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【無料】ドバイワールドCを狙う米国馬たち

  • 2019年02月06日(水) 12時00分

例年以上に大きな注目を集めたサンパスカルS


 出馬登録を行った8頭のうち半数の4頭が、3月30日にドバイのメイダン競馬場で行われるG1ドバイワールドC(d2000m)にエントリーしていた馬たちだったことから、例年以上に大きな注目を集めることになったのが、2月2日にカリフォルニア州のサンタアニタ競馬場で行われた4歳以上によるG2サンパスカルS(d9F)だった。

 ところが、朝から降り続いた雨で、馬場がSloppyという最も水が浮いた状態となったため、3頭が出走を取り消すことになり、そのうちの1頭は、関係者が「ここをステップにドバイへ」と明言していたダブスター(牡5、父カーリン)だった。

 ドバイの国王シェイク・モハメドの従兄弟にあたるマクトゥーム・ビン・ハリファ・アル・マクトゥームの所有馬で、ボブ・バファートが管理するダブスターは、まだ重賞未勝利ながら、昨年11月のG2BCマラソン(d14F)2着、続くG3ネイティヴダイヴァーS(d9F)2着、前走G2サンアントニオS(d8.5F)3着と、重賞戦線で安定した成績を残している馬である。

 このままドバイに直行するのか、別の適鞍を探して国内でもう1戦するのかは、今後関係者が協議することになる模様だ。

 泥んこ馬場を厭わずにサンパスカルSに出走することになった、ドバイワールドC登録馬は、マッキンジー(牡4、父ストリートセンス)、バトルオヴミッドウェイ(牡5、父スマートストライク)、パヴェル(牡5、父クリエイティヴコーズ)の3頭だった。

 中でもオッズ1.5倍の1番人気に推されたのが、ダブスターと同じボブ・バファートが管理するマッキンジーだ。

 3歳春までにG1ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)を含む2重賞を制し、ケンタッキーダービーの有力候補の1頭となったが、脚部不安で春の3冠を全休。秋に戦列に戻り、半年ぶりの出走だったG1ペンシルヴェニアダービー(d9F)を制し2度目のG1制覇。2番人気に推されたG1BCクラシック(d10F)は12着に大敗したものの、暮れのG1マリブS(d7F)を快勝して3度目のG1制覇を果たしていた。

 続いてオッズ3.4倍の2番人気に推されたのが、ジェリー・ホレンドルファー厩舎のバトルオヴミッドウェイである。

 2017年のG1BCダートマイル(d8F)勝ち馬で、実はこの段階で現役を引退して種牡馬となったのだが、受精率がきわめて低いことが判明して、現役にカムバック。8月に戦線に戻った後、暮れまでに5戦し、ダブスターを2着に退けたG3ネイティヴダイヴァーSを含む2勝、G2パットオブライエンS(d7F)2着、G2サンアントニオS2着などの実績を残している。

 そして、オッズ7.4倍の3番人気に推されたのが、ダグ・オニール厩舎のパヴェルだった。

 昨年6月にチャーチルダウンズで行われたG1スティーヴンフォスターS(d9F)を含めて、ここまで重賞2勝。G1パシフィッククラシック(d10F)2着、昨年のG1ドバイワールドC4着などの実績を残している。前走は日本に遠征し中京のG1チャンピオンズC(d1800m)に挑んだが、砂質の違いに戸惑い10着に敗れている。

 レースは、道中2番手で競馬をしたマッキンジーが、3〜4コーナー中間で先頭へ。同じタイミングでマッキンジーの外に馬体を併せてきたのが、道中終始マッキンジーを前に見る位置で競馬をしていたバトルオヴミッドウェイで、2頭による鍔迫り合いはゴールまで続いた末に、バトルオヴミッドウェイがマッキンジーに半馬身差競り勝って優勝。パヴェルは2頭から10馬身近く離された4着に終わった。

 勝ったバトルオヴミッドウェイは、今後の馬の状態に問題がなければ、ドバイに向かうことになりそうだ。一方、2着に敗れたマッキンジーの陣営は、ドバイに色気を見せつつ、6月にベルモントパークで行われるG1メトロポリタンS(d8F)を「この馬の最適鞍」としており、国内に留まる選択肢も視野に入れている。

 このほか、今年のドバイワールドCには既に、北米からガネヴェラ(牡5、父ダイアルドイン)、ブラヴァゾ(牡4、父オウサムアゲイン)の2頭が参戦を表明している。

 G1勝ちの実績はないものの、G2フォンテンオヴユースS(d8.5F)など3重賞を制している他、G1BCクラシック2着、G1ウッドウォードS(d9F)2着、G1フロリダダービー(d9F)3着などの成績を残しているのがガネヴェラだ。参戦が実現すれば2年連続で、8着に敗れた1年前の雪辱を期す戦いとなる。

 もう1頭のブラヴァゾは、大ベテランのW・ルーカス調教師の管理馬。こちらもG1制覇の実績はないが、G1プリークネスS(d9.5F)2着、G1ハスケル招待(d9F)2着、G1クラークH(d9F)2着、G1トラヴァーズS(d10F)3着、G1BCダートマイル(d8F)3着などの成績を残している、今年の4歳世代で屈指の実力を誇る馬である。

 ブックメーカー各社がドバイワールドCへ向けた前売りで、目下のところオッズ4倍前後を掲げて1番人気に推しているのが、前年に続くこのレース連覇を狙うサンダースノウ(牡5、父ヘルメット)だ。

 これに続き、オッズ6〜9倍の2番人気に、昨年のG1アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド3(d2000m)の勝ち馬で、今季初戦となった1月10日のG2アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド1(d1600m)を快勝したノースアメリカ(セン7、父ドゥバウィ)が名を連ねている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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