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今週も東西でGIに向けた前哨戦!!気になる有力馬の追い切りをチェック!

  • 2019年02月27日(水) 18時00分

有力馬の仕上がりは良好


 先週は本命を打ったラッキーライラックとレッツゴードンキはともに2着。先週の当コラムでも書いたように、ラッキーライラックの本命は1週前追い切りを見た時点から決めていました。ですが、松永幹夫調教師から最終追い切りが「栗東坂路」と教えてもらった瞬間は「えっ」と思いました。なぜなら、デビュー以来はじめて、最終追いが坂路で行うから。

 ここで客観を重視するなら本命を打つべきでないという考えも出てきたわけですが、その動き(自己ベスト更新)を見ると、1週前追い切りで感じた主観的な印象は変わっていないと判断、本命を打つに至りました。一方、阪急杯は予想コラムにも記した「2F時計」を基準とする客観的なデータを重視して、予想を的中させることができました。

 今週は皐月賞、桜花賞へとつながるトライアルレース。各馬の状態を的確に判断することで、春のGIで結果を残していけるような評価をしなくてはいけませんね。そのためにも主観と客観という自分の大きな武器をうまく使い分けていきたいと思います。

【チューリップ賞/ダノンファンタジー】

 ファンタジーS、阪神JFは中6週、中4週というレース間隔での調整でしたが、いずれも1週前追い切りにCWで時計を出しており、それ以外は坂路で追い切るパターンでの仕上げ。そういった意味では、休み明けの今回も全く同じパターンで最終追い切りを迎えています。

 重賞2戦が最終追い切り場所坂路だったので、今回もそうなるのだろうと勝手に想像していましたが、実際にはCW。これは2歳未勝利を勝った時と同じですが、ローテーションがこの時に近いということもあるかも知れません。ただ、動き自体は当時と比較にならないくらいパワフル。川田将雅騎手が跨って、単走でした、4F48.5秒、1F12.2秒。目一杯ではなく、余裕を残した中での走りですから単純に3歳になってのパワーアップなのでしょう。ここは負けられないでしょう。

ダノンファンタジー

パワフルな動きを見せたダノンファンタジー


【オーシャンS/モズスーパーフレア】

 3歳秋からすべて3着以下という堅実派ですが、レースの勝ち時計が速ければ速いほど勝率が上がるようなタイプ。自分でレースをつくって、後続に脚を使わせるという、まさに地力勝負に持ち込むことが結果を残す近道なのでしょう。

 これまでも追い切りでの動きは素晴らしいタイプでしたが、この中間は更に動きが向上しています。2週前、1週前ともに坂路での4F目は11.9秒。もともと自己ベストが4F49.9秒、1F12.0秒ですから、終いのラップが驚くほど速くなったというわけではありません。ただ、前半をいつもより少し遅く走っても終いで鋭い脚を使えるようになった「緩急」を評価すべきではないかと思っています。最終追い切りは坂路4F50.7秒と速い全体時計にも拘らず、3F目と4F目が12.3秒の持続ラップ。これならテン3Fが33秒を切るようなラップで飛ばしたとしても、簡単には止まらないでしょうね。

モズスーパーフレア

更に動きが向上しているモズスーパーフレア(2月26日撮影)


【弥生賞/カントル】

 デビュー前から「日本ダービー」を意識させてくれる逸材だと信じて、連勝とはいきませんでしたが、4戦2勝でこの舞台を迎えたのであれば、特に問題はありません。全兄ワグネリアンとは管理厩舎が違いますが、栗東坂路とCWを併用するという、おおまかな調教内容は同じということもあり、大舞台へ向けての下地は整ってきたように思います。

 最終追い切りには荻野極騎手が跨って、ルペールノエルとの併せ馬。前半ゆっくりしたラップから、後半ペースが上がったところできっちりと前との差を詰めていき、最後はしっかりと内から交わして先着。あとはこれだけのメンバー相手にどんなレースをできるかといったところでしょう。

カントル

大舞台への下地は整ってきたカントル


【弥生賞/ブレイキングドーン】

 ホープフルSでは評価を下げました。その根拠として、最終追い切りの坂路での時計が遅いということ。その分、道中の位置取りが下がる想定でしたが、前半は思っていた通りでした。馬体重も6キロ増えていましたから、決して100%の調教内容でGIを迎えていたとは思っていません。ですから、その分の上昇余地がある今回です。

 まず、栗東へ帰厩してからの馬の様子がすごく良くなりました。普段の仕草に加えて、走っている時の道中の雰囲気もいい感じ。それが追い切りでの動きにも表れていると感じています。最終追い切りはイグナーツを追走する内容でしたが、迫力満点に追いついてくると、最後は一瞬で突き抜けます。そのあとは少しもたつくようなところがありましたが、今回気になるといえばそこだけ。時計は6F80.6〜5F65.5〜4F51.5〜3F38.3〜1F12.7秒と速く、この状態で結果が出なければ、というくらいです。

ブレイキングドーン

前走よりも良い状態のブレイキングドーン(写真奥)


【弥生賞/メイショウテンゲン】

 未勝利戦は気の悪さ全開で勝利。前走に関しては、前半スローのペースに泣くレースだったといってよいでしょう。個人的なイメージとしては、スピード勝負では分が悪くても、パワー勝負になれば重賞でもヒケをとらないという感じ。

 まさに最終追い切りはそんな感じで、CWでの併せ馬をいい感じで追いかけながらもゴール前では少し伸びあぐねるような感じ。時計的には12.4秒だったので、決して悪くありませんが、あの感じなら11秒台後半で併せた相手に先着していても不思議なかったと思います。これは調子うんぬんではなく、馬のキャラクターだと思います。それだけに、当日の馬場が渋るようなら、かなり面白い存在になるかも知れません。

メイショウテンゲン

パワータイプだと感じさせるメイショウテンゲン


◆次走要注意

・2/24 3歳新馬【ナリタムソウ】(2人気6着)

 道中の位置取りは決して悪くなかったと思いますが、あれだけ流れが遅いとCWでの動きの良さは発揮されないような気がします。今度は未勝利戦で消耗するような流れになって、きっと出番があると思います。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]最終追いラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・播磨S【シヴァージ】
 CWでの3頭併せ真ん中でしたが、レースで騎乗予定の福永祐一騎手が跨って、自然と動けていた感じ。ゴールに向かって加速していく、6F83.1〜5F67.8〜4F52.8〜3F38.1〜1F11.7秒の時計も高く評価したいところです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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