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第3回ホースメッセ レポート(3)道東ホースタウンプロジェクト「馬と暮らせる町」を目指して

  • 2019年02月19日(火) 18時00分
第二のストーリー

▲スタートして間もない道東ホースタウンプロジェクトとは? (画像はスライドショーより)


北の大地で新しい取り組みが始まった


 認定NPO法人引退馬協会の沼田恭子代表は、千葉県香取市にある乗馬倶楽部イグレットも運営している。イグレットでは、練習馬として働いてきた馬を最期まで倶楽部で面倒を見るという形を取ってきた。前回も書いたように乗馬の仕事をリタイアした馬の運動や世話をするのは、スタッフにとっても負担となるし、理解が得られないと難しい。それもあって最近は養老牧場に預託して最終ステージを過ごさせるという試みを始めている。

「養老牧場で伸び伸びと生活している姿を見ると、最終ステージというのは馬にとっては大切なのだなと考えるようになりました」(沼田代表)

 ただ長年過ごしてきた場所から新天地への移動は、馬にとっても不安がある。それを考慮して、引っ越しの際にはスタッフが一緒について行って大丈夫だと安心させるようにしているという。

「そのような配慮をすれば、馬たちにとって最終ステージは素晴らしいものになるのではないかと思いますね」(沼田代表)

 30歳前後まで生きる馬も珍しくなく、練習馬を引退してから天寿を全うするまでは5年から10年ほどの期間があると言っていいだろう。ならばなおのこと、最終ステージは穏やかで伸び伸びとした場所で過ごすのが望ましいのではないだろうか。

 乗馬クラブの会員さんの中には、自馬をお持ちの方もいれば、クラブ所有の馬で練習される方もいる。クラブ所有の馬、いわゆる練習馬たちがその役目を終えた時、最終ステージまでは進める馬は少なく、ほとんどが畜産業者に渡り、処分の道を辿る。中には練習馬の役目を終えたその馬を、会員さんが引き取って養老牧場に預けているケースもあるが、それもまだ一部だ。余生を過ごさせてやりたいという気持ちがあっても、壁となるのが預託料をはじめとする費用だ。最初は何とかなったとしても、人間が病気をするかもしれないし、人生何があるかわからない。馬を繋養するのにかかる費用を長年継続していくのは、なかなか容易ではない。

 そんな中、道東ホースタウンプロジェクトという、とても興味深いプロジェクトが北海道標茶町でスタートした。預託には

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北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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