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テン乗りでも騎乗流儀は同じ、流れに乗って先行したい/東京新聞杯

  • 2019年02月02日(土) 18時00分

ハーツクライ産駒の成長力は侮れない


 休みを挟んで2連勝のインディチャンプ、立て直してきたタワーオブロンドンなど、勢いに乗る4歳馬が5頭もいる。

 多くの馬が春の最大目標とする安田記念もそうだが、以前は少なかった「東京1600mでの逃げ切り=先行抜け出し」が増えているところもポイント。

 逃げ=先行馬の活躍は、芝コンディションの大幅な良化に加え、マイラータイプの層が厚くなり全体レベルが上がっているのに対し、実際のレースでは緩い流れが多くなったため。現在のジョッキー界をリードするC.ルメールも、M.デムーロも変幻自在の戦法をみせるが、出発が欧州競馬なので自分から厳しいペースを作って先行する策はめったに用いない。

 東京のマイル戦を2戦2勝の6歳馬ロジクライ(父ハーツクライ)に期待したい。3歳春のシンザン記念1着のあと骨折して、なんと約2年間も休んだが、立ち直った5歳の昨年は8戦3勝。

 10月にはGIII・富士Sを1分31秒7で快走し、Aランクの能力を示した。通算【5-2-2-5】。これからさらに成長して不思議ない。その富士S、自身の中身は「57秒8-33秒9」=1分31秒7。前半1000m通過57秒4で飛ばすマルターズアポジーの2番手から抜け出し、最後の1ハロンも11秒7。コースレコードと0秒4差だった。

 その前走の京成杯AHでは好位のインで折り合いにこだわりすぎ、追って伸びを欠いた。また、マイルCSでも折り合いを重視しすぎて伸びなかった。気分良く先行して持てるスピード能力をフルに発揮させたのが、父ハーツクライにも乗って快走したルメール騎手だった(テン乗り)。今回の横山典弘騎手もテン乗りになるが、先行型に乗った際の騎乗流儀は同じ。ショウナンアンセム、テトラドラクマなどの出方をうかがいながら、スムーズに流れに乗って先行してくれるだろう。

 ハーツクライ産駒は、ジャスタウェイ、昨年の東京新聞杯、エ女王杯を制した牝馬リスグラシューなど、古馬になって大きく成長する。代表格は5歳時にジャパンCを制し、6歳暮れの有馬記念も小差3着。7歳の今年も現役を続けるGIの常連シュヴァルグラン。

 シュヴァルグランとロジクライは同じ配合で、母の父はマキャヴェリアン(父ミスタープロスペクター)。このタフな血を伝えることで知られる種牡馬は、現在29連勝中のウィンクス(豪)、19勝もしたゼニヤッタ(米)の父となったストリートクライ(ドバイWC)を送っている。

 マキャヴェリアンは日本ではシュヴァルグランきょうだい(姉ヴィルシーナ、妹ヴィブロス)や、ヴィクトワールピサ兄弟(アサクサデンエンなど)の母の父であり、インカンテーションの場合も同じ。先週のシルクロードSを突っ込んで3着した9歳ティーハーフの父方祖父でもある。

 4歳インディチャンプなどきわめて強敵は多いが、左回りの芝【2-1-0-0】。東京1600mベストの6歳ロジクライには、この組み合わせなら富士Sの再現が望める。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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