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内から先行できる馬が今年も来る!/有馬記念

  • 2018年12月16日(日) 18時00分

■有馬記念(GI・中山芝2500m)フルゲート16頭/登録19頭


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口



 年末のドリームレース・グランプリ有馬記念。今年の秋GIが堅く決まりまくっているのもあり、ここで一発ドカンと大穴を──などと願っている穴党は少なくないだろう。筆者もその一人だが、近年の有馬記念は1番人気が猛烈に強く、当然ながら順当決着傾向もかなり強め。ふたケタ人気の超穴馬から入るような極端な勝負は、正直なところ分が悪い。大振りではなく、シュアなバッティングが求められる一戦なのだ。

 そのためにも重視したいのが「枠番」と「脚質」である。特注データとして掲載しているのは、有馬記念における4コーナー通過順位別成績を、枠番の内外別でまとめたものだ。過去10年の連対馬のなんと半数を、「内からの先行勢」が占めており、同じ先行勢でも馬番が外だと信頼度は大きくダウン。ちなみに昨年も、内から先行したキタサンブラックとクイーンズリングのワンツー決着だった。

 馬番9〜16番に入った馬に関しては、先行勢ではなく、中団から差せるタイプを狙ったほうがベター。「内×差し」の馬が1勝もあげられていないのに対して、「外×差し」の馬は2勝をあげ、単勝適正回収値も111.7と非常に高い。積極的に買うべきパターンをふたつあげるならば、「内×先行」と「外×差し」になるだろう。

 枠番が決まるのはまだ先なので現時点では何ともいえないが、前に行きたい組が少ない組み合わせになるのは、現時点でもミエミエ。となれば、例年にもまして「内×先行」組が好走できる可能性は高いはずだ。ジャパンカップで強い内容を見せたキセキには、ぜひ馬番1〜8番に入ってもらいたいところである。



【コース総論】中山芝2500m Aコース使用

・コースの要所!

★1番人気は[6-6-3-6]と超高信頼度。人気薄では10〜12番人気の強さが目立つ。
★内枠有利で外枠は間違いなくマイナス。「やや内」の馬番5〜8番が絶好調。
★先行勢15勝に対して中団待機組6勝。差せなくはないが先行勢を重視すべき。






 中山芝2500mはレース施行回数の非常に少ないコース。データ母数の不足を補うため、路盤改修によって傾向が変化していることは承知の上で、今回は過去10年を集計対象としている。かなりクセの強いコースのせいか、集計対象レースが少ないわりに、ハッキリした傾向が見てとれるデータとなった。

 まずは人気別だが、1番人気は[6-6-3-6]で連対率57.1%、複勝率71.4%という素晴らしい結果を残している。同様に2番人気も[6-4-2-9]と絶好調。3番人気の成績はイマイチだが4番人気も好内容と、全体的に人気サイドの強さが目立っている。人気薄では10〜12番人気が好調で、7〜9番人気よりも評価は上。ここに人気馬から流す「ヒモ荒れ」馬券を狙うのは、かなり面白そうだ。

 次に枠番。今年も20日(木)に、枠番の公開抽選が行われる予定である。公開抽選で、内の偶数馬番を引けた陣営が例年大喜びしているが、実際にデータからも内枠有利・外枠不利であるのは明白。単純に内外を比較したデータでも、馬番1〜8番が連対率16.2%、馬番9〜16番が同8.9%と、非常に大きな差が出ている。「やや内」である馬番5〜8番が好内容であるのと、奇数馬番のほうが強いコースであるのもお伝えしておこう。

 最後に脚質面だが、こちらもハッキリと先行勢優勢。4コーナーを5番手以内で回った馬が15勝をあげているのに対して、6〜10番手で回った中団待機組は6勝と、大きく水をあけられている。後方からは2〜3着にくるのが精一杯で、先行勢同士でのワンツーや、「先行→差し」決着がもっとも多いパターン。人気の差し馬を過信するのは、かなり危険なコースといえる。

【レース総論】有馬記念(GI) 過去10年

・レースの要所!

★1番人気の4着以下は過去10年で1回だけ。極端な穴狙いは避けるべきレース。
★コースデータ同様にハッキリと内>外。内容が超優秀な馬番5〜8番に注目。
★馬券に絡んだ馬の6割が4角5番手以内の先行勢。6歳以上馬は大幅割引が必要。
★前走1番人気馬は素直に「買い」。ローテは不問で、関西馬の強さが目立つ。









 レースの平均配当は、単勝517円、馬連6134円、3連複2万8138円。単勝平均の低さと、そのわりに3連複平均が高いという点がポイントだ。1番人気は[6-2-1-1]で連対率80.0%、複勝率90.0%と鉄板級の信頼度を誇っており、過去10年で4着以下に終わったのは2015年のゴールドシップのみ。回収率ベースの数値も非常に高く、ここにケンカを売るのはかなりリスクがある。素直に「買い」が正解だろう。

 それ以外は、人気から穴までまんべんなく馬券絡みしている印象。馬連平均や3連複平均がけっこう高いことからも、ヒモ荒れ傾向の高いレースといえる。狙って美味しそうなのは7〜9番人気あたりだが、ふたケタ人気の好走率もけっして低くはなく、ヒモとしてならば十分に買える内容。ただし、人気薄から入って相手にも人気薄を選ぶような、極端な穴狙いは避けたほうが賢明だ。

