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不利のある伏兵たちが鍵となる/フェアリーS

  • 2019年01月11日(金) 18時00分

人気薄でも侮れないきわめて難解なレース


 そう古い重賞ではなく、前身は1984年に創設された12月の中山1600mの「テレビ東京賞3歳牝馬S」。信じるファンは少ないだろうが、勝ち馬は第1回が翌年の桜花賞馬エルプス、第2回は牝馬3冠メジロラモーヌ、第3回は桜花賞2着のコーセイだった。

 その後に変遷はあったが、2009年から1月の中山1600mになった(戻った)。

 それから10回、3連単10万円以上が6回のきわめて難解なレースに転じ、各年の馬券に関係したもっとも人気薄の馬は《10・11・7・14・10・10・11・10・10・7番人気》。毎年のように2ケタ人気馬が馬券に絡んでいる。

 過去10年、このフェアリーSに出走し経験を持ち、桜花賞で好走したのは09年の勝ち馬ジェルミナル(桜花賞3着)たった1頭だけ。2017年の2着馬アエロリットは桜花賞5着。2018年の勝ち馬プリモシーンは桜花賞10着。近年はなぜか桜花賞と結びつかないのである。

 これも不思議だが、不利とされる外枠(馬番2ケタ)の馬が10年間で11頭も馬券に絡んでいる。もまれ弱いタイプが多いためだろう。かつて阪神JFからの折り返し組が好走した当時とは異なり、最近5年の馬券に関係した15頭はすべて500万下の条件馬であるところも難しい。

 新年早々、クラシック有力候補サートゥルナーリア(3戦3勝、父ロードカナロア)の鞍上がC.ルメールに代わることが決まった。4戦4勝のアドマイヤマーズ(最優秀2歳牡馬)がいるとはいえ、両馬の主戦だったM.デムーロは、(内心)ちょっとがっかりしているかもしれない。そんなミルコの騎乗するアクアミラビリス(父ヴィクトワールピサ)は、ここがまだ2戦目。出負けの危険もあるが、エ女王杯など重賞4勝馬クイーンズリング【6-3-0-10】の半妹。姉の主戦もM.デムーロで、とくに重賞4勝はすべてM.デムーロだった。

 クイーンズリングは3歳のこの時期、3戦3勝のまま桜花賞(4着)に駒を進めている。妹のアクアミラビリスはちょっと小柄でも、パンチの利いたフットワークは実に鋭い。東京の新馬1600mは前半が超スローのため、直線は「11秒7-10秒6-11秒1」=33秒4だった。アクアミラビリスは2番手から33秒2で抜け、最後は馬なりの楽勝。姉同様に、追っての味が真価と思える。

 相手は難解。15番人気の桜花賞を2着、13番人気のオークスも2着したエフティマイアの産駒エフティイーリス。キャリア1戦だけのグレイスアン。外枠で嫌われそうなアマーティ。こういう重賞なので伏兵を相手に入れたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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