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【川田将雅×吉田隼人×藤岡佑介】同期対談(1)『茨城出身の隼人騎手はタジタジ “方言”に左右されたパワーバランス』

  • 2018年12月12日(水) 18時02分
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▲(左から)吉田隼人騎手、藤岡佑介騎手、川田将雅騎手、年末企画の同期対談!


今回は川田将雅騎手、吉田隼人騎手と「競馬学校20期生」のプチ同期会を開催します。美浦所属の隼人騎手を交えての対談はなかなか難しいところですが、隼人騎手が栗東に滞在中のため実現に至りました。2004年に騎手デビューし、気がつけばプロ生活は15年に。特に今年は佑介騎手が初GI制覇、川田騎手はイギリスに長期滞在、そして隼人騎手が栗東での活動と、それぞれに変化があった一年。30歳を過ぎ競馬界を引っ張っていく世代として、いま胸に抱えているホンネを、同期同士でじっくり熱く語り合います。(取材・文=不破由妃子)


「今年の成績が伸びたのは、将雅の技術論を聞いたおかげ」


佑介 吉田くん、将雅、今日はよろしくお願いします! 同期会はたまにしてるけど、3人だけで会うのはものすごく久しぶりだよね。今ちょうど吉田くんが栗東で調教に乗っているから、いい機会だなと思ってさ。関西の雰囲気はどう?

隼人 雰囲気は好きだけど、上手く会話ができているかどうか…。人とのコミュニケーションの勉強も兼ねて頑張ってます(笑)。

佑介 35歳にして(笑)。でも、吉田くんは大人しすぎるから、関西のノリに揉まれてみるのもいいかもね。そのためにも、調教の合間の空いている時間は、もっとスタンド(朝の調教時の調教師や騎手の待機所)に顔を出したほうがいいよ。「お、隼人きてるのか」って話しかけてくれる人が絶対にいるから。

隼人 うん。美浦だとスタンドに行くという習慣があんまりなくて。

佑介 確かに美浦は、スタンドにジョッキーがあまりいないよね。

隼人 栗東に比べるとそうだよね。あと、俺の場合、あんまり話しかけられたくないのもあって(笑)。デビューした頃、よく兄貴(吉田豊騎手)と比べられたんだよね。1年目は3勝しかできなかったもんだから、いろんな人に「お前、もっと頑張れよ!」とか言われてさ。俺なりに頑張っているつもりでいたから、「これ以上どうやって頑張ったらいいのかわかんないし!」 と思って、話しかけられるのが苦手になってしまった。

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▲隼人「よく兄貴と比べられて…話しかけられるのが苦手になってしまった」


佑介 そうか、そんなトラウマがあったんだ。

川田 でも、スタンドで先輩ジョッキーがしてくれる他愛もない話が競馬につながることも多々あるからね。何気なく先週の競馬の話をしてるなかで、「あ、こんなこと考えてるんだ」とか「そんな見方をしているんだ」とか、刺激になることがけっこうあるなと俺は思う。

佑介 デビューした頃、俺も四位さんに言われたよ。「若いジョッキー同士で固まってないで、嫌でも先輩ジョッキーがいるところに行け。そういうところで顔が広まっていくから」って。だから関西の場合、そういう教えが引き継がれているところはあるかも。

 ジョッキーってさ、この年になると、技術的なことを教えたり教えられたりすることってあんまりないじゃない? だから、将雅のいう通り、先輩たちがどういうことを考えて乗っているのかを知れるのって、すごく貴重だったりするからね。

 スタンドでの話ではないけど、今年俺の成績が伸びたのは、将雅の貴重な技術論を聞いたことも大きくて。お礼を言わなアカンくらい(笑)。

川田 なになに!? なんの話?

佑介 JRAの発走委員からの要望で、若手を集めてふたりでゲートについての講習をやったじゃん。

川田 ああ、やったね。

佑介 そのときに、将雅がめっちゃ細かい技術まで全部教えていて。心のなかで「お前ら、わかってるか? めっちゃ貴重な話を聞けてるんやで」と思いながら、俺もメモを取りたかったくらい。実際、すぐに実践に移しましたけどね(笑)。

隼人 え〜と…その講習会、今度はいつやるの?

