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競馬界と私個人の2018年十大ニュース

  • 2018年12月27日(木) 12時00分
 本稿がアップされた翌28日の金曜日にはホープフルステークス、29日の土曜日には東京大賞典が行われる。とはいえ、やはり有馬記念が終わると気持ちにひと区切りついてしまう。ということで、私の主観と独断で選んだ2018年の競馬十大ニュースを紹介したい。

【1位】北海道地震で馬産地が被災
 9月6日未明、胆振地方中東部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生。道内で初めて震度7を記録した揺れの大きさもさることながら、道内全域が停電するブラックアウトにより、震源に近い牧場や門別競馬場では、馬に与える水を汲み上げることができなくなるなど大きな被害を受けた。

【2位】アーモンドアイ、牝馬三冠とジャパンカップを圧勝
 日本の競馬史を書き換える可能性のある、いや、すでに書き換えている、とてつもない能力の持ち主が現れた。

【3位】オジュウチョウサン平地挑戦
 七夕の福島での平地復帰初戦から、夢の二刀流でずっと私たちを楽しませてくれた。復帰3戦目の有馬記念でコンマ8秒差9着は立派。

【4位】3歳馬大活躍
 3歳馬による古馬混合GI勝利は、マイルチャンピオンシップ(ステルヴィオ)、ジャパンカップ(アーモンドアイ)、チャンピオンズカップ(ルヴァンスレーヴ)、有馬記念(ブラストワンピース)の4勝と、1984年のグレード制導入以降最多。すべて関東馬で、ステルヴィオの木村哲也調教師とブラストワンピースの大竹正博調教師はGI初制覇。

【5位】武豊騎手JRA通算4000勝
 9月29日、父・武邦彦氏の代から縁の深い松本好雄オーナーが所有するメイショウカズヒメで達成。相棒のキタサンブラックが引退しても、さすがの存在感。

【6位】的場文男騎手最多勝記録更新
「大井の帝王」は8月12日、佐々木竹見元騎手の記録を更新する7152勝をマーク。今なお更新中である。

【7位】藤田菜七子騎手女性騎手最多勝更新
 8月25日、通算35勝目を挙げた。斤量面のアドバンテージが増す(戻る、と言うべきか)来春以降はさらなる飛躍が期待できる。

【8位】外国人騎手GI10週連続勝利
 10月13日の秋華賞から12月15日の朝日杯フューチュリティステークスまで。有馬記念で池添謙一騎手がストップさせた。

【9位】ノーザンファームGI15勝
 同牧場の記録を更新しつづけている。ホープフルステークスでもうひとつ上積みするかもしれない。

【10位】JBCを京都で開催
 将来、同日同競馬場での複数GI開催がレギュラー化される可能性を感じさせた点でも、面白く、意義深い試みだった。

 そのほか、ホッカイドウ競馬で誤審、岩手競馬で薬物連続検出、山田敬士騎手ゴール誤認、角居勝彦厩舎が2021年2月末の解散を発表など、いろいろあった一年だった。


 つづいて、私個人に関する競馬十大ニュースを。

【1位】競馬ミステリーシリーズ上梓
 11月20日、集英社より『ダービーパラドックス』を文庫書き下ろしで上梓。今後も文庫オリジナルで競馬ミステリーシリーズを出していく。『ダービーパラドックス』はまずまず売れており、重版が決定。来年1月下旬に出来する。

【2位】連載が増える
 netkeiba.comで毎週メインレースを振り返る「勝負の分かれ目」、「週刊競馬ブック」で「競馬はじめて物語」を隔週で、また、キャロットクラブ会報(月刊)で同会所属馬の列伝「あの蹄音を、もう一度」の連載をスタート。

【3位】寺山修司記念館、東京競馬場でトークイベント
 9月22日、青森県三沢市で「寺山修司と競馬」、11月17日には東京競馬場で、私が監修した血統展に関するトークショーがあった。

【4位】的場文男騎手、藤田菜七子騎手にインタビュー
 どちらも魅力あるキャラクターで、話していて楽しく、勉強になった。的場騎手の記事は「週刊ポスト」、藤田騎手のそれは「優駿」に掲載。

【5位】スマイルジャック産駒が入厩、デビュー
 2歳牝馬のスマイルベティとブラーミストが美浦・小桧山悟厩舎に入厩。スマイル産駒はこれら2頭のみ。スマイルベティは10月25日にデビューし15着。

【6位】小手川準調教助手、調教師試験合格
 小桧山厩舎の小手川準調教助手は、以前から私の本をよく読んでくれていた。彼と担当馬の話をするのをいつも楽しみにしていたのだが、今度は管理馬になる。ますます楽しみになった。

【7位】大竹正博調教師、GI初制覇
 ブラストワンピースで有馬記念を勝ち、GI初制覇。初めて取材した2010年6月から、気がつけば8年半。『絆〜走れ奇跡の子馬〜』の大迫調教師のモデルなのだが、同書を購入してくれていたことを、さっき本人から聞いて驚いた。

【8位】純烈、紅白歌合戦出場
 リーダーの酒井一圭さんは友人で、ものすごい競馬ファン。ずっと紅白に出ることを目標にし、夢が叶ったときには、私までうるうるしそうになった。小手川助手の合格を知ったときも目の奥がツンとした。年をとると、自分のことより、人のことで涙腺が脆くなることを実感した。

【9位】今年も相馬野馬追へ
 月曜日の野馬懸が終わったら、都内のホテルで行われた、血統評論家の山野浩一さんのお別れの会に出席。野馬追には来年も行く。

【10位】新聞全15段広告に2度寄稿
 ダービーでは朝日新聞、有馬記念では同紙と読売新聞の全15段、つまり、1面丸々に掲載される文章を書いた。そのほか、北海道新聞日曜版に函館孫作についてコメントしたり、福島競馬場100周年ブック、ワールドオールスタージョッキーズパンフレット、南部杯レープロなどにも寄稿した。

 来年は、もっと盛りだくさんの私的十大ニュースになるよう頑張りたい。

 それではみなさま、よいお年を。

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作家。1964年札幌生まれ。Number、優駿、うまレターほかに寄稿。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』(2011年度JRA賞馬事文化賞受賞作)など多数。netkeiba初出の小説『絆〜走れ奇跡の子馬〜』が2017年にドラマ化された。最新刊は競馬ミステリーシリーズ第6弾『ブリーダーズ・ロマン』。プロフィールイラストはよしだみほ画伯。

関連サイト:島田明宏Web事務所

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