 繰り返しお伝えしているように、枠番は内枠有利・外枠不利。平均人気がもっとも低い馬番5〜8番が、もっとも優秀な平均着順となっているのも、コース形態からくる内枠の有利さが大きく影響している。単純に内外を比較したデータでも完全に「内>外」で、とくに外枠である馬番13〜16番に入ると厳しい。評価も相応に割り引くべきだ。

 脚質はコースデータ以上に先行勢が優勢。過去10年で馬券に絡んだ30頭のうち、6割にあたる18頭までが4コーナーを5番手以内で回っていた。2012年のように後方からの馬が上位を独占したケースもなくはないが、今年の組み合わせでオーバーペースになるとは思えず、やはり前重視のスタンスで予想するのがベター。オルフェーヴルのようにマクリを打てる馬でなければ、後方からでは勝ち負けにならないレースである。

 年齢別成績も明暗ハッキリ。5歳以下馬がトータル[10-9-8-91]で、6歳以上馬が[0-1-2-33]と、5歳以下馬であることはもはや好走の必要条件と化している。なかでも優秀なのが「前走菊花賞組の3歳馬」だが、4〜5歳もローテを問わずよく走っており、ここで評価に大きな差をつける必要はないか。ただし、6歳以上馬は評価を大幅に割り引くべきだ。

 そして最後に、前走人気別でのデータを紹介しておこう。有馬記念は前走1番人気馬が非常に強いレースで、[6-3-1-17]で勝率22.2%、連対率33.3%、単勝適正回収値133.6、複勝回収値104と内容も超優秀。内容がイマイチな前走2〜4番人気馬と比較すると、その優秀さは際立っている。狙ってオイシイのは前走5〜9番人気馬で、昨年2着のクイーンズリングと3着のシュヴァルグランは、いずれもこのパターンに該当していた。

【血統総論】


 血統面で目立っているのは、やはりステイゴールド産駒の強さだ。勝率15.1%、連対率26.7%、複勝率37.7%という高信頼度で、回収率ベースの数値も優秀と、高いコース適性を有しているのは間違いなし。あとはハーツクライ産駒、キングカメハメハ産駒、ネオユニヴァース産駒もプラス評価の対象とした。ディープインパクト産駒のコース適性が低いのも、しっかり意識しておきたいポイントである。

★有馬記念・総論×各論

 さあ、ついに有馬記念だ。「オジュウチョウサンに武豊ジョッキーが騎乗」というビッグニュースもあり、今年も公開抽選会から大いに盛り上がりそうである。天皇賞・秋を制したレイデオロに、一昨年の覇者でここが引退レースとなるサトノダイヤモンド、ジャパンカップで素晴らしいレースを見せたキセキなど、楽しみなメンバーが揃った。

 枠番が決まる前に評価するのがメチャクチャ難しいレースだが、現時点でのトップ評価は「馬番1〜8番に入った場合の」キセキだ。内&前が強いレースであるのは繰り返し述べてきたが、今年の登録馬は極端なほど逃げ・先行勢が少なく、楽にハナを切れる組み合わせになりそう。秋4戦目でさすがにお釣りはないだろうが、それでも何とかしてくれそうな勢いが今のキセキにはある。

 二番手評価にレイデオロ。1番人気がアホほど強いコース&レースであるだけに、1番人気になる可能性がもっとも高いこの馬の評価を、これ以上に下げるわけにはいかない。器用さも備えている馬で、中山芝[3-0-0-1]と適性の高さは十分。ある程度は前のポジションを取りにいけるというのも、この馬の強みだ。こちらも、馬番1〜8番に入ればさらに期待度はアップする。

 三番手評価にミッキーロケット。筋肉痛でジャパンカップを回避したため、天皇賞・秋→有馬記念と、レイデオロと同じローテでここに臨む。その天皇賞・秋もレイデオロから0秒4差の5着と大きくは負けておらず、ぶっつけ本番だったことを考えると上々の内容。阪神芝2200m内の宝塚記念を制しているのは大きなプラスで、同様にキレ勝負とはなりにくい有馬記念で、再びその力を見せてくれそうだ。

 四番手評価にシュヴァルグラン。この秋は京都大賞典で4着、ジャパンカップも4着と足踏みが続くが、昨年の有馬記念で3着に好走しているのを忘れてはならないだろう。鞍上も昨年と同じくボウマン騎手に乗り替わる予定で、レースを使われつつ調子もジワリと良化中。好位〜中団でうまく折り合えば、昨年以上の結果も期待できるはずである。

 以下はモズカッチャン、ブラストワンピース、パフォーマプロミスという評価の序列だが、最終的な評価がどうなるかは枠番次第。オジュウチョウサンについては、その挑戦に拍手を送りつつも、データ面からは分析不可能であるため「無印」となる。1枠2番でも引き当てると「ちょっとだけヒモで買おうか……」と迷いだしてしまいそうなのが、この馬の凄いところである。


■総論×各論・先週の馬券回顧




安いけど久しぶりに当たった(*^ω^)♪

強い馬がキッチリと強いレースをして勝ったという印象で、来年の牝馬クラシック戦線にもちゃんと「繋がる」レースになるはず。しかしホント、最近のGIレースって荒れなくなってるよねえ。ビキビキコラムでの大赤字を少しでも取り返すために、有馬記念はもうちょっと荒れていただければと(血涙)。

※コース&血統データは2008年以降、レースデータも2008年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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