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クラシックを見据えた最後の2歳重賞、ホープフルSの追い切りをチェック!

  • 2018年12月26日(水) 18時00分

素質馬がそろった1戦、その中でも…


 有馬記念はブラストワンピースが優勝。私はというと、その勝ち馬に無印という失態でした。調教VTRで反応が鈍いように思いましたが、これについてはレース当日、美浦の厩舎担当TMの方にその意図を聞くことができたので「見誤ったかも」と思いましたが、実際にその結果となってしまいました。

 でも、こういったことを悔いてしまうと次に良い影響はありません。ここはきっちり反省して、この失敗を糧として、次へ進んでいきたいと思います。そういった意味では今週のホープフルSも捜査官としてのスキルを上げるためには最適な教材。今週は結果も伴わせて「勉強になった」と一年を締めくくりたいところです。

【ホープフルS/サートゥルナーリア】

 ホープフルS出走予定馬は12月24日の全休日も調教できるという特例。それを利用して追い切ったのが本馬。この日はたった4頭しか走っていない絶好の馬場状態だったとはいえ、4F52.5〜3F37.6〜2F23.8〜1F11.9秒は2歳としては半端ない時計。最後も余裕を持ったままゴールしており、その脚力は世代トップクラスで間違いありません。

 1週前追い切りはCWでしたが、これも余裕を持った走り。エピファネイア、グローブシアターといった兄たちに比べると、同じようにスピードとパワーを兼ね備えているにもかかわらず、気性は一番素直なのかも知れません。だから操縦性がよく、いつでも動ける自在性があるのでしょう。正直、ここは負けてほしくない、そんな素質馬だと思います。

サートゥルナーリア

スピード・パワーだけでなく気性も素直なサートゥルナーリア(12月18日撮影)


【ホープフルS/アドマイヤジャスタ】

 前走紫菊賞の後は放牧に出されており、栗東へ帰厩したのは11月21日。その直後にCWでC.ルメール騎手を乗せて追い切った時には「朝日杯を使うのでは」と思ったくらい。それだけ始動が早かったわけですが、ここまで十分すぎるくらいに乗り込んでいます。

 この中間はCWでの追い切りが中心でしたが、実質的な最終追い切りは坂路になりました。併せ馬でしたが、これまでになく終い伸びる形で先着ゴール。普通に乗れば、楽々と坂路で15-15を出せる馬だけに、この馬の脚力も相当。4F52.2秒は速いと思いますし、1F12.3秒も終いまでしっかりしています。ただ、これで全休日を挟み、2日間の調整を経て、レースへ向かいます。気になるのはそこだけです。

アドマイヤジャスタ

十分すぎるほど乗り込んでいるアドマイヤジャスタ(12月25日撮影)


【ホープフルS/ブレイキングドーン】

 前走は出走取り消し明けの一戦。追い切りでは根性のある動きを見せていましたが、レースでもまさにそんなところを発揮する渋太い動き。ただ、実質5ヶ月ぶりというレースであの形は最後に応えたところがあったかも知れません。

 前走の反動もなく、この中間もしっかりと乗れています。1週前追い切りではCWでの併せ馬できっちり先着。さすがという走りを見せてくれましたし、前走よりも上向いている印象しかありません。最終追い切りは12月25日に福永祐一騎手が騎乗しましたが、坂路4F57.0秒。デビュー戦の最終追いが4F55.2秒だったので、それより遅くなりましたが、その分、終いは12.4秒と鋭い伸び。全体が遅いことで評価を下げるのか、ラスト1F最速のきれいな加速ラップを評価するのか。ここで印順が変わってきそうです。

ブレイキングドーン

前走よりも上向いている様子のブレイキングドーン(12月25日撮影)


【ホープフルS/ミッキーブラック】

 新馬、芙蓉Sと連勝した後の京都2歳Sは4着。先行したことで脚を無駄に使ったわけではなく、緩急のある流れだと、速くなった時にどうしても置かれてしまう。そんなところが露呈したレース結果だったような気がします。

 それは追い切りを見ていても実感します。1週前追い切りとなったCWでの併せ馬はサンライズアキレスと併入していましたが、相手が来るだけじわじわと前に出る感じ。でも最終追い切りの坂路では、手応えに余裕があるように見えて、いざ追い出すとクリソライトより手応えが悪くなります。ちょっと強気の競馬をしていけば、かなり楽しみだと思いますが、この頭数で道中の流れが落ち着くようだと、やっぱり瞬発力が足りないような気がします。

ミッキーブラック

瞬発力の面で少し心配があるミッキーブラック(12月25日撮影)


【ホープフルS/ヴァンドギャルド】

 初めての東京競馬場、初めての左回りをキャリア2戦目で克服して、東スポ杯3着。勝ち馬とは時計差なしですし、あらためて素質の高さを感じさせるレース内容だったと思います。

 前走後は一旦放牧へ出されており、12月4日に栗東へ帰厩。ここまで順調に追い切りを消化してきました。坂路とCWを併用しての仕上げ、最終追い切りは12月24日に坂路で4F54.5秒。最終追いが坂路は今回が初めてのパターンですが、4F目最速のきれいな加速ラップが踏めていますし、特に場所変化を気にすることはないはず。25日はCWで普通キャンターでしたが、後ろから追い切りがくるとかなり気持ちの乗った走りを見せて元気いっぱいです。

ヴァンドギャルド

気持ちの乗った走りを見せたヴァンドギャルド(12月18日撮影)


◆次走要注意

・12/22 2歳新馬【アナザーラブソング】(7人4着)

 1400mを除外されての1800m。追い切りでは引っ掛かるようなところもあったため、前半は慎重に進めて、後方からのレースになりました。

 ただ、走りを見ているかぎりは折り合っていましたし、直線に向いてからの追い出しも伸び上々。これなら位置取りがもっと前ならと思わせてくれる内容。年明けにもう一度同じ距離を使うようなので、ここで決めてくれるでしょう。

[メモ登録用コメント] [芝1800m]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・ホープフルS【ヒルノダカール】

 1週前追い切りのCWで動きは目立っていましたが、最終追い切り坂路でも素晴らしい動き。25日はウッドチップが凍って、踏みしめるには最適な馬場状態ではありましたが、それを考慮しても2F24.0秒は評価すべき時計。あとは枠順や展開などが着順を決める鍵となりそうです。

ヒルノダカール

素晴らしい動きと時計で追い切ったヒルノダカール(12月25日撮影)



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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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