唯一の牝馬、グランアレグリアはなぜここなのか
2歳重賞の数が増え、期待馬のデビューも早くなった。とくに桜花賞を目ざす牝馬はローテーションが重要なので、もうそろそろ手強い相手と対戦してマイル適性を再確認したい。グランアレグリアのような関東馬は、遠征も経験したい。課題はいまなら十分に修正できる。
そういう理由もあり、新阪神コースになって以降、過去12年間の桜花賞馬はすべて、12月の阪神ジュベナイルFか、1月のシンザン記念に出走している。展望が開けたら、このあと充電(再鍛錬)の期間が取れる。やがて3月のチューリップ賞などをひと叩きし、桜花賞に最高の状態に仕上げる手法が取れる。
阪神JFとシンザン記念の中間にあるのが12月中旬の「朝日杯FS」。グランアレグリアがどうして阪神JFではなく朝日杯FSなのか。一番の理由は知られるようにルメールとのコンビ堅持のためだが、理想的なローテーションから外れないためでもある。
さらにもうひとつ、多くの候補を擁する社台グループや、多くの厩舎人、有力オーナーは、「どの馬が、だれが騎乗し、どこに出走するのか」、1カ月も2カ月も前から承知している。昨年のダノンプレミアムのような男馬がいたら、激闘は活力の消耗になる。
牝馬のグランアレグリアにそんな危険な日程は組まない。今年の朝日杯FSの牡馬陣は、急速に変わってくる時期とはいえ、先週の阪神JFで敗れた牝馬に負けている馬が何頭も、また負けた牝馬と接戦の馬もいる。手強い相手はいないのが分かっているから、朝日杯FSでも良かったのだろう。
そう考えると、相手は難しい。グランアレグリア(陣営)には、みんなあまり怖くはない相手である。有力候補ではあるが、アドマイヤマーズは前回、牝馬と叩き合った(その牝馬は阪神JF6着)。3戦3勝のファンタジストは、京王杯2歳S1400mを接戦で勝ったが、1分24秒7はこの重賞が東京1400mで行われた過去37回、重〜不良の4回を別にすると、競馬は時計ではないとはいうものの、史上最も遅かった。
エメラルファイトは前回クロノジェネシス(阪神JF2着惜敗)に負けているが、ロスの大きかった札幌2歳Sに再注目したい。あのGIIIの相手は弱くなかった。
マイルこそベストのケイデンスコール、福島とはいえ前回が破格のマイネルサーパスも侮りがたい相手。人気薄では、ドゴールも軽視できない。前走、苦しくなった坂上からもう一回伸び、上がり最速の33秒7だった。