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武豊騎手・ルメール騎手らと対決!香港の若手騎手2人をご紹介

  • 2018年12月05日(水) 12時00分

香港で騎手デビューを果たす前に、外国で腕を磨く


 日本時間の今夜(18年12月5日)、香港のハッピーヴァレイ競馬場で、今年が21回目の開催となる「インターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップ(IJC)」が開催される。

 米国から5千勝騎手のハヴィーア・カステラーノ(41歳)、日本から4千勝騎手の武豊(49歳)と、今季既に200を超える勝ち星を挙げリーディング独走中のクリストフ・ルメール(39歳)、豪州からヒュー・ボウマン(38歳)、愛国からライアン・ムーア(35歳)など、お馴染みのビッグネームが顔を揃える中、地元・香港代表として参戦するヴィンセント・ホー(28歳)とマチュー・プーン(24歳)をご紹介したい。

 12名の騎手が参加するIJCには、香港代表として4枠が用意されている。前シーズンのチャンピオンジョッキー、今シーズンの11月21日現在のリーディングで首位と2位(前シーズンのチャンピオンジョッキーが上位2位まで入っている場合、第3位の騎手が繰り上がる)にいる騎手、そして、11月21日現在のリーディングで地元・香港の見習い騎手学校卒業生の中で最上位にいる騎手、の4名である。

 昨シーズンの香港チャンピオンジョッキーはザック・パートン(35歳、オーストラリア出身)で、そのパートンが今季もリーディングの首位に立っている。11月21日現在の2位がカリス・ティータン(28歳、モーリシャス出身)で、まずはティータンがこの枠で選出。

 規定ではリーディング3位のヴィンセント・ホーも、この枠での有資格者となるのだが、そのホーが香港の見習い騎手学校卒業生で、ホーはそちらの枠での選出となった。そこで、11月21日現在のリーディング4位のマチュー・プーンが繰り上がることになったのだが、実はこのプーンもまた、香港見習い騎手学校の卒業生だったというわけである。

 香港見習い騎手学校在籍期間の終盤、ニュージーランドに修業に出て、リーディングトレーナーのランス・オサリヴァンのもとで見習いとして騎乗したのがヴィンセント・ホーだ。ニュージーランドで44勝を挙げた後に帰国し、20092/2010年シーズンに香港で騎手デビュー。騎乗4日目にいきなり1日3勝を挙げるという、華々しい門出を見せた。翌2010/2011年シーズンに39勝を挙げて、見習い騎手チャンピオンのタイトルを獲得。

 2012年10月1日に香港における通算70勝目を挙げて、見習いを卒業した。2014年10月1日、バンドルオヴジョイに騎乗してG3ナショナルデイC(芝1000m)を制し、重賞初制覇。このシーズンは通算で33勝を挙げて、地元出身騎手としてリーディング最上位の地位を獲得している。昨シーズン終了後には、オフの期間を利用にてヨーロッパで騎乗。8月9日に英国のヘイドック競馬場でエックスレイテッドに騎乗してハンデ戦(芝10F42y)を制し、欧州における初勝利を挙げている。

 香港見習い騎手学校在籍期間の終盤、オーストラリアのリチャード・ジョリー厩舎で研修期間を過ごしたのがマチュー・プーンだ。2015年10月、現地における初騎乗で初勝利を挙げるというロケットスタートを決めると、シーズン末までに51勝を挙げ、サウス・オーストラリア地区の見習い騎手チャンピオンとなった。

 現地における2シーズン目も65勝を挙げる活躍を見せた後に帰国し、2017年3月に香港デビュー。怪我で3週間にわたって戦線を離脱した期間がありながら、シーズン末までに20勝を挙げた。シーズンオフを迎えるとシンガポールで騎乗。2017年8月6日にクランジ競馬場で行われたローカルG3ガーデンシティトロフィー(芝1200m)を、フォールトレスに騎乗して優勝し、重賞初制覇を果たしている。そして、香港における2シーズン目の2017/2018年シーズンは、勝ち星を35勝に増やした。

 その経歴をご覧になってお気づきのように、二人とも香港で騎手デビューを果たす前に、外国に出かけて腕を磨く期間を与えられている。それが、香港における騎手見習い学校のカリキュラムなのだ。

 そうやって手間暇をかけながら、香港ジョッキークラブは地元出身騎手を育成しているのである。

 今夜のインターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップに、見習い騎手学校の卒業生が2名も参戦することを、香港ジョッキークラブが誇りに思っていることは間違いない。地元ファンの熱い声援を受けて騎乗するヴィンセント・ホーとマチュー・プーンがどんな成績を残すが、日本の競馬ファンの皆さまもご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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