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内の中穴を徹底的に狙うべし!/弥生賞

  • 2019年02月24日(日) 18時00分

■弥生賞(G2・中山芝2000m)


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口



 詳しくは後述するが、人気馬が非常に強い弥生賞。2番人気以内馬がトータル[8-3-2-7]で連対率55.0%、複勝率65.0%をマークしている、かなり順当決着傾向の強いレースである。皐月賞の最重要トライアルであり出走馬のレベルが高いことや、出走頭数が少ないケースが多いのもあって、結果が大きく紛れるケースは皆無。この傾向は、今後も続いていくことだろう。

 今回「特注」として紹介するのは、弥生賞3番人気以下馬に限定した馬番別での成績。フルゲート18頭のレースだが、過去10年の出走頭数が最大でも15頭なので、やや特殊なカタチになるが5頭ずつで内・中・外と分けて集計している。データをご覧の通り、内枠である馬番1〜5番が、トータル[1-5-8-30]で複勝率31.8%、複勝回収値140という圧倒的な強さを見せている。

 それとは対照的に、中枠である馬番6〜10番や外枠である馬番11〜15番の信頼度はかなり低め。上位人気馬は単純に強いので枠番を問わず好走するが、それ以外は内枠に入った馬を重視したほうが絶対にいい。極論すれば、2番人気以内馬と「内枠の中穴」を狙っているだけで、馬券を簡単に的中できてしまうレースなのだ。

 それ以外では、前走朝日杯フューチュリティS組など「芝1600mからの距離延長組」が好成績であることや、勝ち馬のほとんどが前走でも1着であることなども、このレースの大きな特徴。たとえ出走頭数が10頭以下になったとしても、それでも内枠を重視すべきレースであるのを、くれぐれも忘れないようにしたい。

【コース総論】中山芝2000m Aコース使用

・コースの要所!

★1番人気が素晴らしい内容。それ以外では7〜9番人気の激走率も高く要注意。
★中山の芝だが枠番による成績差が小さくフラット。外枠でも狙えるコース。
★差しも決まるが優勢であるのは先行勢。逃げた馬の信頼度もけっこう高い。




 正面スタンド前の4コーナー寄り地点からスタートする、中山芝2000m。最初のコーナー進入まで十分な距離があるので、序盤のポジション争いが激化することは少ない。また、スタート直後に急坂があるというのも、序盤のペースが落ち着きやすい理由のひとつ。最後の直線が短いので、コーナーで加速する器用さも相応に求められるコースである。

 人気別成績では、1番人気の強さが目立っている。16頭立て以上に限定したデータでも、勝率33.9%、連対率53.2%、複勝率67.9%と高信頼度で、回収率ベースの数値もかなり優秀。1番人気ほどではないが、2番人気や3番人気の内容もなかなかのものだ。人気薄では、単勝適正回収値の高い7〜9番人気や、3着率の高い10〜12番人気が要チェックである。

 次に枠番だが、意外にフラットなのが中山芝の中距離。コース形態も影響しているのだと思うが、内容自体は外枠のほうがいいくらいで、コースデータからは「枠番の内外による成績差を気にする必要なし」と結論付けられる。とはいえ、このあたりはその時期の馬場バイアスによる──というのが実際のところ。基本的には枠番を問わないコースである、と捉えておけばいい。

 最後に脚質だが、最後の直線が短い中山芝コースらしく、先行勢優勢との結論となった。先行勢は1着数、2着数ともに中団待機組の2倍以上で、中団から伸びるも届かず3着──という結果がけっこう多い。最速上がり馬は好成績だが、それでも後方に置かれてしまうと厳しいだろう。ある程度は前のポジションを取れる馬でないと、安定して力を発揮するのは難しいコースといえる。

【レース総論】弥生賞(G2) 過去10年

・レースの要所!

★1〜2番人気馬が猛烈に強い。人気薄はあくまでヒモとして狙うべきレース。
★少頭数の影響もあるが内枠のほうがベター。コースデータ以上に前が強い。
★芝1600mからの距離延長組は半数以上が馬券に絡む大活躍。今年も要注意。
★昇級での出走は総じて期待薄。鞍上の乗り替わりは気にせずともオッケイ。







 レースの平均配当は、単勝702円、馬連7363円、3連複1万1579円。過去10年の平均出走頭数が12.1頭であることや、1番人気の信頼度が[6-1-0-3]ときわめて高いのを考えると、意外なほどに高い水準である。つまり、ファンのイメージ以上に、2着や3着に人気薄が食い込むケースが多いということ。ふたケタ人気の超穴馬となるとさすがに厳しいが、中穴はけっこう侮れないレースなのである。

 枠番データでは外に入った馬の活躍が目立つ──が、昨年のダノンプレミアム、一昨年のカデナ、2016年のマカヒキとリオンディーズなど、上位に食い込んだ馬のほとんどが2番人気以内。つまり、枠番ではなく「能力」で好走しているのだ。実際に内容がいいのは間違いなく内枠で、それを裏付けているのがプラス0.7というギャップ値の高さ。冒頭の「特注データ」でも述べたように、内枠重視の姿勢をオススメする。

