【無料】頭抜けたスケール、「くくられない」魅力/クイーンC
意外にもオークスの伏兵が育つ一戦
時期は2月下旬→1月下旬→2月中旬と変化したが、長いこと距離1600mのクイーンCは桜花賞へ続く大切なマイル路線。ここで快走し、桜花賞でも2着した11年ホエールキャプチャ(3歳アルママの母)など、このレースに出走し桜花賞でも上位に好走した馬は数多い。
ただし、過去53回、クイーンCの勝ち馬として目標の桜花賞を勝ったのは、もうはるか昔も昔、1970年のタマミ(1400m当時)、1976年のテイタニヤ。史上たった2頭しかいない。
桜花賞に向かう手法やレース日程が変化した現在、やがては鬼門のレースでなくなるだろうが、いま完調に近い状態で必死では、2カ月も先の4月に再び絶好調で出走はありえないのも確かである。
かつて、桜花賞のためにはクイーンCなど負けた方がいいとされた時代があった。でもそれも一時期のことで、ここで負け、やがて桜花賞を勝った馬は、1973年ニットウチドリ(クイーンC3着)、1983年のメジロラモーヌ(同4着)。30年も経って2017年レーヌミノル(同4着)。わずか3頭しかいない。
早い話、桜花賞とはあまりゲンのいいレースとはいえず、距離は大きく異なるが同じ東京で行われるオークスの伏兵が育つレースに近い。
そういう怖さが知られているところに、2歳後半から3歳初期の番組が増えたから、近年のクイーンCとは思えない頭数になったのだろう。
クロノジェネシス(父バゴ)が出走する。最大目標はオークスなので(?)、桜花賞に向けた日程の馬とは少々異なり、ここを勝った(使った)から桜花賞は難しいとか、余計なことをささやかれてもクロノジェネシスにはあまり関係ないとする見方が多いが、実はそこが難しい。
クロノジェネシスは、使い込めない素質馬の半姉ノームコア(父ハービンジャー)より丈夫で、距離延長も平気とされるが、バゴ産駒は簡単ではない。母方の特徴や距離適性に関係なく、1200mベストのクリスマス(母の父ステイゴールド)がいて、桜花賞2着のオウケンサクラ(母の父リアルシャダイ)も、京成杯2000mを勝ったコマノインパルス(母の父フジキセキ)も、いきなり3000mの菊花賞を勝ったビッグウィーク(母の父サンデーサイレンス)も、ダートの中距離牝馬トロワボヌール(母の父サンデーサイレンス)も、みんなバゴの代表産駒である。
ほかの種牡馬と異なり、「総じて…」という安易なくくりを許さない。クロノジェネシスが桜花賞より、2400mのオークス向きとは(1800mの勝ち方からそういうイメージ持てるが)、実際には判明していない。逆もありえる。それで桜花賞と同じ1600mに出走してくるのだから、評価は分かれる。
東京コースなら、仮に9分くらいの仕上がりでもクロノジェネシスのスケールが上回る。前回はC.デムーロ(ダノンファンタジー)のしたたかさに外に振られたが、ここは楽々と上がり32秒5(最後の1ハロン推定10秒9)で抜けた能力が生きると考えたい。クロノジェネシスはたとえ負けても、桜花賞→オークスと進めるのは事実で、他のJRA所属馬はここ1、2戦でなんとかしなくては、クラシックどころではないが、古馬の下級条件と異なり、3歳のこの時期の重賞は本気度うんぬんのレースではないはずである。