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オルフェーヴルのニックス配合フィオレドーロ

  • 2019年02月13日(水) 12時00分
●ウエスタンバーキン(牝 美浦・大竹正博 父ダンカーク、母ウエスタンベッラ)

 母ウエスタンベッラは新馬戦など2戦1勝。2代母ウエスタンベッキーはビリーヴ(02年スプリンターズS-GI、03年高松宮記念-GI)の従姉妹にあたり、3代母Mary's Spiritは牝馬ながら米年度代表馬に選ばれたLady's Secretの半妹、という活力あふれるファミリーに属している。

 父ダンカークは日本における初年度産駒である現3歳世代が上々の成績で、シークレットラン(19年京成杯-GIII・4着)をはじめJRAで13頭が勝ち上がっている。母の父ハーツクライはUnbridled's Songとニックスの関係にあり、スワーヴリチャード(18年大阪杯-GI)、アダムバローズ(17年若葉S-OP)、ナスノシンフォニー(17年ホープフルS-GI・5着)など活躍馬が目白押し。本馬の父ダンカークはUnbridled's Songの息子なので、上記のニックスが成立する。芝向きのマイラーだろう。

●シュッドヴァデル(牡 栗東・友道康夫 父トーセンホマレボシ、母エイシンパンジー)

 ケンホファヴァルト(父マーベラスサンデー/準OP)の半弟。母エイシンパンジーは未勝利馬だが、エーシンジーライン(12年小倉大賞典-GIII)、エーシンエフダンズ(10年オーシャンS-GIII・2着)の半姉にあたる良血ということもあり、繁殖牝馬として上々の成績を収めている。

 本馬の父はトーセンホマレボシ。ディープインパクトの息子でミッキースワロー(17年セントライト記念-GII)の父として知られている。父の母エヴリウィスパーと、母の母レディダンズは、近い世代にNorthern Dancer、Mr.Prospector、Secretariatが共通するので、本馬はエヴリウィスパー≒レディダンズ2×2という相似な血のクロスとなる。マルゼンスキーなどに見られる配合パターンであり期待が持てる。芝向きの中距離タイプ。

●スマートフェイス(牝 栗東・野中賢二 父シニスターミニスター、母トップモデル)

 母トップモデルはカゼノコ(14年ジャパンダートダービー-Jpn1)、ビリオネア(OP)の半姉で、現役時代に芝で3勝を挙げた。本馬の父はエーピーインディ系のシニスターミニスター。母方にDanzigを持つ同産駒にはインカンテーション(13年レパードS-GIIIなどダート重賞6勝)、キングズガード(17年プロキオンS-GIII)、ダブルスター(マイルCS南部杯-Jpn1・4着)、フェニックスマーク(18年マーキュリーC-GIII・3着)などの活躍馬がおり、連対率26.0%、1走あたりの賞金額373万円。これは同産駒全体の16.4%、145万円を大きく上回っている。ニックスといっていいだろう。

 本馬の母の父ロックオブジブラルタルはダンジグ系なのでこのパターンに当てはまる。前述のとおり叔父にカゼノコがいる血統でもあり、ダート中距離で期待できる。

●フィオレドーロ(牝 栗東・角居勝彦 父オルフェーヴル、母レイカーラ)

 母レイカーラはダノンシャーク(14年マイルCS-GIなど重賞3勝)の半妹で、現役時代はターコイズS(OP)など5勝を挙げた。父オルフェーヴルは、初年度産駒からエポカドーロ(18年皐月賞-GI)、ラッキーライラック(17年阪神JF-GIなど重賞3勝)、ロックディスタウン(17年札幌2歳S-GIII)を出しているが、これら3頭は母方にMr.Prospectorを持つという共通点がある。

 本馬の母の父キングカメハメハもMr.Prospector系に属しており、「オルフェーヴル×キングカメハメハ」はタガノディアマンテ(19年きさらぎ賞-GIII・2着)が出るなど連対率26.5%、1走あたりの賞金額167万円という好成績。これはオルフェーヴル産駒全体の18.5%、143万円を上回っている。芝向きの中距離タイプだろう。

●メルヘンステージ(牝 栗東・奥村豊 父ハーツクライ、母マーキーアトラクション)

 イエローマリンバ(現OP)の4分の3妹で、父はディープインパクトからハーツクライに替わった。2代母Golden AttractionはスピナウェイS(米G1)、フリゼットS(米G1)、メイトロンS(米G1)などを制し、95年の米2歳牝馬チャンピオンに輝いた名牝。3代母Seaside Attractionはケンタッキーオークス(米G1)の勝ち馬で、4代母Kamarと5代母Square Angelはいずれも加オークスを制し、加3歳牝馬チャンピオンに輝いた。代々一流の競走成績を残してきた名牝系に属している。

 母マーキーアトラクションは現役時代3戦未勝利に終わったものの、良血だけあって前述のとおりイエローマリンバという期待の短距離馬を出している。母方にStorm CatとMr.Prospectorを併せ持つハーツクライ産駒はマジェスティハーツ(13年神戸新聞杯-GII・2着)、アドマイヤアルバ(18年京都新聞杯-GII・2着)などが出ており成功している。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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