スマートフォン版へ

ビスカリア、混戦の中で真価を問われる戦い/エンプレス杯

  • 2019年02月26日(火) 18時00分

実力拮抗の好メンバーで大混戦必至


 1月のTCK女王盃は3連単99万7380円という高配当になり、大波乱のレースで幕を開けた2019年の牝馬ダートグレード競走。2月27日(水)川崎競馬場で行われる『第65回エンプレス杯』は果たしてどんな結果になるのか?実力拮抗の好メンバーが揃って混戦必至。楽しみな戦いになりそうです。

 ビスカリアはTCK女王盃を6番人気で制し、波乱を演出した1頭。後方からの競馬が多かった印象ですが、前走では好位から抜け出し5馬身差の圧勝。インが伸びる馬場で鞍上の好騎乗が光りましたが、7歳にして重賞初制覇。初の川崎コースがカギとなりますが、ここまで挙げた5勝のうち左回りで4勝(中京2勝、新潟2勝)しており、むしろ前走より走りやすい可能性が。

 父ヴァーミリアンは同じ川崎の2100mを舞台にした川崎記念を2勝(2007年、2010年)しているのも好材料。引き続き船橋・森泰斗騎手とのコンビで臨むのも心強く、前走が決してフロックではない走りを見せて欲しいと思います。

前走5馬身差の圧勝で初重賞制覇と勢いに乗るビスカリア(写真は19年TCK女王盃優勝時、撮影:高橋正和)


 昨年のTCK女王盃を制したミッシングリンク。続くエンプレス杯では2番人気に推されるもアンジュデジールの6着に敗退。前走8月の柳都S(新潟・1600万下・1800m)で約7か月ぶりの勝利を挙げ、ビスカリア(3着)に先着。その後6か月半の休み明けの状態が気になるところではありますが、力上位の1頭。昨年以上の走りに期待です。

前走で7ヶ月ぶりの勝利を挙げ重賞2勝目を狙うミッシングリンク(写真は18年柳都S優勝時、撮影:下野雄規)


 プリンシアコメータは昨年のエンプレス杯で2着。その後、牝馬のダートグレード競走ではブリーダーズゴールドC2着、レディスプレリュード1着と好成績でしたが、JBCレディスクラシックとクイーン賞では本来の走りができず連続10着。

 とはいえ前走・クイーン賞は不良馬場に加えて馬体重プラス18kgで敗因ははっきり。2100mは東京コースでの成績も加え5戦して【1-2-0-2】連対率60%。改めての舞台で巻き返し、ダートグレード競走3勝目を目指します。

近2走が消化不良のプリンシアコメータは巻き返しを狙う(写真は18年レディスプレリュード優勝時、撮影:高橋正和)


 サルサディオーネはデビュー以来4勝すべて左回り(中京2勝、東京1勝、新潟1勝)。さらにダートグレード競走でも左回りに限れば、2017年レパードS2着、昨年のエンプレス杯3着、クイーン賞2着と上位争い。前走・川崎記念(7着)は牡馬の一線級相手でさすがに厳しい戦いでしたが、牝馬同士ならこちらも上位を狙える存在。

得意の左回りで牝馬限定戦なら上位進出も狙えるサルサディオーネ(写真は19年川崎記念出走時、撮影:高橋正和)


 キンショーユキヒメは昨年の福島牝馬Sを制した芝の重賞ウイナー。ダートは2017年のJBCレディスクラシック(12着)以来2戦目。ダート実績は乏しいもののパワーある大型牝馬で軽視は禁物。レース当日を以って定年・引退を迎える中村均調教師のラストランに花を添えることができるでしょうか。

レース当日を以って引退する中村均調教師に花を添えたいキンショーユキヒメ(写真は18年福島牝馬S優勝時、撮影:小金井邦祥)


 JRA勢5頭に対する地方勢は4歳馬2頭に注目。

 昨年のロジータ記念を制した船橋のクロスウィンド。ホッカイドウ競馬出身で、2歳時にはブロッサムC、昨年は牡馬相手に王冠賞を制覇。ビスカリアと同じヴァーミリアン産駒。ロジータ記念を制した同じ舞台で改めて注目したい1頭。

前走は大敗も同舞台のロジータ記念を快勝しているクロスウィンドに注目(写真は18年ロジータ記念優勝時、撮影:高橋正和)


 そのロジータ記念で逃げてクロスウィンドの2着だった大井のクレイジーアクセル。昨年6月の関東オークスでも逃げて3着、前走・TCK女王盃でも逃げて5着とJRA勢相手でも結果を残している快速馬。今回もレースを引っ張りどこまで粘れるか、目が離せません。

中央馬相手でも見せ場十分のクレイジーアクセルからも目が離せない(写真は18年関東オークス出走時、撮影:高橋正和)


 さらに昨年のレディスプレリュードでプリンシアコメータの2着だった大井のブランシェクール、同レースで3着だったホッカイドウ競馬のアルティマウェポンも参戦。どちらも流れ次第で差し届く可能性があり、面白い存在。

レディスプレリュードで惜しくも2着に敗れたブランシェクールは雪辱を晴らせるか(写真は18年レディスプレリュード出走時、撮影:高橋正和)


鋭い差し脚が武器のアルティマウェポンにも注目(写真は18年クイーン賞出走時、撮影:高橋正和)


 実力とスタミナが要求される川崎の2100m戦。現時点での絶対的な存在は不在。7歳で開花したビスカリアの真価が問われる一戦ですが、ここをきっかけに飛躍したい面々が揃って一筋縄ではいかない大混戦。今年の女王の座を目指す、その行方を見据える大切な戦いです。

※次回の更新は3月12日(火)18時。翌日に船橋競馬場で行われる「ダイオライト記念」のコラムをお届けします。

エンプレス杯の出馬表はこちら→→→
場外発売所一覧はこちら→→→
川崎競馬のホームページはこちら→→→
地方競馬情報サイトはこちら→→→

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング