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フィエールマンの過剰人気にご注意を!/AJCC

  • 2019年01月14日(月) 18時00分

■アメリカJCC(G2・中山芝2200m)


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口




 アメリカJCCの特徴でもっとも目立っているのが、高齢馬の活躍である。昨今の重賞は基本的に4〜5歳の若い馬のほうが好成績を残すものだが、このレースは完全に例外。過去10年で馬券に絡んだ馬の過半数を6歳以上馬が占めるという、かなり特殊な傾向が出ている。今年も高齢馬がけっこう出てきそうなだけに、目が離せない。

 勝率がもっとも高いのは5歳馬で、連対率と複勝率が高いのは4歳馬と若い馬も相応の結果を残してはいるのだが、単勝適正回収値や複勝回収値が高いのは6歳以上馬。8歳馬も[0-4-2-12]と意外なほど連対しており、けっして侮れない。強力な買い材料があるような馬であれば、高齢であろうと迷わず「買い」がセオリーといえる。

 6歳以上馬を取捨選択する上で重視したいのが、「今回ひとケタ人気・前走馬体重480キロ以上・前走重賞」という三条件。とくに今回の人気は重要で、ひとケタ人気馬はトータル[5-6-5-32]で、ふたケタ人気馬は[0-1-0-43]と、明暗がハッキリ分かれている。おそらくではあるが、サクラアンプルールやマイネルフロストあたりはひとケタ人気となる可能性がありそうだ。

 あとは、中穴人気が狙い目のレースであることや、非常に先行勢が強いレースであることなども、アメリカJCCを予想する上で押さえておきたいポイント。今年は明け4歳馬が人気を集めそうな雰囲気だが、4歳馬のワンツー決着だった昨年同様にいくとは限らない。人気の4歳馬を過信するのは禁物だろう。

【コース総論】中山芝2200m Cコース使用

・コースの要所!

★基本的には人気サイドが強いコース。1番人気以外の上位人気がオイシイ。
★枠番による有利不利は小さい。信頼度が高いのは「やや内」あたりの枠番。
★ハッキリと先行勢が優勢のコース。中団よりも前のポジションが欲しい。





 正面スタンド前から発走して、スタート直後に急坂を駆け上がる中山芝2200m。最初のコーナー進入まで距離があるのもあって、序盤から激しいポジション争いが繰り広げられるケースは稀である。やや遅めの平均ペースで、中盤まではゆったりした流れになることが多いコース。長くいい脚が使えるようなタイプに向く印象が強い。

 人気別では全体的に人気サイドの強さが目立つ。とくに優秀なのが「1番人気以外の上位人気」で、単勝適正回収値や複勝回収値の高さはかなりのものだ。対照的に7番人気以下など人気薄の成績は低空飛行で、2〜3着のヒモで狙うのが精一杯という内容。人気サイドを「どういった組み合わせで買うか」が重要なコースといえそうだ。

 次に枠番だが、トータルで見ると枠番の内外での有利・不利は小さいコース。外枠に入った馬の信頼度がガクッと落ちるようなことはなく、枠番をあまり気にせず買える。ただし、ちょっと割り引いて考えたいのが、内枠である馬番1〜4番に入った馬。信頼度だけでなく回収率ベースの数値も低調というのは意外だった。「やや内」である馬番5〜8番あたりのほうが内容はいい。

 最後に脚質面だが、これはハッキリと先行勢優勢。最速上がり馬が中団から差して1着にくるケースも相応にあるが、先行勢と中団待機組のトータルで比較すると、前者が圧倒的な強さを見せている。差せないコースであるのを象徴しているのが後方待機組の壊滅的な成績で、4コーナーを11番手以下で回った馬は[1-0-0-113]という惨憺たる結果。かなり前重視の姿勢で予想すべきコースである。

【レース総論】アメリカJCC(G2) 過去10年

・レースの要所!

★4〜6番人気や7〜9番人気など中穴がオイシイ。ふたケタ人気馬はほぼ壊滅。
★枠番別で極端な成績差がないのはコースデータと同じ。外枠でも問題なし。
★コースデータ以上に先行勢が強いレース。軸馬は必ず先行勢から選ぶべき。
★前走G1組など重賞組が素直に優勢。関東所属騎手の強さも目立っている。








 レースの平均配当は、単勝684円、馬連4961円、3連複1万1606円。「適度に堅く適度に荒れる」といった印象で、実際に人気別成績では4〜6番人気や7〜9番人気など、中穴の活躍が目立っている。人気サイドの信頼度もけっして低くはないが、キッチリ人気通りに決まるほど堅くはないレース。ふたケタ人気馬が[0-1-0-46]と壊滅状態であるのを考えると、ここは「少しだけひねる」ような買い目での勝負が望ましい。