川田 参加する気満々やん(笑)。

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▲川田「参加する気満々やん(笑)」隼人「すごく興味深いよ」


隼人 すごく興味深いよ。盗めるものは何でも盗みたいから。

佑介 関西は、そういう若手の指導を積極的にやっていこうという風潮が何年か前からあるんだよね。そこまで詳しく話を聞ける機会なんてなかなかないから、その講習に参加した若手はすごくラッキーだったと思うよ。

川田 やっぱりね、巧くなってほしいから。若手が巧くなってくれれば、僕らもより安全にレースを組み立てられるようになるし、ゲートでいえば、みんなが安全に出られる確率が高くなるわけで。だから、俺にできることであれば、そこは惜しみなく伝えていきたいと思ってる。結局は、それが自分のためになるから。自分がケガをしないため、みんながケガをしないためだからね。

“落ちこぼれ”から“乗れる期”に変わった20期


隼人 確かにそういう機会は貴重だよね。俺も若い頃、元ジョッキーの坂井千明さんにいろいろ教えてもらっていた時期があったけど、やっぱりすごく勉強になったから。

佑介 なにしろ俺たち20期生は、散々“落ちこぼれ”って言われた期だからね。何とかして巧くなってやろうっていう気持ちが強いのかも。

隼人 今もそうだけど、競馬学校時代から、ふたりはすごくしっかりしてた。そのぶん、何かにつけて仕切りたがっていたけど(笑)。

佑介・川田 (爆笑!)

隼人 俺はもう、「ああ」とか「うん」とか言ってるだけだったから。それに、最初はみんなの方言がきつくてさ。佑介は「頭沸いてるんちゃうんけ!」とか言ってるし、川田は川田で「なんばしよっと!」だもんね(笑)。

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▲隼人騎手のツッコミに、大爆笑のふたり


川田 方言ねぇ、最初はきつかったかもしれないけど、俺にとってはそれが普通だったから。逆に標準語が苦手で、聞いているとイライラして「お前、そがな言い方なかろうもん」とか言ってたな(苦笑)。確かに方言はパワーバランスに影響していたかもね。

隼人 佑介は当時から人付き合いが上手くて、先輩にも可愛がられてたよな。川田はすごく負けず嫌いで、最初からハングリー精神を隠さなかった。でも、今となってみれば、それが競馬に生きてるよね。

佑介 技術的なことでいえば、入学から卒業まで、ずっと津村がトップだったよね。そういう存在がいたことも、今となってはすごくよかったと思う。“打倒、津村!”みたいな感じで、頑張る原動力になっていたから。

隼人 津村はお手本みたいな存在だったよね。

川田 どうしても津村に勝てないから、担当教官に「どうしたら勝てるんですか?」って聞いたこともあった。そうしたら、「好みだからあきらめろ」って(笑)。ホント、あいつには誰も勝てなかったよね。

佑介 吉田くんは、根っ子にはすごく強いものがあるんだろうなと思っていたけど、とにかく物静かだった。そう思うと、今日はめちゃくちゃ喋っているほうだよね。同期会でも、「吉田くん、今日喋った?」みたいなときがあるから(笑)。

川田 そうそう。同期8人でいるのに、吉田くんの声を聞けないことが多い(笑)。

隼人 人数が多いとみんなが喋っているから、俺は聞いていればいいかなって。

佑介 そういうとこ、競馬学校時代から本当に変わらないよね。吉田くんと将雅に関しては、競馬学校時代よりデビューしてからのほうがライバル心が強かったかも。

 誰が最初にGIを勝つかって言われていて、結局は将雅が最初に勝ったわけやけど(2008年皐月賞・キャプテントゥーレ)、アグネスアークの天皇賞(2007年2着)とかよく覚えてるもんなぁ。同期として応援したいんやけど、直線にきたら「勝つな!」みたいな感情になったりして(苦笑)。

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▲▼2008年の皐月賞をキャプテントゥーレで制し、川田騎手が同期最初のGI制覇 (撮影:下野雄規)


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川田 至って自然な感情だよね。

隼人 俺は、同期のみんなで頑張って、「20期生はすごいね」って思われたかった。「同期は誰?」って聞かれたとき、佑介や川田の名前を挙げながら、やっぱり誇らしい気持ちになるから。

佑介 それはすごくわかる。同期の名前を挙げたとき、「すごいね、乗れる期だね」って言われると、素直にうれしくなるもんね。

(文中敬称略、次回へつづく)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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