り坂が続き、そこからさらに急坂を駆け上がるという、かなり起伏の大きなコース形態である。同じ外回りの芝1600mでも、京都とは勝ち負けに要求される資質が大きく異なる印象だ。

 まずは人気別成績だが、1番人気の信頼度は「並」程度。しかし、2番人気がそれを補うような好成績を残しているため、トータルで考えると上位人気の信頼度はけっこう高い。4〜6番人気や7〜9番人気の中穴ゾーンもそれなりに走っているが、ここはもっと大胆に10〜12番人気の大穴を攻めたいところ。1着に人気薄を固定した高配当狙いも、やってみるだけの価値が十分にあるコースである。

 次に枠番だが、簡潔にいって内外で大きな差はない。連対率で比較するのがわかりやすいが、11%前後で見事に横並び。複勝率やギャップ値で少し差が出ており、厳密にいえば「やや内枠有利」ではあるが、1レース単位で気にするほどのものではない。外枠である馬番13〜18番の勝率がもっとも高いのというのも、その裏付けだ。

 最後に脚質で、こちらはハッキリと差し優勢。数値の上では先行勢も互角に張り合っているが、クラスが上がれば上がるほど序盤〜中盤の流れが厳しくなり、中団待機組の好走率がアップしてくる。最速上がり馬が勝率29.7%、単勝適正回収値210.5と高期待値で、[11-4-4-18]とキッチリ勝ちきっている点からも、差し優勢のコースであるのは間違いない。

【レース総論】阪神ジュベナイルF(GI) 過去10年

・レースの要所!

★順当決着傾向はかなり強い。狙ってオイシイのは4〜6番人気の中穴ゾーン。
★外枠が不思議と強いレースだったが、さすがに軌道修正されつつある印象。
★コースデータ以上に差し優勢。速い上がりが使えないと勝ち負けは厳しい。
★キャリア2戦馬や関東馬が好調。鞍上の乗り替わりは大幅マイナス材料か。








 レースの平均配当は、単勝571円、馬連5363円、3連複5万3890円。単勝平均の低さのわりに3連複平均が高いのは、超ド級の大荒れとなった2012年の影響だ。1番人気は[4-1-1-4]、5番人気以内馬はトータル[10-7-6-27]と高確率で馬券に絡んでおり、順当決着傾向はかなり強い部類。上位人気の組み合わせを「どう買うか」が重要なレースである。

 次に枠番データ。一昔前は不思議なほど外枠が強かったが、近年になって少しずつ偏りが是正されているようで、枠番の内外による成績差が小さくなってきた。いまだに全体では「内枠の信頼度がもっとも低い」状態だが、5番人気以内馬に限ったデータでは、内枠である馬番1〜6番が信頼度トップ。単勝適正回収値109.9、複勝回収値132と、回収率ベースの数値も非常に高い。やはり実際は「少しだけ内有利」なのだろう。

 しかし、脚質はコースデータ以上に差し優勢。上がり最速〜3位の馬は、トータル[9-6-6-12]で連対率45.5%、複勝率63.6%、単勝適正回収値170.1、複勝回収値175という、素晴らしい結果を残している。2〜3着には先行勢がけっこう残っているが、1着に関しては中団待機組を狙ったほうがいいのは間違いなし。馬場バイアスや展開次第では、後方からの追い込みも届きそうな勢いだ。

 また、好走馬が「レースキャリア2〜4戦」に集中しているのも、注目すべきポイント。とくに期待できるのがキャリア2戦馬で、前走がオープン特別や重賞であれば、その時点で「買い」といえるほどだ。逆に、評価を大きく割り引きたいのがキャリア5戦以上馬で、こちらはトータル[0-1-0-28]と、かなり期待薄。抽選を突破して出走した1戦1勝馬は、人気薄ならば買うのもアリか。

 あとは、関東馬や関東所属騎手が好成績であることや、鞍上が乗り替わって勝った馬がほとんどいないことも、覚えておいて損はないはず。ただし、外国人ジョッキーがGIで無双している現状を考えると、外国人ジョッキーへの乗り替わりを割り引くのはマズイ。4〜6番人気あたりの中穴ならば、積極的に買ったほうがよさそうである。

【血統総論】


 血統面でプラスに評価したのは、ディープインパクト産駒、ヴィクトワールピサ産駒、バゴ産駒。ディープインパクト産駒はこのコースで53勝をあげ、勝利数2位のダイワメジャーにトリプルスコア以上という圧倒的な強さを見せている。それと内容的に張り合えそうなのは、複勝率が34.8%と高いヴィクトワールピサ産駒と、連対率が高くギャップ値がプラス1.4と超優秀なバゴ産駒くらいのものだ。

★阪神ジュベナイルF・総論×各論

 牝馬が大活躍している現2歳世代。すでに2勝以上をあげ、収得賞金が900万円を上回っている馬が15頭も登録してきた。回避馬も何頭か出るとは思うが、このままだと収得賞金400万円の馬にとっては、かなりの「狭き門」となりそうである。それだけに、今年は例年以上にハイレベルな一戦が期待できるはず。アウィルアウェイの回避は残念だが、それでも十分に粒ぞろいだ。

 トップ評価は、2戦2勝でアイビーSを制しているクロノジェネシス。思いっきり速い時計の出る馬場だったとはいえ、好位追走から32秒5の上がりを使って後続を突き放した内容は、本当に素晴らしいものだった。北村友ジョッキーが継続騎乗の予定で、初G1制覇へ向けて気合いもかなり入っているはず。大きな馬体減りさえなければ、この大舞台でも勝ち負けが十分に期待できる逸材である。

 二番手評価にダノンファンタジー。デビュー戦でグランアレグリアに完敗したが、その後は未勝利戦、ファンタジーSを好内容で連勝している。芝マイル適性を証明済みなので、前走からの距離延長はこの馬の場合は大きなプラス。前々のいいポジションを取って、そこから速い上がりを繰り出せるという、安定感のある走りも魅力的だ。

 三番手評価にレッドアネモス。関西馬ながら、新潟芝1600mの新馬と中山芝1600mのサフラン賞を勝って2戦2勝、さらに戸崎ジョッキーが騎乗予定という、まるで関東馬のようなプロフィルの持ち主である。「関東馬や関東所属騎手が強い」レースであることを考えると、このあたりもプラスに働きそう。あとは、ハナに行きそうな脚質がどうかだ。

 以下はかなりの混戦模様。アルテミスSを制した超良血シェーングランツや、その2着馬であるビーチサンバ、3着馬であるエールヴォアなど、差がなく続いている。「適度に人気薄の1戦1勝馬」という条件を満たす馬についても、しっかりチェックしておきたいところだ。どのような枠番、どのような人気順となるか、来週が待ち遠しい。





■総論×各論・先週の馬券回顧





想像以上のバケモノだ(#^ω^)ビキビキ

 驚いたのは時計の速さよりも、01アーモンドアイが見せた「内容」のほう。あの流れを番手で受けて、持ったまま先頭の08キセキに並びかけるんだから、モノが違いすぎる……。まあ、2着付け&3着付けで狙ったことは後悔してないけどな!(虚勢)

※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

No.1予想にて関西全レース予想提供中!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング