軽い芝を好むタイプより、やや詰めの甘い死角はあっても…/日経新春杯
タイム差が示す以上にタフな芝コンディションだろう
先週の京都の芝は、「京都金杯」が1分34秒9(レース上がり35秒2)。同じ1600mの「シンザン記念」の1分35秒7(レース上がり35秒9)が示すように、全体に時計がかかっていた。ともに明らかにスローの流れなのに、平凡な上がりで全体のタイムが遅くなったから、「0秒5-1秒0」前後のタイム差が示す以上にタフな芝コンディションだろう。
軽い芝を好むタイプより、ときにやや詰めの甘い死角はあっても、キングカメハメハ系や、ステイゴールド系の産駒に分があると思える。
キングカメハメハの初産駒が2歳デビューしたのは08年。その世代が4歳に達した10年以降の全日本総合種牡馬ランキングは、
《1,1,2,2,2,2,2,2,2位》
一方、宿敵として比較されるディープインパクトは、2年後に初年度産駒が4歳に達し、その総合ランキングは12年以降、
《……1,1,1,1,1,1,1位》
12年以降の総合ランキングはディープインパクトが「7年連続1位」。カメハメハが「7年連続して2位」である。この差は種牡馬としての優秀性を示すというより、2頭の種牡馬の持ち味の微妙な違いを示す1面もある。キングカメハメハ産駒は高いダート適性も示すように、軽い芝の、賞金の高い芝のビッグレースでは、あと一歩の鋭さ(瞬発力)不足を否定できない1面がある。
2頭の現在の日本を牽引する種牡馬は、いまはもうお互いの影響力を利用し合う関係であり、産駒の特徴の違いはどんどんなくなっているが、カメハメハの物足りなさをストレートに受け継いだのが、キングカメハメハの後継種牡馬として先陣を切ったルーラーシップ(07年産)かもしれない。同馬はサンデーサイレンス系の血を持たない。
最初は2歳種牡馬ランキングも低迷していたが、しだいに順位を上げ、初年度産駒が4歳に達した2018年は総合種牡馬ランキング8位に台頭してきた。
その代表的産駒が今年5歳になったキセキ(母の父ディープインパクト)や、ダンビュライト(母の父サンデーサイレンス)であり、日経新春杯のムイトオブリガード(母の父サンデーサイレンス)だろう。
ムイトオブリガードは体質に弱いところもあり、ビシビシ追って出走することができず、2-3歳時は【1-3-1-4】だった。だが、しだいに心身ともにパワーアップした4歳時は【4-1-0-2】。父ルーラーシップと同じような成長過程を辿っている。ルーラーシップは本物になった5歳時は、香港のQエリザベス2世CなどGIレースを中心に7戦すべて3着以内だった。
祖母にシンコウラブリイ(父はニジンスキー系カーリアン)を持つムイトオブリガードは非力ではなく、現在の京都の芝は合っているはずだ。
穴馬は、同脚質馬は多いが、しぶとさが身上のウインテンダネス、ノーブルマーズの粘り込み。