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昨年秋のJRAGIで6勝!ノーザンファーム天栄調整馬の調教プロファイル(辻三蔵)

  • 2019年01月22日(火) 18時00分

今年の3歳クラシック路線でも、外厩調整を利用して重賞に挑戦


 昨年秋のJRAGIでは、ノーザンファーム天栄で外厩調整した関東馬が6勝。アーモンドアイが秋華賞(間隔:5カ月)、ジャパンカップ(間隔:中5週)を2連勝。フィエールマンが菊花賞(間隔:3カ月)を勝ち、レイデオロが天皇賞・秋(間隔:中4週)、ステルヴィオがマイルCS(間隔:中5週)、ブラストワンピースが有馬記念(間隔:2カ月)でGI初制覇を果たした。

 今年の日経新春杯(GII)でもグローリーヴェイズがノーザンファーム天栄での外厩調整を利用し、3カ月ぶりの実戦で勝利。ノーザンファーム天栄と厩舎間での調教メソッドが確立し、GI、GII競走で好結果を出した。

 今年の3歳クラシック路線でも、ノーザンファーム天栄での外厩調整を経由し、GIに出走する「アーモンドアイ方式」が増えるだろう。トライアル競走に先駆けて、ノーザンファーム天栄調整馬の美浦トレーニングセンターでの調教方法を分析したい。

 休養馬の帰厩時期はレースから逆算して22日前後が目安。先週1月20日(日)アメリカジョッキーCC(GII)では、ノーザンファーム天栄調整組のジェネラーレウーノ(間隔:3カ月)、フィエールマン(間隔:3カ月)が12月26日(水)帰厩。

 調整期間が3週間あれば、追い日の水・木曜日に3本、週末日曜日に3本の追い切りが可能。乗り込み本数は合計6本が基本線。

 重要なのは帰厩直後、週末追いで計測する最初の調教時計。週中に帰厩した場合、通常は日曜日に坂路、もしくはウッドチップコースで追い切る。基準時計は4ハロン53-54秒台。牧場での乗り込みが進んでいれば、週末追いでも速い時計が出せる。

 関東馬の追い切りは、直線に上り坂がある南馬場ウッドチップコースが基本。昨年秋、関東馬がJRA・GIを7勝したが、その内6勝がウッドチップコースで最終調整を行った(チャンピオンズCを勝ったルヴァンスレーヴ含む)。

 1、2週前追い切りはウッドチップコースで6ハロン追いを行う。ウッドチップコースで長めの距離を乗り込み、実戦を意識したスタミナ作りを行う。1週前には6ハロン81-82秒台と速めの調教時計が必要だ。

 直前追い切りはウッドチップコースで4ハロン追いを行う。実戦を想定して瞬発力を引き出し、ラスト1ハロンを12秒台にまとめる。上がり時計の速さが重要で、4ハロン51-52秒台が好走基準。レース勘を養うために、併せ馬は必須条件。鞍上には騎手を起用し、緊張感を持たせる。

 アーモンドアイの直前追い切りにはルメール騎手が桜花賞からジャパンカップまで4戦連続騎乗し、併せ馬を行っている。レイデオロも例外ではなく、ルメール騎手がオールカマーから有馬記念まで3戦連続騎乗し、併せ馬を課した。

 美浦南Wの好走時計は[4F51-52秒台、3F37-38秒台、1F12秒台]。

 2018年9月以降、JRAGIの調教パターンを調教コース:美浦南W、調教騎乗者:騎手、4F53秒0以内、3F38秒7以内、1F13秒0以内、コース取り:5分以上、併せ調教:先着・同入に設定した場合、[4-0-0-4](勝率50%、単勝回収率349%)と好成績を収めている。

 現代競馬は外厩調整の熟練度が増し、入厩するまでの体調管理は高いレベルで安定している。そうなると、美浦トレーニングセンターでの在厩調整で勝負が決まる。競走馬の能力を最大限に引き出すハイレベルなトレーニングをできるかどうか。限られた在厩期間だからこそ、厩舎力の差が如実に出る時代になった。

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