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カタールのG2に挑むユウチェンジとそのライバルたち

  • 2019年02月20日(水) 12時00分
 ユウチェンジ(牡6、父スウィフトカレント)が出走するカタールのローカルG2アイリッシュ・サラブレッド・マーケティングC(芝1600m)の発走が、22日(金曜日)の現地時間19時15分(日本時間23日午前1時15分)に迫っている。

 レースは15頭立てとなり、阿部龍騎手が乗るユウチェンジは大外15番枠からのスタートとなる。

 舞台となるアルライヤン競馬場の芝コースは、1周1マイルの右回りコース。1600m戦は第1コーナー奥のシュートがスタート地点となり、2コーナーで周回コースに合流して、向こう正面の直線に入る。最後の直線は、300m余りだ。ちなみに昨年のこのレースの勝ち時計は、1分36秒58だった。

 出走予定馬の中で、110という最上位のレイティングを保持するのが、4着だった17年、3着だった18年に続き、このレース3年連続での出走となる仏国調教馬ディプロマット(牡8、父テオフィロ)である。

 ディプロマットは、ドイツの名門ロットゲン牧場の生産馬。母ディアケイドがG2独1000ギニー(芝1600m)勝ち馬で、いとこにG1独ダービー(芝2400m)2着馬ディッケンズがいる牝系を背景に持つ。

 ドイツのマリオ・ホファー厩舎から2歳秋にデビューした同馬はこれまで、自国はもちろんのこと、フランス、イタリア、スウェーデン、トルコ、そしてカタールで出走経験があるという、グローブ・トロターである。4歳秋にから重賞戦線に顔を出すようになり、G3州都デユッセルドルフ大賞(芝1700m)2着、G2エッティンゲンレネン(芝1600m)3着など重賞入着を重ねた後、5歳5月にイタリアのカパネッレ競馬場で行われたG2共和国大統領賞(芝1800m)を制し待望の重賞初制覇を果たした。

 その後、2度目の重賞制覇にはなかなか届かなかったものの、重賞入着を重ねた後、18年のシーズン半ばにマリオ・ホファー厩舎からジャン・ピエール・カルヴァロ厩舎に転厩。移籍後2戦目となったケルンのG2マイレントロフィー(芝1600m)を制し、7歳にして2度目の重賞制覇を飾った。

 8歳を迎えた今季、同馬はフランスのカリーナ・フェイ厩舎に転厩。ここはフランス調教馬としての参戦となっている。

 この他、同じフランスから、昨年12月にドーヴィルで行われたLRリュティエ賞(AW1500m)の勝ち馬で、P・C・ブドーが手綱をとるマリアナフット(牡4、父フットステップスインザサンド)。イギリスから、17年のG3シュプリームS(芝7F)2着、18年のLRポムフレットS(芝8F6y)2着などの実績があるサラティーン(牡7、父ダッチアート、ジェームス・ドイル騎乗)らが参戦している。

 これらを迎え撃つ地元勢では、11月21日のアルホールCが3着、1月23日の条件戦(d1800m)が2着の後、2月7日のアルワジバCを前年に続いて連覇しての参戦となるトプシーターヴィー(セン7、父ピヴォタル、エデユワルド・ペドロザ騎乗)。昨年11月のローカルG3バーザンC(芝1600m)2着馬で、2月2日のサラブレッドCトライアル(芝1400m)は5着だったブラックグラニト(セン7、父ダークエンジェル、オイシン・マーフィー騎乗)らが、上位のレイティングを保持している。

 ユウチェンジは、2月8日(金曜日)から美浦トレセンで出国検疫に入り、16日(土曜日)朝に成田から出国。香港経由でカタール入りしている。

 帯同馬がおらず単独での輸送となったこと、香港でのトランジットが7時間余りに及んだことなど、なかなかに高いハードルを乗り越えての現地入りとなっているが、思い起こせば3年前、イギリスの単勝オッズで26倍という低評価を覆し、初ダートだったG2UAEダービー(d1900m)で勝ち馬ラニから3/4馬身+首差の3着に入ったのがユウチェンジである。

 アウェイでの戦いに強いことは実証済みだけに、ここも世界が驚く激走を見せて欲しいものだ。鞍上に指名されたホッカイドウ競馬の阿部龍騎手の手綱さばきともども、そのレースぶりに注目したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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