 枠番別成績ではいっけん「内枠のほうが有利」に見えるデータが出ているが、平均人気にかなり差があるのを考えると当然の帰結。内容的にもっとも優秀といえるのは「やや外」である馬番9〜12番であり、内が有利とは必ずしもいえない。また、コースデータで内枠の成績がイマイチであるのも、レースデータを額面通りに受け取れない理由のひとつ。実際は、かなりフラットだと思われる。

 脚質面は、コースデータ以上に先行勢優勢。4コーナーを5番手以内で回った馬が、トータル[8-8-6-31]で連対率30.2%、複勝率41.5%という圧倒的な結果を残している。それとは対照的に、中団や後方からの競馬となった馬は大不振で、後方から追い込んで馬券に絡んだ馬はゼロ。前々で流れに乗っての「好位差し」が、このレースの勝ちパターンだ。軸馬には必ず、先行して粘れるタイプの馬をチョイスしたい。

 前走クラス別でもっとも優秀な成績を残しているのは、前走G1組。連対率28.1%、複勝率34.4%と高信頼度で、回収率ベースの数値もけっこう高い。逆にイマイチなのが、前走でオープン特別や準オープンなどに出走していた組。信頼度が低いうえに爆発力まで低いのだから、大幅な割引が必要だ。前走レースの「格」が結果に直結する傾向が強いことを、しっかり覚えておきたい。

 あとは、冬場でパワーが求められる芝状態のせいか、前走馬体重480キロ以上馬が圧倒的に強いことも押さえておくべき。前走479キロ以下馬と比較すると、その差は歴然だ。騎手データからは、「継続騎乗×関東騎手」と「乗り替わり×関西&外国人騎手」のパターンをプラスに評価。昨今の重賞としては珍しいことに、関東所属騎手の活躍が目立つレースなのである。

【血統総論】


 血統面では、ディープインパクト産駒など4種牡馬の産駒をプラス評価の対象とした。いずれも優秀な内容を残しているが、なかでも注目したいのがルーラーシップ産駒が見せているコース適性の高さである。勝率26.7%、連対率46.7%という驚異的な信頼度の高さで、単勝適正回収値163.3、複勝回収値124と爆発力も十分。昨年の勝ち馬であるダンビュライトが、再びこのコースで強さを見せる可能性はかなり高そうである。

★アメリカJCC・総論×各論

 昨年の菊花賞馬フィエールマンが始動を予定しており、その他にもジェネラーレウーノ、グレイルなど、勢いに乗る現4歳世代が出走する見通し。対照的に5歳以上馬は、かなり手薄なメンバーとなりそうな雰囲気である。一昨年の有馬記念以来となるシャケトラが復帰を予定しているが、さすがにこの超久々ではひと叩きが必要だろう。

 となると、菊花賞馬フィエールマンが圧倒的な支持を集めそうだが、元々の体質がけっして強い馬ではなく、この中間にも熱発しているなど不安要素アリ。また、4歳馬の成績がイマイチであることや、非常に先行勢が強いコース&レースであるというのも不安点だ。過剰人気を警戒すべき一戦といえる。

 現段階でのトップ評価は、昨年の覇者であるダンビュライト。昨年はトップクラスを相手にいいレースを続けており、それと比較すると今回の相手関係はかなり楽。以前に比べて前に行けなくなってきているのはマイナスも、コース適性の高さや順調さなどでカバーできそうだ。前走から継続騎乗の予定である北村友ジョッキーには、ぜひ積極的な競馬を期待したい。

 二番手評価にジェネラーレウーノ。そのパワフルな走りと先行力は、アメリカJCCを勝ち負けする上で大きな武器となる。中山芝での実績は素晴らしく、距離もセントライト記念を制している2200mというベスト条件。先行勢に厳しいようなメンバー構成にもならないはずで、展開利はかなり大きい。現4歳世代が強さを見せるならば、フィエールマンではなくこちらだろう。

 三番手評価にサクラアンプルール。8歳と高齢になったが、天皇賞・秋で6着、有馬記念で7着と衰えはなく、一気に相手関係が楽になるここで大変身があるかも。特注データの項目で触れたように、もし当日にひとケタ人気に推されるようであれば、期待度はグンと高くなる。うまく中団で折り合えたならば、久々に勝利の美酒にありつけるかも。配当的な魅力も大きい1頭である。

 以下はフィエールマン、メートルダール、マイネルフロストという評価の序列。大人気確実のフィエールマンを「押さえ」でしか買わない──という方針を、データ面からは提唱したい。

※コース&血統データは2013年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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