行って粘るだけの単調な戦法から脱皮しつつある
ジャパンCも、チャンピオンズCも、有馬記念も制して大活躍した3歳世代が、明けて4歳となった。当然、とくに今年はどの古馬重賞でも4歳馬が注目(人気)を集めることになるが、ベテランのイメージが濃くなった「6〜7歳馬」たちも、つい1週間前まではまだ若い「5〜6歳馬」だった。急に能力が衰えるわけもない。年齢表記のもたらすギャップがなくなる1〜3月くらいまで、ときには必要以上に人気の落ちた6歳以上馬を狙う馬券作戦も成立する。
実際、連対率を別にすると、過去10年の中山金杯2000mで馬券に関係した30頭の年齢別成績は、「4歳…6頭」「5歳…10頭」「6歳…8頭」「7歳…6頭」であり、世代レベルうんぬんはともかく、妙味はベテラン組の好走にある。今年、勢いを味方の4歳馬の中で狙えるのは、人気薄の格下からの上昇馬(軽ハンデ)か。失速の凡走は覚悟で、伏兵タニノフランケルの上昇に期待したい。
ウオッカの産駒は、シーザスターズを配された最初の3頭は、初子の牡馬ボラーレが未勝利。2番子の牝馬ケースバイケースも未勝利。
3番子の牝馬タニノアーバンシーが通算成績19戦4勝。上級条件に出世したもののオープン馬ではなく、みんな注目馬だったわりに物足りなかった。
だが、父がフランケルに変わった4番子のタニノフランケルは、ここまで11戦【4-1-2-4】。オープン馬となって4歳を迎えた。次週のフェアリーSに出走を予定する明け3歳の牝馬タニノミッション(父インヴィンシブルスピリット)も2戦1勝の素質馬。たちまちの出世がみえている。
タニノフランケルの母ウオッカは、日本ダービーなどGIを7勝。それも古馬になって一段と強くなり、牝馬ながら4歳以降にGIを5勝もしている。
14戦無敗の父フランケル(その父ガリレオ)も、4歳時には距離10F級の2勝を含みGI5戦全勝。マイル向きのスピードだけでなく、スタミナもあった。
タニノフランケルは、前回の4勝目は初の2番手からの抜け出しだった。行って粘るだけの単調な戦法から脱皮しつつある。この組み合わせでベテラン=内田博幸騎手が行く気をみせれば、単騎マイペースも可能だ。以前のもろさは解消している可能性が高い。
角居調教師の調教停止期間は1月6日まで。タニノフランケルは、大変身の上がり馬となって復帰を歓迎したい。