弥生賞の検討で重要なのはダービーまで見据えること
春の牡馬クラシック挑戦のスケジュールは変化し、近年は出走レースを絞る形が連続している。厳しいレースを続けると、大目標の日本ダービーまでに活力を失いかねないからだろう。最近10年のダービー馬の3歳春の日程は、以下の表の通りである。
最近10年のダービー馬は、13年キズナ以外の9頭まで皐月賞出走馬である。これは体系から当然であり、ほとんどの有力馬が最初は皐月賞を目ざす。
では、皐月賞のほかにダービー馬は3歳になってどんな競走に出走していたのか。近年の皐月賞馬4頭(エポカドーロ、ロゴタイプ、オルフェーヴル、アンライバルド)が出走していたスプリングSでも、同じく皐月賞馬4頭(ディーマジェスティ、ドゥラメンテ、イスラボニータ、ゴールドシップ)が出走していた共同通信杯でもなかった。
上の10頭の日本ダービーの成績が示すように、実は今週の「弥生賞」なのである。昨年の「ワグネリアン、マカヒキ、ワンアンドオンリー、キズナ、10年前のロジユニヴァース」までの5頭がこのレースに出走している。変則日程のキズナも弥生賞組だった。スプリングSに出走していたダービ馬はオルフェーヴル、ディープブリランテの2頭。共同通信杯に出走していたのもディープブリランテ(スプリングSにも出走)と、ドゥラメンテの2頭だけだった。
わずか最近10年のこと。データにもパターンにもならないが、桜花賞前のチューリップ賞と同じで、「皐月賞→日本ダービー」に連続して出走し、ダービー馬となるステップには、弥生賞2000mの位置が理想に近いからだろう。全体レベルも高いことが多い。ワンアンドオンリー、ワグネリアンは弥生賞も皐月賞も両方負けた。でも大目標だった頂点の日本ダービーを手にしている。
近年の弥生賞検討は、もちろん勝ち馬を探し、馬券を的中させ、皐月賞に結びつけることだが、もっと重要なのは5月末のダービーを展望することだった。
まだ2戦だけのラストドラフトは、弥生賞に出走し、皐月賞で強敵相手と戦うとき、ダービー馬に合格可能なキャリア4戦に達する。この相手なら楽に好位追走可能だろう。やや非力に映る身体つきだが、父ノヴェリスト(その父モンズーン)は欧州の芝稍重〜重で5戦5勝の星がある。