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文章を書くことは「副業」と言っていられない

  • 2019年02月16日(土) 12時00分

とある方からご提案をいただいたのが…


 先週土曜日(9日)、東京競馬が雪で中止になったため、「ウイニング競馬」の出番がなくなった私。自宅で番組を見ることもできたのですが、結局、国会図書館へ行って、昔の競馬についての調べ事をして過ごしました。つまりは、突然与えられたオフの時間も、物書きのために有効活用させてもらったわけです。

 改めて言うまでもありませんが、私の主な仕事は喋ること(スポーツの実況)です。馬事文化賞を受賞した後も、あちこちで「今回は副業(書く仕事)で(賞)をいただきました」とお話ししてきました。

 でも、よくよく考えると、もはや「副業」とは言えないくらいに文章を書くことが大きな仕事になっているような気がします。このコラムの連載も長くなりましたよね(バックナンバーを見ると、2008年5月31日に始まっているので、もう10年以上!)。

 そのほか、週刊競馬ブックの「一筆啓上」やその他の記事執筆も続けさせていただいていますし、単発での原稿依頼もたびたび頂戴しています。どれもたいへんありがたいお話なので、謹んで承っている次第です。もうこれは「副業」とは言っていられないかと…。

 今、とある方からご提案いただいているのは、私が競馬に関心を持つようになった1975(昭和50)年頃から、平成になって10年くらい経った2000年頃くらいまでの競馬場や馬券にまつわる話を書いてみたら、ということ。“競馬あるある”ではなく、“競馬あったあった”の話です。

 例えば、その昔は馬券を1券面あたり200円、500円、1000円という定額でしか購入できなかった、とか、ばんえい競馬にはガリ版刷り(わかりますか?)の競馬新聞があったとか。その時代に競馬を楽しんでいた方なら別にどうということではないのですが、競馬ファンになってまだ数年という方にとっては「へぇ〜」という話になるはず。ご提案いただいている方からは、そんなふうに言われています。

 確かにそれは、競馬の歴史を後世に伝えることにつながるかもしれません。名馬物語や名調教師、名騎手の列伝などは多く出版されていますが、“あったあった”話を記した本って、ほとんどないでしょう?

 あっ、だからと言って、それでまた「馬事文化賞」を狙っているわけじゃありませんよ。そうそう、こんなネタばらしをしちゃうと、誰かがそれをまとめて本にしちゃうかも。それはそれでいいですけどね。

 さてさて、今週のフェブラリーS。藤田菜七子騎手のG1初騎乗が注目を集めています。もうすでに海外には、G1を制した女性騎手が何人もいるので、そういう意味では日本はまだまだ“後進国”。やっと“先進国”に近づく第1歩が記されるわけです。大事なのは、この流れを止めないこと。近い将来、女性騎手が当たり前のようにG1に騎乗する日が来ることを祈りながら、今回のレースを見つめたいと思います。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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