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父キンカメ、母ダンスインザムードのダンスディライト

  • 2018年12月05日(水) 12時00分
●ウィッチクラフト(牡 栗東・浜田多実雄 父ゴールドアリュール、母ウィッチフルシンキング)

 母ウィッチフルシンキングはアメリカでパカラップS(G2・芝9f)など4つの重賞を勝った。繁殖成績も優秀で、JBCレディスクラシック(Jpn1)などダート重賞を6勝したメーデイア(父キングヘイロー)、福島牝馬S(GIII)を勝ったロフティーエイムなどを産んだ。娘マンティスハントの子サングレーザーは札幌記念(GII)など重賞を3勝している。

 本馬は母が22歳時の産駒。母が高齢すぎると統計上あまり芳しい結果は出ていないのだが、力のある繁殖牝馬なので期待できる。ゴールドアリュール産駒なのでダート向きだろう。古馬になってから良くなるタイプで中距離ベスト。

●キタサンテンビー(牝 美浦・小笠倫弘 父ダイワメジャー、母ビッグテンビー)

 スプリンターズS(GI)と高松宮記念(GI)を勝ったローレルゲレイロの半妹。母ビッグテンビーは準OPまで出世したローレルウェルシュの全姉で、2歳夏の新馬戦(芝1200m)を楽勝したあと、脚部不安で休み休みでしか使えず、結局4戦1勝で引退した。

 本馬の父はダイワメジャー。母方にCaerleonを持つ同産駒は成功しており、コパノリチャード(14年高松宮記念-GIなど重賞4勝)、レーヌミノル(17年桜花賞-GI)、ボールライトニング(15年京王杯2歳S-GII)、ソルヴェイグ(16年フィリーズレビュー-GII、16年函館スプリントS-GIII)などの活躍馬が出ている。連対率20.4%、1走あたりの賞金額270万円は、ダイワメジャー産駒全体の17.8%、167万円を上回る。芝向きのスプリンター〜マイラー。

●ダンスディライト(牡 栗東・松永幹夫 父キングカメハメハ、母ダンスインザムード)

 カイザーバル(父エンパイアメーカー/16年秋華賞-GI・3着)、ダンスファンタジア(父ファルブラヴ/11年フェアリーS-GIII)、シャドウダンサー(父ホワイトマズル/14年京都新聞杯-GII・4着)、フローレスダンサー(父ハービンジャー/京都2歳S-GIII・4着)の半弟。母ダンスインザムードは桜花賞(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)の勝ち馬で、ダンスパートナー(95年オークス-GI、96年エリザベス女王杯-GI)、ダンスインザダーク(96年菊花賞-GI)の全妹にあたる超良血。繁殖牝馬としての能力は高い。血の多様性を考慮し、さまざまな種牡馬を試してきたのだと思われるが、非サンデーサイレンスの最高峰であるキングカメハメハと交配するのは意外にもこれが初めて。

 これまでに交配した種牡馬よりもワンランク上の種牡馬なので期待できる。母の全兄ダンスインザダークを母の父に持つキングカメハメハ産駒にはラブリーデイ(15年天皇賞・秋-GI、15年宝塚記念-GI)、ショウリュウムーン(12年朝日チャレンジC-GIIIなど重賞3勝)がいる。芝向きの中距離タイプ。

●ヌーヴァエポカ(牝 美浦・尾形和幸 父エンパイアメーカー、母オーラレガーレ)

 父エンパイアメーカーは現役時代、ベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝した名馬で、12年の米種牡馬ランキングで2位となった。日本では期待ほどの結果を出せず、アメリカへ再輸出されたが、孫から米三冠馬American Pharoahを出したようにポテンシャルの高い血で、配合次第では大物を出せる種牡馬だ。エンパイアメーカーの父UnbridledはDr. FagerとIn Realityのニックスを持ち、エンパイアメーカーは母方にIn Realityを持つのでニックスを継続した配合となっている。

 本馬の2代母の父Quiet Americanは「Fappiano×Dr. Fager」という組み合わせなのでDr. Fager 3×2(もっといえばKillaloe≒Demure 2×1)。したがって本馬はエンパイアメーカーの核心部分を強化するユニークな配合構成となっている。ダート向きのマイラー。

●ブルーザリオン(牡 美浦・戸田博文 父ハービンジャー、母ウェディングフジコ)

 2代母ウェディングハニーは現役時代、府中牝馬S(GIII)3着などの成績がある。母ウェディングフジコは中山牝馬S(GIII)2着、福島牝馬S(GIII)3着といった成績を残しており、「フジキセキ×トニービン」という組み合わせで母系の奥にPrincely Giftを持つ、という配合構成なのでドリームパスポート(06年神戸新聞杯-GII、06年きさらぎ賞-GIII、06年ジャパンC-GI・2着、06年皐月賞-GI・2着、06年菊花賞-GI・2着)とよく似ている。

 本馬は「ハービンジャー×フジキセキ」。この組み合わせは連対率19.9%、1走あたり194万円で、ハービンジャー産駒全体の15.6%、166万円を上回る。中山芝2000mがベスト。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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