始動戦となるGI常連組よりも勢いある連戦組
GI馬が5頭も集結した好カードだが、春の天候はすぐ変わる。先週の日曜日と同様に「降雨」の影響は避けられない。GIを前にした仕上がり状態とともに、渋馬場の巧拙が大きなポイントになる。
明らかに渋馬場のマイナスがないのは、行って粘るタニノフランケル(父フランケル)。芝の稍重〜不良馬場に【2-1-1-0】の良績がある。稍重のマイルCSを勝っているペルシアンナイト(父ハービンジャー)も稍重〜不良馬場【1-0-1-1】。マイナスは少ない。
人気のエアウィンザー(父キングカメハメハ)の渋馬場はここまで【0-1-0-0】。
当然、巧拙の見解は分かれるが、もともと鋭さで勝負するタイプではないこと。同じようにちょっと詰めの甘さが死角の全兄エアスピネル(武豊)が、初の不良馬場だった17年の富士Sで驚くほどの渋馬場巧者ぶりを発揮して快勝したこと。2着がイスラボニータ、5着ペルシアンナイトだった。
弟のエアウィンザーも鋭さや、しなやかなバネが身上ではなく、パワーを前面に押し出すフットワークは似ている。ひと回り大きくなって一段とパワーアップした5歳エアウィンザーは、力のいる馬場は苦にしないだろうと考えたい。早めにも動ける。
1勝馬として共同通信杯に挑戦した3歳春はまだ頼りないストライドで、スワーヴリチャードの6着(0秒6差)にとどまったが、3歳夏から一戦ごとに体つきが良くなった。500万を脱出した17年の秋以降ここまで【6-2-0-0】。とくにすごいのは、オープンに出世したここ2戦「2馬身差、3馬身差」の完勝。体全体に重量感が加わっている。
決して無理することなく、古馬になっての完成を目ざしてきた陣営の展望が、見事な成長となって結実してきた。昨年夏、休み明けで1600万のむらさき賞(東京1800m)を、自己最高の上がり33秒3で差した内容から左回りは大丈夫。典型的な中距離タイプらしく今回の距離2000m【4-4-1-0】はベストに近い。ここで勝ち負けするとき、31日のGI大阪杯でも侮れない存在に躍進する。
急上昇を示すタニノフランケルが妙味ある相手。父フランケルは英の渋った馬場でも5戦不敗だった。GI大阪杯などを前にした始動戦のGIグループと異なり、この組み合わせで好勝負したい。ウオッカの代表産駒に成長を名乗るための試金石のレースだろう。