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マツリダゴッホに見る、AJCCで通用するケースとは

  • 2019年01月19日(土) 12時00分

自らが最も力を発揮できる舞台を見極めたい


 今から12年前、アメリカジョッキーCCで4歳馬マツリダゴッホが勝ったとき、新聞の見出しに「中長距離GI戦線の新星になれるか」の文字が載っていた。3歳春はクラシック戦線には乗れず、夏から暮にかけて2勝してやっとオープン入りしたばかりだった。

 このときの1番人気は、2年前のダービーでディープインパクトの2着に来ていた5歳馬インティライミ。中山は初めてだったが、前走GIII戦でハナ差の2着と復調をアピールしていた。

 この本命馬がいいペースで逃げていたので、マツリダゴッホは4番手で見ていて、自ら動いて捕まえに行った。鞍上の横山典弘騎手は折り合いだけを考えていたが、標的にしていたインティライミが直線入口で後退し、なんと想定外の5馬身差の圧勝劇になっていた。

 国枝調教師の「まあ駄目なら、また地道にやっていこうという気持ちでいたんだけどね」という言葉から、この時点での陣営の思いが分かったのだった。

 中山の中長距離戦は切れよりもパワーがもとめられ、ペースはそんなに速くならず、外回りの3角からスパートして長く脚を使えるものが有利という傾向がある。こういうトリッキーなコースだから、一度勝てた馬は、何度でも好走してきた。マツリダゴッホは、その年、春は日経賞で3着だったが、秋は、オールカマー、そして有馬記念までものにしている。

 以後、秋はいつも中山のオールカマーを使ってGI戦を狙っていた。その後は、GIタイトルは得られなかったが、オールカマーは3連勝している。試金石でのぞんだ4歳時の勝利から、その後の方向性をつかんだマツリダゴッホの例から、逆に、どういうケースならアメリカジョッキーCCで通用するかが見えてくる筈だ。

 4歳馬なら、前年のセントライト記念での連対実績があれば好走できるし、皐月賞や京成杯での成績も参考になる。5歳以上なら、多くは、3走から4走前にオールカマーで上位の成績を残している馬が、ここで好成績に結び付けている。

 直近のレース結果にとらわれず、「全力を唯一の方向、目的に集中するならば、必ず、それを成就することが出来る」(カーライル)の言葉をあてはめてみたい。42年前のグリーングラス以来の前年の菊花賞馬優勝なるかが話題になる一方で、こんな見方もできるレースでもある。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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