未知の魅力のスウェプトオーヴァーボードの血/フェブラリーS
オメガパフュームもまた「総じて…」が通用しない
代を経てハービンジャーや、シーザスターズの出現に広がったダンチヒの父系と同じように、ミスタープロスペクター系の「フォーティナイナー…エンドスウィープ…」のラインは、距離やコース適性(芝、ダート)の幅を広げつつ大きく発展している。
日本での代表的な種牡馬はアドマイヤムーン、サウスヴィグラス。そして最初は典型的なスプリント系と予測されていた芦毛のスウェプトオーヴァーボード(父エンドスウィープ。17年に20歳で死亡)だった。初期の産駒パドトロワは、直線1000mのアイビスサマーダッシュなどを勝った。スプリンターズSを2連覇したレッドファルクス。また,ラインスピリットもスピード系と予測された通りの父の代表産駒である。
ところが、丹頂Sなど2600mで3勝し、ステイヤーズS3600mまで勝ったリッジマンもスウェプトオーヴァーボード産駒だった。産駒が最短距離1000mと、最長距離3600mの重賞を制した種牡馬はきわめて特異である。日本産のフロレンティノは米の芝9FのGIIジェファーソンCを勝った。
期待するオメガパフュームは、東京大賞典(大井のダート2000m)を勝っている。フォーティナイナー系らしく、この種牡馬には「総じて…」が通用しなかったのである。実際、ダート1800mの新馬をM.デムーロで快勝したオメガパフュームは人気の中心でもなかった。スウェプトオーヴァーボードだけに…。
東京大賞典をゴールドドリーム相手に2分05秒9で勝ったので馬力型のように思われるが、芝向きとも思える450キロ前後の細身の身体つき。もともとの父系の最大の長所(スピード)を受け、時計勝負の軽快なダート巧者の可能性が大きい。父は2002年の米GIメトロポリタンHを、初のダート8Fだったのに1分33秒台前半のレコードで抜け出し圧勝している。
オメガパフュームはまだ9戦【5-2-1-1】の4歳馬。左回り、経験の少ない1600m、小柄な馬体に定量57キロなどの死角はあるが、時計勝負の東京ダート1600mこそ最適の可能性を秘めている。3戦目で挑戦した東京ダート1600mの青竜Sは内にささりながらも上がり35秒7で猛然と伸びていた。
母の父ゴールドアリュール(17年、残念なことに18歳で死亡)は、今回対戦するゴールドドリーム、サンライズノヴァの父であるが、ゴールドアリュールはオメガパフュームの前に3歳で東京大賞典を制した史上ただ1頭のJRA所属馬だった。そして4歳春のフェブラリーSを勝っている。
もまれたくないキャリアの浅い4歳馬に、大外14番枠は好運。鞍上はこのGI【2-1-1-1】。気合の入るレースにしている。