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オーストラリア競馬の新たな歴史を刻む「ジ・オールスターマイル」のファン投票システム

  • 2019年02月14日(木) 18時00分
ビクトリア競馬便り

▲中間発表で最も多い得票数を獲得したジオータムサンの調教師クリス・ウォーラー師(写真:Racingfotos Ltd)


(2月14日号 文=ポール・シムズ)

競馬ファンのみならず楽しめるイベントに注目が集まる


 3月16日(土)にフレミントン競馬場で創設される世界一リッチなマイル戦、ジ・オールスターマイルのファン投票の締め切りがあと6日に迫っている。現時点で10万票を超える得票数が集められているというから、オーストラリア競馬ファンの注目度の高さがうかがえる。

 今週月曜日の午後、10万票目が投票されたのはゴドルフィンのアリゼ(牝4)という馬で、オーナーサイドも、アリゼの次走をジ・オールスターマイルに置いて調整を進めている。

 13日午後7時(メルボルン時間)の中間発表で最も多い8500を超える得票数を獲得しているのが、ウィンクスの調教師で知られるクリス・ウォーラー師が管理し、これまでG1・2勝をあげているジオータムサン(牡3)。続いて、8100票で第2位につけているのが、クイーンズランド州を拠点とするアーバンルーラー(セン5)。なんとシンジケートの数が800口というのだから、これだけ票が集まるのも納得できる。

 次に5500票で3位となっているのがミック・プライス厩舎のグラント(牡4)である。フレミントンで行われた1600mのG1で、2戦2勝と相性が良いことが人気の理由のようだ。

 ファン投票はオーストラリア国内からのみ受け付けており、投票期間は2月18日(月)午後0時まで。2月15日(金)午後0時からは、「ブラックアウト期間」といって、投票結果が閲覧不可になるため、2月21日(木)にヴィクトリア州の競馬統括団体「レーシング・ヴィクトリア」が、得票数上位10頭の最終結果を発表するまでのお楽しみとでも言っておこう。3月4日(月)には、ワイルドカードとしてファン投票以外の4頭が発表される。

 レーシング・ヴィクトリアのレーシング・エグゼクティブ・ゼネラルマネージャーを務めるグレッグ・カーペンター氏は、オーストラリア競馬史上初となるファン投票システムにもかかわらず多くの得票数が集まっていることに驚きを隠せない。「ジ・オールスターマイルに対するファンの皆様の関心の大きさに非常に驚いています。競馬のみならず、オーストラリアのスポーツファンからも楽しめるイベントになっていると思います」

 マイル戦としては世界最高総賞金の500万豪ドル、優勝賞金は225万豪ドルという豪華なジ・オールスターマイルは、有馬記念を範にとってファン投票システムを導入した。

 投票を行うと自動的に「オーナーアンバサダー」の資格が与えられる。これは、ジ・オールスターマイルの出走馬に投票した人の中から抽選で10名の方に、最高25万豪ドルが当たるボーナスチャンスで、ファンにとっては絶対見逃せない機会なのだ。

 ジ・オールスターマイルの開催地は、メルボルンにある3つの主要競馬場で持ち回りで行われるという、こちらもオーストラリア競馬史上初めての試みもあり、来年はコーフィールド競馬場、2021年はムーニーヴァレイ競馬場で行われる予定だ。

 さらに、レース登録料の500豪ドルは、「オールスターマイル・チャリティ」として、メルボルン最大の小児医療センター「ザ・ロイヤル・チルドレンズ・ホスピタル」に全額寄付されることになり、病気や怪我と闘う子供たちの医療ケアの支援のために活用される。ジ・オールスターマイルにノミネートしたのは130頭で、チャリティの総額は65,000豪ドルに達した。

1864年に創設された、オーストラリアのビクトリア州における競馬主催団体。メルボルンCなどの大競走が行われるフレミントン競馬場をはじめとした、ビクトリア州各地の競馬場で開催される競馬の運営・統括をしている。近年では日本調教馬の移籍も多数実現しており、日豪の関係に重要な役割を担っている。

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