 脚質はコースデータ以上に先行勢優勢。出走頭数が少ないのでこういう結果になりやすい面があるとはいえ、単純に前後で比較したとしても明らかに前のほうが強い。枠番データがコースデータよりも格段に内有利となっているのと同様に、開幕から2週目という良好な馬場コンディションが大きく影響しているのだろう。

 前走距離別では、芝1600mからの距離延長組が好成績。これは、朝日杯フューチュリティS組が強い──というのが正しい表現となるかもしれない。注目したいのが、朝日杯フューチュリティSが阪神での開催になって以降、このローテで出走した馬の強さが加速している点で、なんと[1-2-2-1]で複勝率83.3%をマーク。現時点では確認できていないが、もしこの条件に該当する馬が出走してきたら期待大だ。

 そして前走クラス別成績では、このレースで勝ち負けする上で「前走でもオープンのレースに出走していること」が重要であるのがわかる。500万下や新馬&未勝利勝ちから出走してくる馬もいるが、トータル[1-3-1-44]で連対率8.2%、複勝率10.2%と、その信頼度は低空飛行。昨年は5頭が出走してオール5着以下と、クラスの壁を感じる結果となった。回収値ベースの数値も低く、かなり割り引いて考えたほうがいい。

 最後に騎手関連データだが、鞍上の乗り替わりは意外とマイナスにはならず、5番人気以内馬については継続騎乗組よりも信頼度が高いほど。とくに、関西所属騎手に乗り替わったケースでは、単勝適正回収値151.8という優秀な結果が出ている。鞍上が継続騎乗する馬でも関西所属騎手が好成績だが、それ以上に素晴らしいのが「外国人騎手×継続騎乗」のケース。いかにも好走が期待できそうなパターンである。

【血統総論】


 種牡馬別では、ディープインパクト産駒だけをプラスに評価。勝率、連対率、複勝率のいずれも頭ひとつ抜けている印象で、回収値ベースの数値も意外に悪くない。それに次ぐのがハーツクライ産駒やルーラーシップ産駒あたりだが、出走頭数が少なくなりそうなレースで、あまり多くの種牡馬をプラス評価の対象にはできない。血統面は、ディープインパクト産駒を少しだけプラスに評価するという程度が適切かと思われる。

★弥生賞・総論×各論

 皐月賞へ向けての重要トライアルである弥生賞──ではあるのだが、近年は牡馬クラシック路線を歩む馬の「ダービー偏重」傾向がどんどん強まっており、昨年と同様に今年もかなりの少頭数となりそう。特別登録が出る前の段階で出走の意向が把握できているのは、地方馬のナイママまで含めても9頭にとどまった。

 また、枠番が超重要なレースであるのは前述した通り。ある意味、人気と枠番だけで的中できてしまうレースだけに、この両方がわからない段階での評価となると、判断材料に事欠くこときわまりない。あとは、全体的に小粒なメンバーとなりそうだというのも、悩まされる理由のひとつ。正直なところ、どの馬も一長一短なのである。

 ひとしきりボヤいたので「各論」に入ろう。現時点でのトップ評価はラストドラフトで、こちらはルメール騎手が継続騎乗する見込みだ。今回と同じ中山芝2000mで、すでに重賞を勝っているというのは大きな強み。桜花賞馬マルセリーナの仔らしく、この父の産駒にしてはいいキレ味があるのも魅力的だ。京成杯を勝った後は在厩調整で、中間の稽古で見せている動きは上々。ここでもいいレースを見せてくれそうである。

 二番手評価にサトノラディウス。前走が500万下の梅花賞というのが大きな割引材料ではあるのだが、そこを大接戦で制した勝負強さやディープインパクト産駒という血統面、武豊騎手が継続騎乗予定であること、前走上がりの優秀さなど、それを補ってあまりあるプラス評価の多さだ。2走前の葉牡丹賞で中山芝2000mを経験しており、そこで時計面での裏付けを得ているのもプラスである。

 三番手評価に、実績最上位であるニシノデイジー。札幌2歳Sと東京スポーツ杯2歳Sを制しており、前走のG1ホープフルSでも3着に好走と、能力の高さは折り紙付きだ。大きな追い風となるのが弥生賞における人気馬の強さで、ここで2番人気以内に推される可能性はかなり高いはず。ちょっと不器用な面があるので2〜3着に取りこぼすケースもありそうだが、この相手関係で崩れるケースは考えづらい。

 以下はメイショウテンゲン、ブレイキングドーンという序列だが、当日の人気や枠番によって、評価はここから大きく上下する。やはり注目は、冒頭の特注データで取りあげた「内枠に入った中穴」という条件に、どの馬が該当するか。手広く勝負はできないレースとなりそうなだけに、ここの取捨が勝負を分けるといっても過言でない。


■総論×各論・先々週の馬券回顧




フツーに人気馬かーい!(#^ω^)ビキビキ

1着が1番人気の06インティ、2着が2番人気の03ゴールドドリームという堅い決着になってしまい、勝負馬券はご覧の通りに大ハズレ。せめてもの救いは、上位に評価した02ユラノトが8番人気で3着に好走してくれたことデスネ。個人的にはG1らしく、イチかバチかの勝負をかける馬がいて欲しかったところですが……あの並びになっちゃうと難しいか。アカン、またコラム赤字が増えてきた(胃痛)。

※コース&血統データは2015年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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