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英国セリで2億2000万円の値がついたFrankel産駒ファイナルドリーム

  • 2019年02月20日(水) 12時00分
●アクトオネストリー(牝 美浦・武井亮 父ジャスタウェイ、母オネストリーダーリン)

 フローラS(GII)2着、フラワーC(GIII)3着などの成績を残したディアマイダーリン(父ハーツクライ)の4分の3妹。母オネストリーダーリンはニキーヤ(ダート界の名種牡馬ゴールドアリュールの母)の半妹にあたる。ニキーヤもオネストリーダーリンも追分ファームを代表する基礎牝馬で、この2頭の直系子孫はすべて追分ファームで誕生しており、マイルCS(GI)を勝ったペルシアンナイトも含まれる。

 ジャスタウェイ産駒は現時点でオープンクラスに在籍している6頭中4頭が重賞連対馬の弟または妹。質の高い繁殖牝馬を交配すれば素直に結果を出す傾向が見られる種牡馬なので、フローラS(GII)2着馬の4分の3妹の本馬は期待できる。芝向きの中距離タイプ。

●エグジラレーション(牝 美浦・加藤征弘 父ディープインパクト、母ヒントオブスプリング)

 2代母Cherokee Roseはダンシングブレーヴの代表産駒の1頭で、現役時代にスプリントC(英G1・芝6f)、モーリスドゲスト賞(仏G1・芝1300m)などを勝った名スプリンターだった。これにSeeking the Goldを掛けて誕生したのが母ヒントオブスプリング。初子のTulips(父Pivotal)はパレロワイヤル賞(仏G3・芝1400m)2着という成績がある。

 日本で誕生した3頭はすべて勝ち上がっており、チェリーミルズ(父Invincible Spirit)とアリュージョン(父アドマイヤムーン)は2勝を挙げている。母の繁殖牝馬としての能力は高い。父ディープインパクトはダンシングブレーヴと相性が良く、コマンダーインチーフを経たものを除くと連対率32.9%、1走あたりの獲得賞金482万円。これはディープインパクト産駒全体の24.1%、326万円を大きく上回る。芝向きのマイラーだろう。

●ゴッドポッシブル(牡 栗東・角田晃一 父ルーラーシップ、母オメガカリビアン)

 兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)で2着となったほか、ホッカイドウ競馬で王冠賞、北斗盃、赤レンガ記念など多くの重賞を勝ったオヤコダカ(父サムライハート)の半弟。

 母オメガカリビアンは不出走だが、2代母ゴッドインチーフはチューリップ賞(GIII)とファンタジーS(GIII)で2着、阪神3歳牝馬S(GI)で3着と健闘した活躍馬。近親にはオークス馬ヌーヴォレコルトがいる。

 ブルードメアサイアーとして定評のあるフレンチデピュティを母の父に持ち、その父Deputy Ministerはルーラーシップと相性良好。母は「フレンチデピュティ×コマンダーインチーフ×チーフズクラウン」という配合なのでパワー色が強く、ダート向きに出る可能性がある。芝でもダートでも中距離ベストで、先に行って粘り強いタイプだろう。

●ファイナルドリーム(牝 栗東・池江泰寿 父Frankel、母Steel Princess)

 2017年に英タタソールズオクトーバーイヤリングセールで140万ギニー(約2億2000万円)の高値で落札された。半姉Sarah Lynx(父Montjeu)は現役時代にカナディアン国際S(加G1・芝12f)、ポモーヌ賞(仏G2・芝2500m)を制し、2011年のジャパンC(GI)に出走した際は13番人気で12着と敗れた。半兄Sugar Boy(父Authorized)はサンダウンクラシックトライアル(英G3・芝10f)の勝ち馬。

 母Steel Princessは現役時代にクレオパトル賞(仏G3・芝2100m)を勝っている。本馬の父Frankelは大種牡馬Galileoの最高傑作で、現役時代はイギリスのマイル路線を中心に走って14戦全勝(G1は10勝)の成績を残した。

 ヨーロッパではCracksman(17、18年英チャンピオンS-G1、18年コロネーションC-英G1、18年ガネー賞-仏G1)、Without Parole(18年セントジェームズパレスS-英G1)、Call the Wind(18年カドラン賞-仏G1)などを出し、日本でもソウルスターリング(17年オークス-GI、16年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)、モズアスコット(18年安田記念-GI)、ミスエルテ(16年ファンタジーS-GIII)が重賞を勝った。

 本馬はデインヒル3×2という大胆なインブリードを持っている。ヨーロッパではFrankel産駒のデインヒルクロス馬はさほど珍しくはないものの、3×2はめったにない。吉と出るかどうか注目したい。ちなみに、サラブレッドの歴史上、まったく同じ位置に3×2のインブリードを持つ馬は、英三冠馬Flying Fox(Teddyの2代父)、凱旋門賞を連覇したKsar(Tourbillonの父)などがいる。

●フラッグインハート(牡 栗東・高野友和 父クロフネ、母オーシャンビーナス)

 母オーシャンビーナスは芝中距離で2勝を挙げた。本馬とひとつ違いの初子ヒミングレーヴァ(父ロードカナロア)はJRAで5戦して未勝利。クラフティワイフ牝系はカンパニー(09年天皇賞・秋-GI、09年マイルCS-GI)、トーセンジョーダン(11年天皇賞・秋-GI)など多くの活躍馬が出ている名門。

 母方にサンデーサイレンス、トニービン、ノーザンテーストを併せ持つクロフネ産駒にはオリオンザジャパン(16年七夕賞-GIII・3着)がいる。母の父リンカーンは阪神大賞典(GII)など3つの重賞を勝ったステイヤー。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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